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―日々余話― 呑むほどに、酔うほどに‥
昨夜の宴、集ったのは一人増えて7人となった。
いずれも昭和19年生れだが、お互いにとっては初めての人間もいる。いずれの者ともすでに面識あるのはMひとりの筈。
日頃、なかなか会えないのだが、それだけに、逢いたい奴と会うというのは、まことに心地よい。
お互いの太い糸、細い糸を手繰り寄せての集いである。これからも各々個別には相見えることはあろうけれど、この7人が一堂に会することは、もう二度と起こりえぬのかもしれぬ、そんな予感さえ孕む一夕。
誰かが、想いのありったけを、語り尽くす訳でもない。この年まで歩みきて、いまさらそんな必要はない。それぞれに空中戦のように飛び交う言葉の切れ端から、茫としたものながらも立ち上がってくるそいつの全体像といったものが仄みえてくる。それでじゅうぶんに堪能、腹が充たされてくるといった感じだ。
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愉しかった。
―山頭火の一句― 行乞記再び -76-
3月14日、曇、時々寒い雨が降つた、行程5里、また好きな嬉野温泉、筑後屋、おちついた宿だ
此宿の主人は顔役だ、話せる人物である。
友に近状を述べて、-
嬉野はうれしいところです、湯どころ茶どころ、孤独の旅人が草鞋をぬぐによいところです。
私も出来ることなら、こんなところに落ちつきたいと思ひます、云々。
楽湯-遊於湯-何物にも囚へられないで悠々と手足を伸ばした気分。
とにかく、入湯は趣味だ、身心の保養だ。
※句作なし、表題句は1月26日付の句
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Photo/武雄から嬉野へ向かう俵坂峠の番所跡
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Photo/俵坂峠にさしかかる嘗ての長崎街道
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Photo/嬉野温泉、嬉野川沿いの露天風呂
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