今日は町村週報のコラムからご紹介します。
筑波大学名誉教授の村上 和雄さんの「思考の器が大きな
人が一番遠くまで行く」というコラムです。
日本で最初にノーベル賞を受けた湯川秀樹先生は、世界的な
名声を得た以降も、ご自分の「凡才」ぶりに悩んでいたそうです。
私の恩師の一人で、京都大学の学長も務めた平澤興先生が、
親友の間柄であった湯川先生に「私は頭の回転が遅くて困って
いる」と打ち明けると、湯川先生は「私はあなた以上にそのことで
困っています」とこぼされた。
(中略)
しかし、お二人の頭脳は鈍いかも知れないが、その分「大きくて
深い」のです。速やかに一直線に解答にたどり着く、そういう秀才
的かしこさには欠けていても、大きな回路をたどりながら、根っこ
からさらうように深く物事を考える力が人並み外れていた。いわば
思考の器が大きい「大鈍才」なのです。
(中略)
安っぽくものごとを考えず、早わかりしない。鈍で重だが、深く
大きく思考する。そうした人が遠回りしながらも確かな成果をあげ、
時間はかかるけれど、一番遠くまで行くのは、科学の世界に限らず
決して珍しいことではありません。
格言にもあるとおり、ゆっくり行く人が一番遠くまで行くのです。