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春季展『茶人を魅了した中国陶磁 ―見立てから茶道具の注文、そして写しへ―』 ※8月2日(日)まで
4月1日(水)に開幕して数日で開館自粛となった。
当初は6月28日(日)までの予定だったけど、展覧会の再開が6月2日(火)と約2か月遅れたため、1か月延長となった。
(てか、夏季展と一緒にしちゃったでしょ!)
こちらは季節感がないというか、どちらかといえば夏よりにしていたため、休館のブランクなく内容を楽しめた。
《ケース1は南宋時代のもの》
青磁管耳花入はその名の通り、徳利型に管楽器の一部を切り取った耳がくっついている。
南宋時代の景徳鎮窯で焼かれたんだ。南宋青磁は好きだけど、製造された窯の場所は意識したことがなかったので、改めて気づいてちょい感動。
(地図でみると、確かに南宋の都と近い、ような)
唐物大海茶入。これも南宋から元時代にかけてもの。高取焼みたいにも見える。
禾目天目(建盞) 兎毛の感じが美しい。
影青刻花輪花鉢 これも南宋時代の景徳鎮で焼かれた青白磁。
《ケース2は主に明時代》
古染付雲堂手水指 水指としては小さい。大き目の茶碗か、火入か、もしくは香合の方がいけそう。産地は書いてないけど、言わずもがな景徳鎮(だと思う)。
祥瑞沓茶碗。これは日本からの発注なんだろうなぁ。
永楽保全作の染付雲堂手茶碗。相変わらず、上手い写しだ。で、はっきり「写し」だとわかるところが保全オリジナル。
祥瑞本捻鉢。この模様、好きだわ~
《ケース3は祥瑞蜜柑水指(重文指定》
回転台に乗ってる。360度、一周半を鑑賞。山水画と唐草花栗鼠の文様が片身替になっていて、合間のところを500円玉大の窪みを入れている。(対角線上に1つずつ)
窪みの円部分も山水画になっていて、贅沢な作り。山水画と唐草文を向きをかえて正面にすることで、道具組のバリエーションが豊かになるのがすごい。
《ケース4は香合番付》
呉須有馬筆香合は西二段目20位 雲州松平家伝来(←つまり、不昧さんとこ) この有馬筆香合はとくに小さく見える。
交趾桜鯉は東三段6位
染付蛙香合は西五段目20位 蛙が小さくてカワイイ
祥瑞猿摘み香合は形外作品
香合番付も隣に展示されている。何度か見たことがあるけど、改めて構成を観察してみた。
東西に分けられ、さらに各一段から五段。さらに各段ごとに右から1位2位と順位がついている。何位まであったけなぁ。25位くらいあっただろうか。
要するに序列対象となるのは最大250種類プラス行事など役職など。順位が各30位まであったら300種類前後は可能か。
ゆえに300種類の形に入らない猿摘み香合は相当なレアものということになる。
さらに頂点に立つ辻堂香合と大亀香合って、どんだけ素晴らしいのよっ!という、すさまじい序列思想ってコトです。
《ケース5は明時代の向付》
赤地金襴手向付、祥瑞針木皿、古染付蝶形向付。蝶向付の虫食いが味わい深い。
《ケース6 掛物じゃなくて、大物な器たち》
ここに掛け軸がないのって、珍しい。
古染付吉字向付、古染付山水図向付、呉須染付芙蓉手大皿は明時代のもの。
呉須赤絵花鳥文大皿、染付蓮形平大皿は清時代にかかる。清になると、よりあでやかになっているような気がする。
茶壷(蓮華王印) 銘「尉か髭(じょうかひげ)」
《ケース7 炭道具まわりと懐石道具》
飛青磁夜学蓋置(元時代) 青磁四方蓋置(南宋) 古染付墨大蓋置(明時代) 時代の違いがわかっておもしろい。
呉須鶴亀文火入。初めてみたような。鶴と亀が向かいあう構図がかわいい。見立て火入らしい。
呉須冠手火入。
宋赤絵馬上杯形茶碗 この写し茶碗を持っているから目が行く。武将が馬に乗りながらお茶を飲んだ茶碗というよりは本来は酒杯だったのではないかとのこと。
「なぜ、ここにこの茶碗が?」と思ったら、展示室までのアプローチに展示されたパネル写真にこれを強肴として鉢遣いされてるのがあって、びっくり。(小さいのに)
ちなみに、小ぶりな茶碗なので、日本では茶箱用として道具組されたらしい。
(「家に帰って、この茶碗を見たい!」って思った)
五彩青花雲龍文四方鉢に青呉須(五彩)霊芝魚双龍文鉢(青、というか緑の線)、呉須赤絵花鳥文鉢。
奥田潁川の赤絵写片口鉢、永楽保全の呉須赤絵写兎文鉢(兎がかわいい)
《ケース8は懐石道具の盃など=小さい展示ケースだしね》
祥瑞捻徳地、赤絵金襴手盃・皿、青磁八角盃、祥瑞丸盃、黄釉龍文盃。
青磁写蓮華文桝形盃と赤絵写菊文桝形盃(ともに青木木米作)
《ケース9 茶室》
大亀老師の一行ものが印象的。
あとは二代渡辺喜三郎の飯椀汁椀くらいかなぁ。
全体的に照明が落としあって、模様が見えづらかった。その分、形がはっきりわかってよかった。
煮物椀の蓋の盛り上がったところとかね。
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