@貧乏宅の家の玄関の上に野鳥が巣を作ったことがある。
親鳥があちこちから小枝などを運び巣ができやがて雛の鳴き声が聞こえてくるようになった。
なるべく刺激しないようにしていたのだが、親鳥がぼろぼろになるまで一生懸命餌を交代で運んできていた。
そして、巣立ちの時期がきた。3匹の雛は親が来るとびーちくぱーちくでその声で3羽の新しい命が羽ばたこうとしている
ことがわかった。
盛んに近くの木に親鳥がとまり、雛達の巣立ちを促していた。
少しの歳月でその雛達の声が少しづつ減っていくのである。なるべく邪魔をしないようにと
直接的に巣を見たりすることをしなかったのだが、最後まで一羽の声が響いていたのだが、ある日親鳥の行動が
変わったことに気がついた。雛の声はしないのに、しきりと旋回をしているのだ。
「どうした?のだろう」親鳥が人間を恐れないで地面に降りたり、巣穴にいったりしていたのだ。
余りにも親鳥の行動がおかしいので、巣穴を見ても雛はいない。
おかしいな?といつも避けるようにしていた巣穴の下を見たとき、一羽の雛が落ちていることに気がついた。
あわてて拾い上げたその雛は呼吸をしていなかった。
悔しい事にまだ体は温かった。巣があった場所からおおよそ50cmだった。
花木の隙間におちてしまった為に、気がつかなかったのが悔やしいかぎりだった