里の部屋

日々思ったことを綴っていこうと思います。

折々のことば

2016年01月07日 | 日々のつぶやき
今日の新聞・折々のことばから

それはまだ人々が「愚か」(おろか)と言う貴い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋(きし)み合わない時分であった。

                                      谷崎潤一郎

 みすみす損とわかっていてそれをする。

後ろ指さされると知りつつ流され、身を持ち崩す。

世の趨勢(すうせい)からあえて外れるのは、損得勘定からすれば「愚」であろう。が、世の習いにすり寄らない、そんな生き方をも懐深く抱擁する社会は、危機をしたたかにくぐりぬける別の選択肢を用意しているともいえる。

                                短編「刺青(しせい)」から。