海部群(徳島県)阿波国の群
海部群(愛知県) 尾張国の群
海部群(和歌山県)紀伊国にあった群
海部群(大分県)豊後国の群
次に、それぞれの土地を調べてなんとなく引っかかってきたものを書いておきたいと思います。
徳島県海部群。高知の室戸岬の近くです。海部川流域は海部刀の産地として知られ、母川のオオウナギ生息地は国指定天然記念物です。徳島県にある剣山は霊山です。剣の地名がとても気になっています。

剣山検索画像より
愛知県の昔の尾張国、名古屋市にある熱田神宮は、草薙の剣が鎮座されていて、蓬莱伝説が残る地で、ひつまぶし(鰻の蒲焼)がとても有名な土地です。
紀伊国、現在の和歌山県にあった海部群は海に面した日高群を含み、徳島県の海部群と海を面して反対側にあります。日高群には、由良市があります。

由良の地は紀淡海峡を舞台に活躍した海人の姿を想像させるのと、記紀にある天日槍(あめのひぼこ)の「出石の刀子」ゆかりの出石(いずし)神社もこの地にあります。
また、一時期偽書とされた物部氏が書いたのではないかとされている「先代旧事本紀」によれば、天神御祖が饒速日命(ニギハヤヒノミコト)に十種神宝を授ける際、「布瑠の言(ふるのこと)」と呼ばれる以下の祓詞を唱えて神宝をふれば、死者をも蘇生させることができると宣ったそうです。
由良の地名縁起はこの「布瑠の言(ふるのこと)」と関係があります。この言霊が、
「一二三四五六七八九十、布留部 由良由良止 布留部(ひと ふた み よ いつ む なな や ここの たり、ふるべ ゆらゆらと ふるべ)」
十種神宝を祀る神社としては、奈良県の石上神宮と、島根の物部神社が知られているようですが、石上神宮に「布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)」がおり、これは十種神宝そのものに宿る霊魂を指すというのです。この十種の神宝のうち、ひれは、蜂ヒレや蛇ヒレです。見た感じ、布には見えません。剣みたい。

十種の神宝検索画像より
しかし、ヒレは日本記紀では布とされています。記紀によると、大国主命を根の国で素戔嗚尊の娘スセリビメが助けた時、「蛇の比礼(ひれ:女性が、結ばずに首の左右から前に垂らすスカーフの様なもの)」を大国主にさずけ、蛇が食いつこうとしたら比礼を三度振るよういいます。その通りにすると蛇は鎮まったので、大国主命は無事に一晩寝て蛇の室を出られます。
次の日の夜、素戔嗚尊はムカデと蜂がいる室で大国主命を寝させます。また、スセリビメの授けたヒレで、大国主命は無事にムカデと蜂の室を出られたと神話にあります。
由良、由良。大国主命がユラユラしたのは、どっちでしょうか。剣か、布か?
日本記紀と偽書として大切にされなかった「先代旧事本紀」の食い違い対決!剣に私は一票!。って、どっちでもいいやないかい!って?海部群の地名縁起に剣や刀が沢山あるから剣かなぁと思いました。記紀では、これを布(ヒレ)にしないといけない何か隠したいことがあったのかな?
大分県海部群は、少し詳しく書いてみます。海部群は、大分市一部、
佐伯市の大部分、
臼杵市の一部、
津久見市全域、
つまり、海に面した地域が、海部群にあたります。

ウィキペディアより
豊後水道を挟み九州と四国をわけます。愛媛県に近い水域にも由良の地名のつく、由良半島があるようです。 なんだか、海に突き出た剣の様でもあり、蛇の様でもあります。


由良半島近くの豊後水道が最も狭くなった部分が、豊予海峡であり、美味しい鯖。関サバがとれる大分県の関崎と、愛媛県の佐田岬間はたった約14kmです。

その中央の海域に無人島水ノ子島があり、ここの灯台は石造の灯台としては島根県の出雲日御碕灯台に次いで日本で2番目の高さだとか。
水ノ子島は、興味深い歴史があり、江戸時代から明治時代にかけ、伊予国(愛媛県)宇和島藩と豊後国(現在の大分県)の佐伯藩で、領有争いがあったそうです。
言い伝えによれば、両藩で、一番鶏を合図にこの島に一番近い港から船を出して先に島に着いた藩の領地とすると取り決めたところ、佐伯藩の鶏が宵鳴きしたため、佐伯藩が先に島に着いて、この島を領有することになったとか。佐伯藩は、火を焚いて一番鶏を早く鳴かせて先に島に着き、この島を領有することになったそうです。
佐伯には、譲れない何かを守るためにサエギルというのを地名に隠しているみたいです。
領有権問題は、尖閣諸島や竹島、北方領土など、近隣外国vs日本が思いつきますが、昔は日本の藩同士で領有権を争ったのですね。水ノ子島は無人島なのに。鶏を鳴かせて岩戸開きした神話を空想させます。
水ノ子島はそれだけ大切な島だったのでしょうか。ミズノコから、ヒルコ、蛭子、という言霊を空想させます。水子は、生まれることが出来なかった命。隠された王朝、ウガヤフキアエズ王朝が気になります。また、折をみて調べてみます。
4つの海部群、何故か地図上では一直線で繋がりました。ビックリ!

色々と取り留めないことを書きましたが、海部という縁起地名と、海に面する地域に意外と共通の地名がつけられており、神話を感じさせます。特産のうなぎも、形は蛇みたいですし。
一度行って大好きになった京都の眞名井神社。この神社の宮司さんは、代々海部氏だそうです。ニギハヤヒノミコトは「先代旧事本紀」によれば物部氏の祖、丹後の籠神社に伝わる国宝の「海部氏系図」によれば、海部氏の祖となるとも書かれているようです。
籠神社は、浦島太郎伝説が残る神社です。奥宮の眞名井神社には銀龍神がいらっしゃるとか。ほんとに素敵なそれは素敵な神社でした。瀬戸内海、海部氏や物部氏や海で生きた縄文時代の民に深い繋がりがある気がしています。