不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-02-08 18:08:12 | Tweet Log



Da risanare un paese

2012-02-08 14:16:44 | アート・文化

イタリアはこの経済危機を乗り越えられるのかどうか。
EU加盟国もひやひやしながら
状況を見守っているというところですが、
ロンドンのナショナルギャラリーで開催されている
レオナルド・ダ・ヴィンチ展は前売り完売、
当日券を求めて連日長蛇の列ができるという大盛況ぶりで
イタリア国内では
「唯一不況を知らないイタリア人」などと皮肉られています。

そして、真剣に
「芸術品売買で国庫を豊かにするべし」
という論も交わされています。

もちろん
レオナルドやミケランジェロなどの作品は国宝であり
それを売ることなど不可能なのですが、
数多くの美術館の保管庫で
展示スペースがないという理由で
眠り続けている作品を
何点か売るだけでも十分ではないかとまでいわれています。

1929年、ファシズム政権時代に成立し
2004年に更新されている法律では
イタリア国家は国内の芸術作品に関して優先権をもっており
作品製作から50年以上を経過している作品については
その販売や譲渡に際して、
事前に告知を受ける権利があり
それを差し止めることも可能なのです。
この法律がある限り、
イタリア国内の芸術作品はそう簡単に持ち出されたり
売り飛ばされることはないのです。
とりわけ美術館に保管され、
アーカイヴされている作品は
期間限定の貸し出しでさえ、
多くの障害がついて回るのです。
稀にあるプライベートコレクションなども
作品にまつわるすべての移動に関して
管轄当局に報告義務があり
国家に報告なく売買を行った場合には罪に問われ
罰金77500ユーロもしくは
6ヶ月から12ヶ月の有罪となります。

もちろん、有名オークションなどで
時折有名な作家の作品が競り落とされることもあり
法律の抜け道はいくらでもあるのですが
「基本的には不可能」ということです。
ちなみに1991年からの20年間で
国際的なオークションで出展された
Tiziano、Leonardo、Mantegna、Tintrettoの作品といわれる
版画、デッサン、小作などの作品で
5000万ユーロ相当が動いたそうです。
2011年12月6日、
ロンドンのクリスティーズで落札されたのは
Francesco Zaganelli(フランチェスコ・ザガネッリ)の
「Sacra Familia(聖家族)54,5センチ×52センチ」で
12万ユーロから入札して、
最終落札金額は118万5000ユーロ。
同日、サザビーズでは
Andrea Solaio(アンドレア・ソライオ)の
「Ecce Homo(この人を見よ)65,5センチ×45センチ」で
7万ユーロから入札して、
最終落札は44万9000ユーロ。
確かに一般には無名の作品でもこの価値がつくのだと思うと
今のイタリア経済を立て直すために
ここでも過去のイタリア人の恩恵をこおむるというのも
ひとつの手段ではあるかもしれません。

豊富にある芸術品で利益を出そうと思ったら
まずは傑作、国宝級として美術館などに保管されたり
アーカイブされている作品と
それ以外のいわゆる無名の弟子たちによる作品、
有名な工房ではあるが師匠が筆を入れていない作品、
後世の複製作品などをはっきり区別して
その価値を確定し、運用するための法律が必要です。

当分の間は、そんな法律ができることもないでしょうし、
状況は変わらないと思いますが、
本当にイタリアがお金に困ったら
芸術品を切り売りしてでも生き延びるつもりなのでしょうか?