宮崎駿監督、千と千尋の神隠しで出てくるハクについても書いてみたいと思います。
千尋を終始助ける中性的な美しさをもつハク。千尋が消えそうになった際も存在が消えないように手助けしたり陰ながら支えています。
ハクは本来の名前を奪われ、本来の自分を忘れます。支配されてしまうのです。しかし千尋と会い変わります。千尋も千と名前を変えられています。
千尋に自分が誰なのか正体をしっかり覚えておかないと元の世界に帰れなくなってしまうと忠告します。ハク自身自分の正体を忘れて苦しんでいるのです。岩戸が閉まって自分では開けられなくて苦しんでいるイメージがしました。
しかし、ハクは最後に千尋によって自分の名前を思い出します。ハクはコハク川の白龍神。
ハクの本当の名前は
ニギハヤヒコハクヌシ。
饒速日命琥珀主。
ところで、ニギハヤヒノミコトとハクの本名は繋がっていて、何か隠されているよねと妹と話したことがあります。
『先代旧事本紀』では、ニギハヤヒノミコトは「天照國照彦天火明櫛玉饒速日尊」といい、天忍穂耳尊のお子様で瓊瓊杵尊のお兄様です。お名前の中にある櫛玉は、奇魂と響きが同じです。
奇魂 は神が持っている側面の一つで、幸魂と同じく、和魂(にぎたま)の一部。非常に不思議な力を持っているとされる神霊。
また、神話のニギハヤヒノミコトは物部氏、穂積氏、尾張氏、海部氏、熊野国造らの祖神と伝えられているようです。(ウィキペディアより)
天孫降臨は、瓊瓊杵命(弟)の先にニギハヤヒノミコト(兄)が天照大神から十種の神宝を授かり天磐船に乗り天降った話があります。
ニギハヤヒノミコト検察画像より
長髄彦について書いた時には、頭の回路が繋がっていませんでしたが、なるほど、2人の兄弟の天孫降臨があり、先に降りたニギハヤヒノミコトを長髄彦がお慕いしていたのだと調べていくとわかりました。
長髄彦は、後から攻めてきたカムヤマトイワレビコ(後の神武天皇)に抵抗したのです。自分も天孫を大事に思っていると。そして、討たれてしまう。その縁者は、東北に逃れ蝦夷と呼ばれたり、四国なんかにも逃れたりしたようです。
話が飛んでしまいすみません。話をもどします。千と千尋の神隠しの中の感動的なシーン。千尋がハクに言います。
「ハク、聞いて。お母さんから聞いたんで自分では覚えてなかったんだけど、わたし、小さいとき川に落ちたことがあるの。その川はもうマンションになって、埋められちゃったんだって…。でも、今思い出したの。その川の名は…その川はね、コハク川。あなたの本当の名は、コハク川!」
ニギハヤヒコハクヌシという本当名前を思い出したハクは、嬉し涙を流しながら手を繋いで千尋と天から舞おりてきます。千尋を思うハクの気持ちとハクを思う千尋の気持ちがぴったり合わさったのです。感動。
ハクは白龍神。埋めたてられた川の土地の精霊そのものだったのです。
映画では違う場面ですが、この画像の隠れたメッセージ、神様を痛める自然破壊に胸が痛くなりました。
ニギハヤヒノミコトは天孫降臨した神様ですが日本記紀では神話の表舞台からは姿を消しています。
ニギハヤヒノミコト(古事記では 邇芸速日命、日本書紀では 饒速日命)は先代旧事本紀では大物主神のようです。
天の浮船に乗って国外からやって来て、神武天皇以前の王朝、三輪王朝を建て統治し、没後は三輪山に埋葬されたとの記述もありました。
三輪山に参拝したいと思いました。
とにかく、ジブリ映画は噛めば噛むほど味わえる映画です。宮崎駿監督は何か日本人の心の奥底に隠れた所をくすぐるメッセージを映画を通して送ってくださっている監督だと思います。