あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

異なる世界

2017-01-12 18:06:53 | 随筆(小説)
はぁ、暗い。部屋が暗い。なんで今日はこんな暗いんや。
最近もう俺は蛍光灯を一切つけてない。
一日中、デスクの上のスピーカーの上に載せてあるデスクランプしか点けてへんねん。
目がな、まぶしいねんか。ほんま。
点け照られるかって、あんな、白い光。
俺の目はもう、真っ暗だ。
アメリカ人のタイラーにゲームの話題で返事するのがしんどいから(自分から話しかけたくせに)、たまにはぐだぐだな日記でも書こうかな。
俺は想うんだ。
俺は想うんや。
俺はこの世界において、いったんなんなんやろう。
この世界って俺のなかでの、なんなんやろう。
クスクスを食べながら俺はクスクスと嗤ったよ。
神妙な顔で。
おまえのポエムを俺のなかでエムポしてやろうか。
エドワード・スノーデンに、なんてゆうたら、恋人と仲の良さそうな写真をネット上にあっぷしてくれないようになるんやろか。
見るたびに、愛しているのに、憎んでまう。
愛しているからこそ、憎たらしいとゆうもんだー。
俺をこんなにも苦しめるなんて、あなたって人は、あなたって人は、おまえってやつぁ、ははははは、うひょひょひょひょ、ほほほほほほほ、てめえっていう存在は、貴様ってやつぁ、本当の、ローヒーだ。
死ぬまで愛したいって、マジ想ってる。
どーでもええけど、なんで告発したん?
俺はまたスノーデンと霊と霊との対話を行なった。





















ES「はははははは。きみはまたまたそんなご冗談を」
俺「俺は冗談なんて、言ったことがないことなんて、一度もないことがないことがないこともないほどに、ある」











ES「あのねぇ、きみ、ぼくを傷つけて、きみは平気だっていうのかい、え?」
俺「平気なわけないだろう!傷ちゅけているのは、あなたのほうじゃぁないですかぁ」












ES「なんだって?ぼくがいつきみを、いつロシア時間で何時何分何秒にきみを傷つけたかをきみは言える資格があると想っているのか。きみにはそんな資格などないだろう。あるのは、ぼくだけさ。それをきみだって、解ってるはずじゃないのか。きみなんて、生きている価値がないんだよ。そうだろう?ぼくはいつでも君を傷つけるために、恋人と仲のよい写真をツイッターに載せてるんだからね。きみの自由は、ぼくが命を懸けて奪い取ったものだ。きみにぼくを傷つける資格なんてない」
俺「いったい、どうしちまったんだ。エド。あんまりやないかいな。俺はたしかぁに、あなたに傷つけてもらいたい存在だが、こんな、誰に監視されているかわからないところで俺におもくそゆうてくるなんて、あなたらしくない。ほらこのパソコン、きっと監視されてるぜ」

するとスノーデンは俺からパソコンをバシッと奪い取って、中を開けてなんか遣りだした。












ES「ったく、これだからきみは駄目なんだ。ちゃんとSDカードを抜いておかないと駄目やないか。ぼくと話すときは抜いておけって散々言ったのに」









ES「はぁ……ほんま、きみは何を言ったって、この深刻さに気づいてくれへんねんな、ほんまもう、たまらんわ、ぼくがなんのために、命も家族も恋人をも犠牲にして、告発したか、もうすこし、真剣に考えてくれたっていいじゃないか」
俺「考えたいよ、俺だって。でも正直、しょうもないことであなたは命を懸けたんじゃないかって気持ちもある。ごめんな」











ES「ふっ、ふざけるなよっ……。ぼくがどれだけ、どれだけ、人々を、この、世界を愛しているか、きみにはなんにも、なにひとつ、伝わらないのかよぅ」
俺「伝わってるさ。だから俺はあなたをほんとうに愛しているんだって何遍もゆうてるやんか。でもあなたの深刻な監視の警告は、いまひとつ、実感を感じられないことが確かだ。なんでなんやろな。俺もようわからんわ。なんかもう、めんどくさいねん、パスワードを全部くそおぼえづらいやつに変更したり、暗号化のツールをいろいろ使ったりとかっていうのはさ」










ES「ほんっま……落ち込むわ」
俺「悪いって想ってるよ。でもどうできるんだ、嘘の気持ちで、警戒したらええんか」










ES「はぁ…」
俺「何見てんのん」









ES「何見てんのんじゃねえよ」
俺「お、いきなり人格と顔と服が変わったな」
ES「きみ、このまえ、こんなことをFacebookに投稿してたやん。”スノーデンの警告「僕は日本のみなさんを本気で監視しています」”ってさ。なにこれ。なにこれ」
俺「あっ、そっ、それは…はははっ、ただの冗談じゃないかスノーデン。気にすることはない」
ES「ハァ……もう、宇宙へ還りたい」
俺「やっぱり、あなた、地球外生命体だったんだね」










スノーデン容疑者はソファーの上で脚を組むと、堂々と言った。

ES「そうだ」
ES「そうだと、想ってた…」












ES「わたしは、シリアストラル星からやってまいりました、シリアストラル星人です。この姿も、人間の形を取った仮の姿です」
俺「そ、そうだったのか…」
ES「わたしの本当の姿をあなたがご覧になられたらきっと、脱糞と放尿と気絶した瞬間に失神、つまり神を失い、あなたは死ぬだろう」
俺「そんな、そんな、んなあほな」
ES「ほんとうです。それでもええとゆうなら、見せてもええが、どうする。あなたの自由だ」

そう言って、スノーデン容疑者はさびしそうな顔で微笑った。


















俺「それでも、俺は、俺は、ほんとうのあなたが見たい。あなたを、ほんとうに愛しておるのだよ。俺のあなたへの愛が、本物であるがために、俺はあなたの本当の姿をこの目で見たい」
ES「わかりました。そこまで仰られるのなら。いいでしょう。見せます。きみに。でもどうか、それでもわたしのことを、好きでいてください。ぼくのことを、愛していてください」

俺は静かにスノーデン容疑者を見つめながら頷いた。





するとスノーデン容疑者の姿は、たちまち、別の姿へと、徐々に変化していった。
プちゅくるくる繰るるるるるぅ~ンパパパパパパ利ららららららぁんもりゅりゅりゅりゅりゅんぼっすぅ~ン。と口で言いながら。







俺は驚愕のあまり、言葉が出なかった。

























俺は震える手で、変わり果てた姿のスノーデンの頭を撫でた。

俺「なでなで」
ES「こそばゆいさ」

俺は途端、何故だか涙が止まらなくなり、目の前にいるスノーデンの体を、想いきり、握りしめた。














「愛するちいさな異星人スノーデン」    完