あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第八十四章

2021-11-13 20:53:07 | 随筆(小説)
我が永遠に愛する母エホバよ、
わたしを御憐れみください。
わたしはあなたの胎に宿ったとき、わたしはこの世界に生まれたくはなかった。
わたしはわたしの内にある罪のすべてを知っていた為、この地の獄に産み落とされたくはなかった。
あなたはわたしの罪の重さを知りながらわたしを生み落とした。
存在するどの地もわたしに平伏し、わたしが見えないと言った。
わたしもわたしが見えなかった。見えるはずがあっただろうか。
あのとき、あの日に、彼がわたしに契約したのを憶えている。
此処に、存在するすべてをわたしに与えると彼は言った。
その代わりに、わたしは彼と契約した。
わたしは永遠に悲しみつづけ、苦しみつづけて生きつづけるこの地獄にだけ存在する存在として、あなたと一つとなって、この黒々とした冷たい血の消えない地に産み落とされ、果もなく、生きてゆかねばならないこの息を授かることを。

永久に悲しみつづける我が母エホバよ、わたしをだれよりも苦しい生け贄として焼き尽くしてください。
あなたの最も求めるものは何よりも苦しみ、地の底に我を喪うほど打ち砕かれた霊。
それは何よりも、あなたの生け贄として相応しい。
あなたの求める完全なる雄牛、その黄金の祭壇に血の滴るその舌と骨を。
我が愛する神エホバ、あなたに捧げられますように。

わたしのたった一人の母、エホバ。あなたに帰らせてください。
あなたはまだだれも、見たことのないもの。
あなたこそ、真の死。
わたしはあなたに立ち戻る。
わたしと共に賛美し、この始りと終りなき夜を祝福してください。





















Gregorio ALLEGRI - Miserere Mei, Deus (+ Lyrics / OXFORD, Choir of New College)  



















愛と悪 第八十三章

2021-11-13 00:28:03 | 
Qui tollis peccata mundi

わたしの子羊たちは、何処へ行ってしまったのだろう。
わたしが愛され、愛しつづけた子羊たちは、何処かへ行ってしまった。
わたしは聴いていた。
彼らがその柵を超え、別れを告げる為、わたしの家のドアを叩く音を。
わたしは眠っていた。
彼らは一晩中、寒さに凍えながら、わたしを呼んでいた。
わたしは静かな闇のなかで、その音を聴いていた。
夢のなかで子羊たちはわたしに合図を送った。
そのときが来たと知らせ、
もうすぐ此処を去り、当分もう此処へは戻っては来ないことを。
彼らはわたしにあの夜囁いた。
”すべては終り、すべてはもうすぐ終る。”
夜明けを喪う永い永い夜が来ると。
でも忘れてはならない。
あなたはあなたを、忘れてはならない。
あなたに光を取り戻すことのできる者は、あなただけであると。
彼らは音もなく、わたしにそう囁いた。
わたしの罪の為に苦しみ、犠牲となって死んだ者たちの、
輝き続ける星空の観えない、
この闇のなかで。













Qui tollis peccata mundi,
Tolerare ruinam mundi hic.


世の罪を除き給う子羊よ、
此処では世の堕落(破壊)を赦し給え。















Stina Nordenstam - Murder In Mairyland Park