不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2011-07-07 19:02:41 | Tweet Log



Miei pensieri confusi di questi giorni

2011-07-06 23:50:00 | 日記・エッセイ・コラム

イタリアなんてもともと小さな都市国家の集まりで
統一されてようやく150年。
だから各地方にそれぞれの特色もあり、政治色も様々。
それでも地方分権とか叫ばれているわけで、
これに慣れてきてしまった私には
日本の強力な中央集権政治が
最近とても違和感のあるものに見えたりすることがあります。

今回の松本氏の復興大臣辞任騒動では
確かに傲慢な態度と物言いは許しがたいけれど、
「知恵を出したもん勝ち」という論点自体は
あながち間違ってないのではないかと思ったりもします。

実際被災してそこで復興して
これからも暮らしていかなくてはならない人々が
自分たちがどのような街つくりをしたいのか
どういう援助を国に要望するのか
自治体主導であったほうが効率的だし
中央の生ぬるいところにいる政治家任せでやるより
よほど早く復興できるのではないかと思うのですが。

イタリアでは
地方分権をもっと確固たるものにしようという流れもあり、
時々鬱陶しいこともあるのですが
まぁ、自分たちのことは
自分たちでぐだぐだ言って決めるほうが
イタリア人の性に合っていて
結局それでとても納得する民族なんだろうと思います。
そう思うと日本民族ってどちらかというと
従順に上の決めたことに従いますというイメージ。

フィレンツェの国立美術館の売り上げは
国立ですから国管轄下にありということで
フィレンツェ人にいわせれば
ずっと搾取(笑)されていたのですが、
今の市長になって
ようやく一部を市の収入として認められるように。
これってフィレンツェにとって実はとても大事なこと。
これだって地方分権を確立するための
資金確保の手段の一つ。
これをやり遂げた若き市長は素晴らしかったなと
思ったりもするのです。
個人的にレンツィ市長贔屓なのでね。

そしてローマに続いて導入された滞在税というのも
喧々諤々、あちこちで反対されながら
市長は押し切って導入したわけですが、
そのときのフィレンツェ市長の言葉を
今回の松本氏の発言で思い出したりしました。

これまで市は観光客誘致のために
イベント企画もしたり
予算の件でも国に掛け合ったり
文化活動にも力を入れて
それなりの努力もしているけれど、
それでもすべての修復、整備を賄うのに
十分な資金があるとはいえない。
だからこそ今回の滞在税に踏み切ったのだ。
ただ反対するだけでは能がない。
他に良案があるなら提示して欲しい。

まさにその通りだなと思ったのだけど。

反対したり文句いうのは簡単だけど
実際自分がどうしたいという方向性を決めるのって
すごくエネルギーのいることだと思う。
でもそれをせずに、誰か任せにしていたら
自分の望む未来は手に入らないんだよね。

東北の復興と次元は違うんだろうけど
考え方の根本は同じような気もする。
誰か任せではなくて、
被災した方々の意見で復興が一日も早く実現しますように。


Mecenatismo

2011-07-05 23:43:00 | アート・文化

イタリアは世界的に見ても観光資源が多く、
ユネスコ世界遺産登録数も圧倒的に多い国ですが、
それゆえに常にどこかで修復が必要であり、
そうしたすべての文化遺産の保存のためには
莫大な資金も必要になってきます。

しかしここ数年、不況を理由に
文化奨励費はどんどん削減されており、
修復が滞り、打ち捨てられ放置気味の自然遺産も多く
美術館も運営資金繰りに苦労するようなところが増えています。

しかし隣の国フランスでは
同じように不況に喘ぎながらも
文化奨励維持費は聖なるものとして
1セントたりとも削らないという姿勢を貫いています。

アメリカの美術館も世界各地の美術館と同じように
経済的には苦しい状況ですが、
チケット、関連グッズの売り上げなどで賄えているのは
全費用の約20%で、
それ以外は大小様々な寄付金で補っています。
アメリカでのこうした文化への個人寄付金の多さは
完全に非課税対象となることが理由だとも言われています。

Mecenatismoとは文芸芸術に対する保護をさす言葉ですが
アウグストゥス帝時代に実存したという
符号政治家マエケナスの名前に由来するといわれるほど、
イタリアでは昔から
こうした個人もしくは一族による文芸保護が盛んです。
ローマ帝国時代で言えば、
オクタヴィアヌス帝もパトロンとして有名ですし、
ルネッサンス期のフィレンツェでは
ロレンツォ・イル・マニフィコなどをはじめとするメディチ家、
他にもモンテフェルトロ家、エステ家など
各地に歴代のパトロン・文芸保護者がたくさんいます。

国家予算の足りないここ数年では
イタリア国家として
国内外の個人投資家の資産に依存する部分も
非常に大きくなってきています。

最近では主要銀行であるSan Paolo Intesa銀行グループが
積極的にこうした文化保護に力を注ぎ、
Tod'sのオーナーであるDella Valle家は
コロッセオの修復に資金を提供しています。

しかしながら、
イタリアでの個人投資家の文化奨励や
文化保護の動きがうまく機能しないのは
ベースがきちんとできていないからなのだ
と指摘する声も上がっています。
時間をかけて大学で勉強した優秀な若者を採用せず
各美術館や文化遺産モニュメントでは
相変わらず古い知識にしがみついた
平均年齢は55歳以上とも言われる「技術者」が従事していて
新しい技術やコンセプトがなかなか導入されていません。
文化遺産保護というのは
古いものを護り続けているだけではなく
時に新しい知識を取り入れて工夫することも必要で
新しい評価も必要であるということが
国の幹部にはあまり理解されていないのが現状です。

せっかくの個人投資も、
それが十分に活かしきれないような環境では
無駄金になる可能性が高く
そろそろ何かをドラスティックに変えないと
イタリアの食い扶持である文化遺産を失いかねないのです。
なんでも不況のせいにしていてはいけないのですよね。


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2011-07-04 19:02:58 | Tweet Log



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