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林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」
―世間虚仮― 台風とドル破綻の嵐と…
10月も最終週に入ろうとして、列島を掠っていったものはあったものの、今年、台風は一度も本土上陸をしていない。このままいくと、統計を始めた1951-S26-年以来、4度目の上陸ゼロということになるそうだが、58年間に4度というのを稀有と受けとめて、気象変化に凶兆をみるかみないか、そのあたり微妙といえばいえそうだ。
「DAYS JAPAN」の11月号を見ていると、「マネーゲームの果てに」と題した、サブプライム・ローンに端を発した世界金融危機に関して、短いプロテストの文があった。
これによると、この新しいローン制度のお蔭で、98年から06年までに建てられたマイホームは総数144万戸だったが、金融破綻からすでに差し押さえを受けた物件は、なんと237万戸に達しているというのである。なんのことはない、サブプライムなる新制度登場のずっと以前から、小市民の夢ともいえる住宅を喰いものにしたマネーゲームのバブルは始まっていたのだ。
そのドル破綻の嵐に、福田辞任から麻生新総理誕生で、そのまま解散必至の筈だった政局は、経済の立て直しこそ緊急課題とばかり、麻生政権は解散を先送り。かってない規模の住宅ローン減税を声高に叫ぶが、どうも矛先がトンチンカンなのではないかと思えてしかたがない。そんなことではどのみち世界恐慌にもひとしいこの危機はとても乗り越えられまいにと素人目にも映り、タナボタよろしく舞い込んできた権力への執着ばかりが透けてみえて、どうにもいただけない宰相殿であることよ。
<連句の世界-安東次男「風狂始末-芭蕉連句評釈」より>
「炭俵の巻」-36
北のかたなくなく簾おしやりて
ねられぬ夢を責るむら雨 杜国
次男曰く、北の方の慕情、興奮にこと寄せて、せっかくの興の盛上りをこのまま終らせるのはまことに心残りだ、と云っている。挙句の常とは一味違う、と。
「炭俵の巻」全句
炭売のをのがつまこそ黒からめ 重五 -冬 初折-一ノ折-表
ひとの粧ひを鏡磨寒 荷兮 -冬
花荊棘馬骨の霜に咲かへり 杜国 -冬
見るまどの月かすかなり 野水 -秋・月
かぜ吹ぬ秋の日瓶に酒なき日 芭蕉 -秋
荻織るかさを市に振する 羽笠 -秋
賀茂川や胡麿千代祭り徽近ミ 荷兮 -雑 初折-一ノ折-裏
いはくらの聟なつかしのころ 重五 -雑
おもふこと布搗哥にわらはれて 野水 -雑
うきははたちを越る三平 杜国 -雑
捨られてくねるか鴛の離れ鳥 羽笠 -冬
火おかぬ火燵なき人を見む 芭蕉 -冬
門守の翁に帋子かりて寝る 重五 -冬
血刀かくす月の暗きに 荷兮 -秋・月
霧下りて本郷の鐘七つきく 杜国 -秋
冬まつ納豆たたくなるべし 野水 -秋
はなに泣桜の黴とすてにける 芭蕉 -春・花
僧ものいはず款冬を呑 羽笠 -春
白燕濁らぬ水に羽を洗ひ 荷兮 -春 名残折-二ノ折-表
宣旨かしこく釵を鋳る 重五 -雑
八十年を三つ見る童母もちて 野水 -雑
なかだちそむる七夕のつま 杜国 -秋
西南に桂のはなのつぼむとき 羽笠 -秋・月
蘭のあぶらに〆木うつ音 芭蕉 -秋
賤の家に賢なる女見てかへる 重五 -雑
釣瓶に粟をあらふ日のくれ 荷兮 -雑
はやり来て撫子かざる正月に 杜国 -夏
つゞみ手向る弁慶の宮 野水 -雑
寅の日の旦を鍛治の急起て 芭蕉 -雑
雲かうばしき南京の地 羽笠 -雑
いがきして誰ともしらぬ人の像 荷兮 -雑 名残折-二ノ折-裏
泥にこゝろのきよき芹の根 重五 -春
粥すゝるあかつき花にかしこまり 野水 -春・花
狩衣の下に鎧ふ春風 芭蕉 -春
北のかたなくなく簾おしやりて 羽笠 -雑
ねられぬ夢を責るむら雨 杜国 -雑
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