ネオクラシックのイタリアを代表する彫刻家とも言われる
Antonio Canova (アントニオ・カノーヴァ)。
幼少の頃父をなくし、彫刻家だった祖父に育てられ、
18歳で自分の工房をもったというカノーヴァは
22歳でローマに移り、ヴェネツィアの大使の客人として
ヴェネツィア宮殿で暮らし、その時期に
「Amore e Psiche(アモーレとプシュケ)」を制作しています。
ナポレオンのお抱えとなり、
ヨーロッパにその名を知られるようになり
1815年にはナポレオン軍によって掠奪されていた
数多くの作品のイタリア返還に貢献し、
1822年10月にローマへ戻る途中の
ヴェネツィアで生涯を閉じています。
彼のプシュケを扱った作品で有名なのは
ルーブル美術館に所蔵されている
「アモーレの接吻で目覚めるプシュケ」ですが、
同じくルーブル美術館に所蔵される
立像のアモーレとプシュケもカノーヴァの作品です。
この作品がルーブル美術館から貸し出され
ミラノのマリーノ宮殿で
イタリア国内初公開展示されています。
プシュケの絶世の美しさが
ヴィーナスの嫉妬を招き
様々な試練を課せられた末、
アモーレの愛と永遠の魂を手に入れるという
プシュケの物語。
紀元前2世紀から語り継がれ、
ルネッサンス期には芸術作品としても多く扱われ、
更にネオクラシック期に文学作品としても
重要な位置を占めるようになります。
このカノーヴァの作品と一緒に
Fran?ois G?rard(フランソワ・ジェラール)の
同テーマの絵画作品も
ルーブル美術館から貸し出されています。
どちらの作品にも象徴として「蝶」が描かれています。
古くから蝶がプシュケの象徴として描かれるのは
ギリシャ語でプシュケが「魂」と「蝶」という
二重の意味を持つからで、
蝶は永遠の魂のシンボルともなります。
愛や幸福を手に入れるには、
魂は数多くの試練を乗り越えなくてはならないと教える
プシュケの物語に想いを馳せながら
鑑賞するのもよいかもしれません。
Amore e Psiche
会場:Palazzo Marino(マリーノ宮殿)
Piazza della Scala 2 ミラノ
会期:2013年1月13日まで
開館時間:9:30-20:00 木曜日9:30-22:30
12月24・31日 9:30-18:00
入場料:無料