ニコ、デビュー

　カウンセラーの息子役の代役はフグがしていました。同時にアルビンもしていました。フグは去り、オリジナルのミロが休むときはアルビンが代役をしていたのですが、正式な代役としてはニコラが選ばれ、練習を重ねていました。
　ミロは役者です。映画にも出るような役者です。役者がすべきその役を、背格好が似ているという理由でアクロバットのアーティストの中から代役が選ばれたことにやるせない思いがたくさんありながら、ミロは丁寧に指導をしていました。
　そして今日はニコラデビューの日。ミロに付き添われて無事に今日の舞台をこなしました。みなから「良かったよ。」と声が掛けられる中、隣にいたミロはどんな気持ちだったのだろうと思いました。本当の心の中はどんなだったのだろうと。
　その役をすることの第一歩というのは誰にでもあるわけです。何度もその役をしてきた人と初めてする人に違いはあるに当然です。でも今日は、そういうことではなく役者としてのキャリアの違いを感じました。
　頑張ったニコラに私も「良かったよ。」と声を掛けました。隣にいたミロにも声を掛けるべきだったと悔いています。