不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Riscaldamento

2004-11-12 00:33:01 | 日記・エッセイ・コラム
フィレンツェも突然寒くなった。
10月は半袖で街を歩いている人もいたほど、
今年の秋は暖かい秋だった。
11月に入っても気温的には大差がなかった。

しかし、今週になってから、急激に寒くなった。

最近の新興住宅地の集合住宅
(といっても1800年代終わりごろに
建てられたものも含め)などでは
セントラル・ヒーティングが主流のイタリア。
留守にしていようがなんだろうが、
とにかく決まった時間に
暖房のスイッチが入って建物全体が暖まる。
各家ごとで暖房の設定ができるところは
だんだん減ってきているらしい。

我が家はそれこそ、
ベースは1500年代かそこらのもの
という説もあるくらい由緒正しい建物(?)で
セントラルヒーティングなんて取り付ける余地はない。
なので、家ごとにそれぞれ暖房設備がついている。
稼動させる時期も時間も自分で勝手に決められる。
自分が寒ければ9月にだってスイッチを入れてもいい。

我が家のそれはガス式。
点火してガス熱で水を温めて
それを家中のパネルヒーターの中を循環させる。

火曜日。
寒かったので暖房のスイッチを入れてみた。
スカッ。
うんともすんともいわない。

「あ、まただ。」
毎年のことなのだ。
寒くなってつけようと思うと動作しない。
もう慣れっこだ。
早速担当ガス会社に電話をしてみる。
状況を説明してコントロールに誰かを送ってくれと頼む。
担当お姉さん 「今日とか明日は無理よぉ。」
私 「わかってますよ。
   急に寒くなったから、そちらの仕事も手一杯でしょうし。
   できるだけ早く来てもらえれば。」
担当お姉さん 「じゃ、木曜日の午前中に。」

結構早い対応である。
まぁこのガス式の暖房が使えなくても
電気式の暖房が二機あるので凍え死ぬことはない。
(ただ電気代が高いので使いたくないのは事実)

木曜日。
前日(というかその日の朝)4時まで
部屋の模様替えなどをしていたので
(詳しくはこちら
朝、起きられない。
目覚ましは鳴っても、
寒いので布団の中でビリーとモゾモゾ。
そんなことしているうちに9時30分。
ガスやさんが来るのは10時から12時という話だったので
そろそろ起きるかと、ようやく起き上がって
顔を洗ったらピンコーンと呼び鈴が鳴った。
9時45分だ。早い。
まぁ、早いに越したことはない。

ガスやさんがチェックして、
いつもと同じ問題であることが判明。
予期していたことではある。
「ポンプ詰まり」。

一年のうちの本当に寒い時期にしか使わないで
残りは放ってある、うちの暖房機。
ほかの家のように同じガス式暖房でも
給湯器とセットになっていれば
年中使うので、こんな問題は起きないのだけれど
うちは給湯器は電気式なので
夏にはこのガス式暖房機の存在すら忘れてしまうのだ。
そういうわけで長いこと使わない時期があると
どうしても内部のポンプが詰まりを起こしてしまうらしい。

「夏場でも一月に一回は点火して稼動させるようにすれば
来年からはこうした問題はなくなります。」
ガス屋のお兄ちゃんが丁寧に説明してくれた。
(去年同じコントロールを頼んだときは
3ヶ月に一回稼動で十分って言ったけど…)
私はこの夏そんなことはすっかり忘れて
一度も点火しなかったのだ。
というかイタリアの真夏のくそ暑いときに
暖房機のスイッチを入れるなんて酔狂なことは普通しない。

まぁ、これで無事に
家中を暖める暖房機が稼動するようになった。
(電気式では一部屋だけしか暖まらない)
あたたかい。

ガス屋のお兄ちゃん 「去年も同じコトで呼ばれたよね」
私 「そのとおり。私学習していないから…。」
ガス屋のお兄ちゃん 「ははは。そうは言ってないさ。
   ところで支払いのことだけどさ、今払える?」
私 「もちろん、今払うつもり。」
ガス屋のお兄ちゃん 「じゃぁ、今回は出張費だけでいいよ。」
私 「え、そうなの?」
ガス屋のお兄ちゃん 「だって、原因は単純だし、
   原因自体はわかっていたわけでしょ、君も。」
私 「まぁ、そうだけど。」
ガス屋のお兄ちゃん 「でも、もう来年は呼ばないでね(笑)」

ということで、出張費23,00ユーロだけで
修理代は無料ということになりました。

来年の夏は「暖房機一月に一回稼動」を
覚えているだろうか???


