何でも屋だったので頼まれればなんでも写した。
今改めて考えると、建築写真が結構好きだったように想う。
私の場合は、4×5(通称シノゴ)というカメラを使うことが多かった。どんなカメラかといえば、写真館にあって
黒い布を被っている古めかしいカメラといえばいいのかもしれない。
このてのカメラは、フィルムの大きさが4インチ×5インチの1枚撮りが基本である。
その1枚にありとあらゆる仕掛けをするのだが、何故そんな必要があるかというのは、人間の目では、
蛍光灯が緑に見えたりしないし、家の中から外を見ても景色が白く飛んで見えないなんていうことはないのだが
すっとこどっこい、フィルムにはそんな寛容ではないのである。
あの手この手で写すことで人間の見た目と同じく写す事が大事なのだ。だから、普通の人がみれば、
なんでもない写真となるのだが、クライアントが求めるものはそのなんでもない+質感なのである。
私はレール型のカメラでかつ最初に買ったホースマンのL45(ジナータイプといわれる片側で操作ができる)と
もっとフィルムが大きい8×10インチ(バイテン、エイトバイテン)最終的にはジナー(高かったぁ~)などを
使っていた。前に書いたように建築写真という分野にも手を出したのは、撮影を頼まれたからなのだが、
前々日にカメラ一式を買い内心ドキドキで撮影に臨んだのである。参考にしたのは高井潔という大成建設の
専属カメラマンが書いた本と、山本健三が書いた京都の撮影入門書だけである。
あとは、自分なりに毎回勉強していたという事になる。
つづく