ドナテッロの作品は確かに優しさが溢れていて、
好きな方も多いですね。
私が若き日の初イタリア訪問で
初めて対面したドナテッロの作品は
フィレンツェのドゥオーモ付属美術館所蔵の
木彫りのマグダラのマリア。
今の私がみると、また別の感想を抱くのですが、
当時はこの木彫りがとても怖く見えた記憶があります。
そんなこともあって、長らく私はドナテッロが苦手でした。
幸いにもフィレンツェで長く暮らすようになり
繰り返し、他の彼の作品も見ていくうちに
印象は少しづつ変わりましたが。
ウンブリア州ペルージャの近くにある
小さな町Citerna(チテルナ)。
この街のChiesa Di San Francesco
(サン・フランチェスコ教会)に
ドナテッロ作とされるテラコッタ製の聖母子像があります。
これも世界的に有名なフィレンツェの
Opificio Di Pietre Dure修復所で
7年に亘り修復が続けられていた作品で
2012年11月30日に修復完了、再展示となりました。
修復が完了するとともに
完全にドナテッロ作であると認定された
多色テラコッタの聖母子像は
1400年代初期のテラコッタの傑作といわれています。
2001年にウンブリアの15-16世紀の
テラコッタ作品の整理を行っていた
女性美術研究家の目に留まった作品。
調べていくうちに、
その作品の技術が
他のものとは比べ物にならないほど
際立っていることから
2004年に迷うことなく、
ドナテッロの作品であると公表し
他の研究者とも意見を交わし
1415年から1420年に制作されたものであろうと
確定していきます。
これを受けて2005年から本格的な修復が始まりました。
修復所に運び込まれた時点では
その後の時代の好みの変化により、
テラコッタは塗りなおしをされており、
表情もかなり手を加えられていたようですが、
まずそれを落としてオリジナルの色をとりもどしていきます。
このページ で
Before&Afterがみられますが、まったく別物です。
これに目を留めた研究家に感謝したくなります。
7年に亘る修復が終わり、
国際ゴシック様式の
オリジナルの作品の軽やかな優美さと
彫刻そのものの美しさをみることができるようになりました。
持ち運びも可能な
高さ114センチ重さ58キロの小さな作品で、
当時の裕福な家庭でのプライベートな祈りや
小さな教会などで使われていたものだろうといわれています。
この修復には
日本の女性修復士である西村女史も携わっていて、
日本人としてもとても嬉しいニュースでした。
サン・フランチェスコ教会の聖具室で
厳重な温度&湿度管理をされて、
今後は保存されていきます。
La madonna con bambino di Donatello
La chiesa di San Francesco, Citerna
開館時間: 2013年1月6日まで
火曜日から日曜日 10:30-12:30/14:30-17:30
2013年1月7日以降
金曜日 14:30-17:30
土日 10:30-12:30/14:30-17:30
入場料:3,00ユーロ
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