Dolore muscolare

2004-11-11 23:45:31 | 日記・エッセイ・コラム
前のエントリの続き。

そして、雨の降る水曜日。
私の購入した家具たちは配達された。
運んでくるお兄さんの苦しげな顔が印象的だ…。
一人で結局三往復して運び込んでくれた。ご苦労様。
イタリア人ではなかった。
少し話を聞いたらアルバニア人だった。
なんだかそこはかとないせつなさを感じてしまった。
肉体労働だ。給料ちゃんともらってね。

配達が完了するや否や、早速組み立てに。
しかし、簡単なはずの本棚ひとつ
ろくに組み立てられない自分に気づく。
「話を聞かない男、地図が読めない女」という
有名な著書がある。
私は実際、「地図が読めない」女脳ではあるけれど
それと同時に
「パズルができない。」「図解が読めない。」
典型的な文系脳でもある。

そんな私が一人で家具を組み立てる、無謀である。
一つ目はねじ位置を間違えて
ちょっと触ると崩れ落ちるという
どうしようもない本棚が完成。
(実際にちょっと触ったら崩壊したのでビックリした。
これは近日中に釘を買ってきて
何箇所か止めれば何とかなると思うけど)
それを教訓に二つ目は無事に完成。
そしていよいよ机。
これはひとつしかないし、失敗は許されない。
慎重に説明書をよぉくみながら
何とか完成させた。所要時間4時間。
図解の読めない私が一人で作っているとはいえ
時間かかりすぎである…。

あまりに疲れ果ててしまった。
ちょうどその日の夕飯は友人宅に
お呼ばれになっていたので助かった。

友人宅で楽しいひと時を過ごして
家に帰ってから、もうひと騒動。
この新しい完成したばかりの机を置くために
部屋のほかの家具を移動させる必要がでてきた。
動かす家具は二つだけだけれど、
そこには電化製品が詰め込まれており
それらのコードを整理して再び繋ぎ直す必要もある。
こうした一連の作業を完了したときには
翌日の朝4時になっていた。

何とか定位置に置かれた机の上は
とりあえず、PCの作業をするだけの
スペースを確保するのが精一杯で
後はまだ片付かない小物がごちゃりと乗せてある。
いつ片付くのだろう…。

この一連の作業、思ったよりも肉体労働だった。
普段持ちなれないドライバーを使ったせいで
右手のひらに鈍痛。
そしてねじ回すときにも変な力が入っていたのと
色々重いものを移動させたのとで
腰から背中、そして肩、二の腕と
上半身の筋肉がみしみしと痛む…。


Contro Ciccino

2004-11-11 23:27:39 | 日記・エッセイ・コラム
先日友人たちと連れ立って
フィレンツェ郊外にあるIKEAに出かけた。

以前から愛用してきた机に
なんの不満があったわけでもないのだけれど
チッチーノの攻撃を防ぐために
何か工夫しなければということで
新しい机を購入したいと思っていた。

以前使っていたPCは
チッチーノさんの攻撃(お茶かけ)によって再起不能、
現在使っているPCも彼の攻撃(押しつぶし)によって
入院生活を強いられていた。

ビリーは机の上には上ってこない。
さすがにそういうとこは
きちんと躾ができている犬なのだ。
しかし、チッチーノはそうはいかない。
猫に躾けるのは至難の技と聞いていたけれど…。
躾なんて単語は
チッチーノの辞書には載っていない模様。
私がPCの前に座り込むと、
喜び勇んでやってきて
キーボードの上を悠々と歩いたり
プリンターのスイッチを勝手に入れたり…。
手に負えない。
でも猫だけに彼をしかりつけても「暖簾に腕押し」…。

ということで、
少なくとも私が留守にしている間の
「PCの上でお昼寝攻撃」(重量的にかなり負荷あり)を
防ぐことを前提に机を探すことに。
色々検討した結果、
キーボード用のスライド板のついたタイプを購入することに。
PCを使うときは机の上に、
使わないときはスライド板の上に入れて格納。
これでチッチーノが上に乗って
嬉しげに暴れまわることだけは避けられそうだ。

