不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'aperutura della Porta di San Niccolo'

2011-03-29 19:49:26 | アート・文化

フィレンツェももともとは城壁に囲まれ、
その要所要所に街と外部をつなぐ門がつけられていました。
今では城壁は取り壊されて
環状道路になってしまっていますが、
ところどころに城門は今でも残されています。
ミケランジェロ広場の下の地区は
サン・ニッコロ地区と呼ばれていて、
地区名を取った門がサン・ニッコロ門(Porta di San Niccolo')。
一見すると門というよりは塔のように見えるので
サン・ニッコロの塔(Torre di San Niccolo')とも呼ばれます。
この城門はフィレンツェで唯一、
中世時代のオリジナルの高さで残っているものだといわれます。
つまり昔は門はすべてこういう形をしていたということで、
他に残る背の低いいわゆる門らしい城門は
後の時代に手を加えられているということです。

この塔は長い間閉鎖されており、
アクセスはできませんでしたが、
昨年11月から300,000ユーロをかけた
大掛かりな修復工事が始まり
見学者の安全を保証するための鉄柵などが各所に取り付けられ、
ハトなどの侵入を防ぐ幕が張られる予定。
もちろん壁の剥落なども直され、古い木製の扉の修復も含め
2011年6月24日の一般公開を目指して
急ピッチで工事が進められています。

1324年に建設されたサン・ニッコロ門は
フィレンツェの街の東にあり、
対岸のゼッカの塔(Torre della Zecca)と共に
アルノ川の東(上流)からの攻め手を防ぐ要所でした。
設計はオルカーニャ(Orcagna)が
手がけたのではないかと言い伝えられています。
1500年代に大砲などの標的になりやすかったために
他のすべての城門が打ち込まれて損壊したり、
もしくは標的にされないように
上層部を切られ低層に改築された際にも
サン・ニッコロ門だけは
裏手に控えるサン・ミニアートの丘が
自然の防壁となったために損壊を受けることもなく
オリジナルの高さのまま残ることになったのです。
ただし天頂の狭間はオリジナルではなく
1800年代に再建されたもの。

この門から伸びる九十九折の坂道は
ミケランジェロ広場に続いています。
春から秋にかけてのお散歩に最適の
フィレンツェ散策コースが
またひとつ増えるかもしれません。