現実世界から隔絶された北欧の村で行われる。古代的生命観、宇宙観に彩られた、死と再生の儀式、「夏至祭(ミッドサマー)」。
北欧の夏は白夜なので、日はほとんど沈まない。その明るい陽光の下で行われる奇妙で恐ろしい儀式の数々。
でも儀式を行っている村人たちは、べつに怖がらせようと思ってそれらの儀式をおこなっているわけじゃない。そこにあるのは、神への、大自然への、先祖への敬虔なる思いがあるのみ。
ただやってることが普通じゃないってことだけ。
まあこの、普通じゃなさ加減が、それこそ「普通じゃない」わけですけど。
どうだろうねえ、確かにエロいっちゃエロいし、グロいっちゃグロいのだけれど、そんなトラウマ級のものでもなかった気がする。むしろここで描かれている、古代的生命循環思想に興味を惹かれてしまって、ちょっと文化人類学的な視点で作品を堪能してしまった。
そういう面白さがあるなあ。
いや、本格的に文化人類学を学んだ方からしたら、ちゃんちゃらおかしいぜ!て内容なのかもしれませんが、私は結構興味深く見せてもらいました。
作中で使われている特殊メイクの類も、なんか80年代によくあったスプラッター・ムービーみたいで、観たことあるようなものばかり、だからさほどにショッキングでもなく、まあ、ミイラ化した死体とか出てくるんだけど、「よくできてるなー」と感心はするけれど、怖いかと言われればそうでもない。
なんだろうね、皆さんが言うような「トラウマ級の怖さ」というのは感じなかったなあ。
でも「面白い」映画ではあります。
今我々が後生大事にしている価値観や倫理観などに絶対性はない。ところ変われば品変わる。郷に入らば郷に従え。所詮この世に
絶対などない。
そういう映画、ですかね。
主人公がラストに見せた満面の笑み。あれは現代社会に生きづらさを感じていた彼女が、この村に自らの「居場所」を見つけたのだろう。そういう意味では
ハッピーエンド
なのかもしれないね。
私にはトラウマ級でもなんでもない映画でしたが、人によってはホントにトラウマになっちゃうかもしれない作品ではあります。まあですから、観なくて済むなら観ない方が良いでしょう。
あえておすすめはいたしません。強い興味を持たれた方だけ
ご覧あれ。