先日のやや曇り空で気温が30度以上もあった蒸し暑い日に、
奈良県の葛城市にある竹内街道を歩き、古いお寺や古墳
などの史跡を巡りました。
日本書紀に記述されている推古天皇により敷設された当麻径は、
613年頃に難波(なにわ)と飛鳥を結ぶ、重要な道でした。
現在の大阪府堺市と奈良県葛城市を結ぶ竹内街道とルートが
重なる事から、竹内街道が日本最古の官道と云われています。
海外からの物資や文化が上陸する難波の港から大阪と奈良の
間にそびえたつ葛城山系を山越えして、それらを飛鳥にまで運
ぶ、又は二上山で産出されるサヌカイト(緻密な古銅輝石安山岩で
香川県坂出市国分台周辺でも産出するので讃岐岩とも言われています。
古代には、石器の材料として使われ、打製石器、磨製石器に加工され
使われていました)を運ぶ街道でもありました。
(二上山のサヌカイト)
・・・物資を運ぶ人、戦乱から逃れる人などが歩いた歴史ある街道です。
作家、司馬遼太郎が幼少期を過ごしたこの地について、著書「街道をゆく」
で綴っています。
近鉄電車 磐城駅から出発して、
長尾神社~今市地蔵~孝女伊麻旧跡~綿弓塚~當麻寺~當麻山口神社
~傘堂~高雄寺跡~石光寺~當麻北墓~蹴速塚を巡り、
近鉄電車の当麻寺駅から乗車して帰路に着きました。
葛城山系の山々のなかで私は、二上山がとても綺麗に見えました。
印象に残った事を記録しておきます。
※孝女伊麻旧跡
病弱な父親への孝行に生涯を尽くした「伊麻」という女性を
たたえた碑があります。母親が早くに亡くなり、継母にひどい
仕打ちをうけますが、弟と共に病弱な父親の面倒をよく見た人
で、父親に栄養をつけようと鰻を探しまわりましたが、見つから
なったのが、ある日の夜遅くに台所にある水瓶で水の跳ねる音が
して、見ると鰻がいたので、料理して父親に食べさせたら、父親が
元気になりました。
この事を聞いた藩主が感動し、「今市物語」として語り継がれ絵巻に
なっています。
磐城小学校には、この「お伊麻さん」の像があります。そして校章を
鰻が入っていた水瓶をモチーフにしています。
※綿弓塚
芭蕉が生涯に4回も訪れたところで、綿弓とは、綿の中にある砂や小石
などを取り除く道具でこの地でその作業所があったところ。
芭蕉はこの作業を見て、滞在してお世話になった庄屋の当主に
「綿弓や 琵琶になぐさむ 竹の奥」と俳句を読み贈っています。
その他にもたくさんの芭蕉やお弟子さん達の俳句が記念館に展示
してありました。
※當麻寺にある梵鐘
聖徳太子の異母弟である麻呂子王が建立した「万法蔵院」が始まり
であると伝えられている當麻寺に日本最古の白鳳時代の梵鐘があります。
ひび割れしていて、つけないのですが、貴重な鐘を保存しています。
※石光寺の中将姫石像
中将姫が継母から、虐待を受けても、少しもうらまず、ただ一筋に
仏の道に精進し、ついに極楽浄土を目の当たりに感得したという。
境内には中将姫ゆかりの「染の井」と「糸掛桜」があり、中将姫が
曼荼羅を織るために蓮の茎を集めて糸を採り、それを水に浸した
ところ五色に染まったという伝説の場所で、染めるために水を
汲み上げた井戸を「染の井」、傍らの桜の枝を「糸掛桜」と
云われています。
※悲劇の皇子、大津皇子をしのんだ 姉、大伯皇女の歌碑
「うつそみの人なる我や 明日よりは 二上山を弟世(いろせ)と我が見む」
この歌は、無実の罪で処刑され二上山に埋葬された大津皇子を思い、姉の
大伯皇女が、「明日からは二上山を我が弟と思う」と歌に詠んだのです。
大津皇子(おおつのみこ)は、天武天皇が父親で、文武両道にすぐれ
謙虚で、部下や使用人を厚く遇したため多くの人々が慕いました。
大津皇子が24歳の時に、天武天皇が崩御し、持統天皇(女帝)が即位
した事により、大津皇子が持統天皇の皇子、草壁皇子の地位を脅かす
存在とみられ謀反の疑いをかけられ処刑されました。
持統天皇は、大津皇子の母親の妹になります。自分の子を天皇にしたくて
邪魔になる姉の子を処刑したと伝えられていますが、諸説があります。
その他にも、古代の歴史を伝えるところがたくさんあり、今回のハイクは
古代を学ぶいい機会になりました。
ハイクした道には、古墳の他にも広々とした畑があり西瓜やなすなどの野菜、
ミツバチの養蜂所などもあり、目を楽しませてくれました。
・・・かなり日焼けしました(笑)
二上山が、このコースのどこからでも仰げました。葛城山系の山々と並んで、とてもいい景色でした。
持統天皇は実際に政治をしていたとの事、すごいですね。
写真が上手く撮れていて、説明を読んでいると私も歩きたくなりました。
二上山は阿倍野からも見えるように、存在感がありますよねぇ~
二つ並んでいる特徴ある山なので、遠くてもすぐ分かります。
私は甘樫の丘に登ると、いつも二上山を見ます。
持統天皇も昔、こんなふうに二上山を眺めていたのだろうかと思うだけでワクワクします。
古代のロマン~~面白いですね。