標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

人があるかぎり演じ続けるであろう「シラノ・ド・ベルジュラック」

2018-09-08 20:59:06 | 日記
午前中は、息子の家で周辺の草刈りを行った。北側の空き地に、数十センチから、1m50cmを超える雑草が生い茂っている。例年だと8月中に作業ができるのだが、暑さのため延びてしまった。息子は不規則な休日で、共稼ぎ世帯なので草刈りをする時間が取りにくい。今日は息子が休みということなので、作業を行うことにした。

朝の犬の散歩、ゴミ捨てなど土曜日の定例日課をすませて現地に向かったので、10時すぎから作業を行った。しかし、大方の草を刈り、次は細かい草取りを行おうとしたところ、雨が降ってきて中止となった。わが家の洗濯物を外ベランダに干したままにしておいたので、家に引き上げることにした。

帰宅してシャワーを浴び、遅めの昼食を取った後、ソファーに座りテレビを見ることにした。番組表をみたら、懐かしい言葉をみつけた。「シラノ・ド・ベルジュラック」だ。今年の5月に日生劇場で演じられたVTR放送。主なキャストは吉田鋼太郎さん、黒木瞳さん、大野拓郎さんだ。多分40年ほど前になるが、妹が「シラノ・ド・ベルジュラック」と比較的頻繁に発していた記憶がある?私は映画も演劇も見たことがないので、内容は分からなかったが、この言葉だけは知っていた。

放映時間は14時から17時までの3時間。午後は家の周囲の片付けを行おうと思っていたが、午前中の草刈りで妻も私も少々疲れ気味だ。午前の作業のご褒美として、長いがテレビ観劇とした。

それでも3時間は長かった。二人とも途中で居眠りをしながら、見ていた。それでも、大体、ストーリーは追えた。
シラノ・ド・ベルジュラックは17世紀に実在した人物で、フランスの剣術家であり、作家、哲学者、理学者でもあったマルチ人間だった。この人物をモデルにして書かれた戯曲で、19世紀末にパリで初演されたとのこと。

大きな鼻という容姿のコンプレックスがあり、一人の女性(従妹)を胸中で恋い慕い続ける。しかし、女性には自分の気持ちを伝えられない。この女性に思いを寄せる別な若い美男子がいた。その男の黒衣(くろご)のように、青年に成り代わってシラノは女性に青年の気持ちを語る。だが、それはシラノの思いそのものだった。青年が戦死した後も、14年間シラノは思いを伝えていない。そして、シラノは瀕死の重傷を負う。シラノは亡くなる寸前に従妹との、お互いの思いが通じ合うと暗示させる幕引きであった。

日本でも20世紀前半から、演じられ、その時々の様々な俳優が演じている。
今回は、ドラマの黒木瞳さんとは、ことなる宝塚女優を彷彿させる演技、吉田さんのセリフ、立ち回り、表情は圧巻であった。

だれでも、コンプレックはある。誰かに自分の思いを託したいという思いは、誰でも経験する、あるいは思うことだろう。きっと人間がある限り、「シラノ・ド・ベルジュラック」は恒久的に演じ続けられるのだろうと思った。
コメント
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