実は一緒に買い物に行った友人たちも
IKEAのこの机を使っている。
99,00ユーロでお買い得なのだもの。

この机以外に小さめの本棚を二棹購入。
かなり重量的に重くなったし、
車には積めない大きさだったので搬送を頼むことにした。
ちなみにこの搬送料は55,50ユーロ。
まぁ、うちは
「エレベーターのない4階(日本風にいうと5階)」なので
自分で運ぶ手間と労力を考えたら
55,50ユーロは安いと思っている。


Gamberi Zen

2004-11-09 00:02:10 | Squisito!
うちの郵便ポストにマクドナルドのクーポン券が入っていた。
イタリアではこういう形で
クーポン券が配布されるのは結構珍しい。
配布されたクーポン券の表紙は、
以前のエントリでも書いた
Samurai Shakeと一緒に発売された
例の「オリエンタル・バーガー」。
すっかりそのシリーズが
割引になるクーポンだと思ったら大間違い。
通常商品の割引券でした。ちょっとがっかり。

でもクーポン券があるのだから使おうと思って
友人宅への手土産に
チキンナゲットを買っていこうと思い立った。
(すっかり向こうの思う壺な人…踊らされている…)
クーポン券を使うと、6個入りが二箱で2,99ユーロ。
さすがにそれだけでは気が引けるので(小心者)
Gamberi Zenもひとつ注文。

immagine5.jpg

普通のエビフリットでした。
一箱6ピース入りで2,99ユーロ。
パッケージは黒地ベースに明朝体で「味」と書かれている。
ある意味、ジャパネスクシックな雰囲気。
味のほうは、非常にマクドナルドチックでした。

久々に食べたチキンナゲット。
イタリアで食べると???
他においしいものたくさんあるから
敢えてこれを食べる必要性はなしということね。


Vino Novello

2004-11-07 21:47:44 | Squisito!
ボジョレー・ヌーヴォーは日本でも有名。
それに値するイタリアワインがヴィーノ・ノヴェッロ。
つまり今年の初物ワイン。
11月6日に解禁になったVino Novello。
週末はイタリア各地で
この初物ワインの試飲会などが開かれました。

フィレンツェでもスローフード協会後援で
小さな試飲会が開かれていました。
エチケットコレクション↓を見ながらの試飲。
etichetta
ワイン専門家「Enologo」の
Antoniazzi氏の講義もあるというので出かけてきました。
(飲めないのに…)

イタリア人ですからこのワイン専門家も遅刻。
まぁご愛嬌。
講義の後で試飲会の予定だったのですが
講師が到着する前にワインの栓は開けられておりました。
さすがイタリア…。

enologo
Enologo Sig.Antoniazzi

講義の内容は
Vino Novelloがどのようにして作られるかという簡単な説明と
今年の出来具合について。
私はワインの醸造方法などあまり詳しくないので
今回の話は結構「へぇ」度の高いものでした。
Macerazione Carbonicaという方法で醗酵されるのだそう。
大きなたるに取れたてのぶどうを入れて
ぶどう自身の重みで搾り出されるジュースに浸かって
徐々に醗酵が始まるというやり方。
こうして出来上がったものを
100%詰め込んで売る場合もあるそうですが、
市場に出回っているものはたいてい普通のワインとのミックス。
法律では上記の醗酵方法で絞られたものを
30%以上含まなければ
Vino Novelloとは呼ばないのだそうです。

たいてい商品として店頭に並ぶ20日前までには
瓶詰め作業が完了していなくてはならないそうですが、
今年は収穫が遅れたそうで
最終作業がぎりぎりまで続けられたとか。
Vino Novello特有の香りは非常にセンシブルなので
あまり高温で保存しないほうがいいそうです。
そして、このセンシブルな香りを楽しむためには
11月から年内いっぱいまでに消費するのがいいそうです。
年明け3月くらいまでは市場に出回りますが
できるだけ早いうちに楽しんだほうがいいみたいです。
旬のものですからね。

今年の夏は昨年ほど暑すぎず、
よって甘くなりすぎなかったぶどうが
たくさん収穫できたとかで出来具合は最高。
Novelloもかなりおいしいという話でした。

immagine4.jpg
必死で栓を抜くスローフード協会フィレンツェ支部の方。
たぶんCristiano Maestrini氏。

おつまみもいくつか用意されていました。
秋といえば栗の昨今(爆)、
やっぱり欠かせないのはこれ。
Castagnacci。栗粉がベースのお菓子。
castagnacci