イギリス諜報部MI6の諜報員ジェームズ・ボンド。コード・ナンバー007の活躍を描く、シリーズ5作目[007 / You Only Live Twice]
邦題『007は二度死ぬ』
シリーズ唯一の、日本を舞台にした作品。ほぼ全編日本でロケが行われています。
日本の場合、映画の撮影許可を取るのが難しく、そのため洋画の場合は日本を舞台にしていても、実際に日本でロケが行われることはほとんどありません。
高倉健や若山富三郎、松田優作などが出演した映画『ブラックレイン』は大阪が舞台ですが、実際に大阪でロケされたシーンはほんの僅か。ほとんどがハリウッドで撮影されています。
『ラストサムライ』はほぼ全編オーストラリアロケだし、ブラッド・ピット主演で真田広之も出演している去年公開の映画『ブレットトレイン』は、日本の新幹線車内で起こる事件を描いていますが、これも日本では撮影されていない。
現在公開中でキアヌ・リーブス主演、真田広之、ドニー・イェン共演の映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』でも大阪のシーンがありますが実際には大阪で撮影はされていません。
しかし『二度死ぬ』は違います。ほとんど国家規模といっていい協力体制の元に撮影されており、地下鉄丸ノ内線を借り切って撮影するわ、当時の横綱・佐田の山が本人役で出演するわ、国宝・姫路城で大規模な武術シーンを撮影するわ、特別にオープンカー仕様にしたトヨタ2000GTが登場するわ、ホント
破格の協力体制だったと言って良い。やはり
007は違うね。
しかしながら、洋画によくある「トンデモ日本」という奴、この作品にも当然のようにあります。
なかでも際立っているのが、日本の諜報部隊。これがほぼ
「ニンジャ」なんです。
とつくにの方々は、侍とか刀、そして忍者が好きなんですね。ある意味、日本人以上に。
上に挙げた映画、ジョン・ウィック・シリーズの3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』でも、最大の死闘を繰り広げるのはニンジャ軍団相手だったし、今回の作品『……:コンセクエンス』では真田広之とドニー・イェンの壮絶なチャンバラ・シーンが描かれています。
本当は彼らだって知っているんですよ。現実の日本にはもはや、侍もニンジャもいないってこと。
それでも観たいんです。侍を、チャンバラを、日本刀を、ニンジャを、手裏剣を。
若い頃は、そんな「トンデモ日本」を観るのが嫌でした。なんだか馬鹿にされているような気がして。凄く不愉快でした。
でも今は違います。今はなんとなくわかってきたんです。
なぜ彼らが敢えて「トンデモ日本」を描き続けるのか。
それはおそらく、日本という国への、日本文化への
憧れ、リスペクト故のことなんだと。
エンタテインメントという「ファンタジー」のなかで、たとえ荒唐無稽なかたちであっても、彼らが憧れるニッポンを描きたかったんだなと。
そう思えるようになってから、この「トンデモ日本」、私も好きになりました。
すべては「視点」の問題。憧れ、リスペクトとしての「トンデモ日本」という視点に立ってみると、これがメッチャ
面白いんだ。
「ニンジャ」バトル・シーン
天井からロープを伝って一斉に降りてくるカッコよさね。最初は銃を使って攻撃するけど、最終的には刀を抜いて敵をバッタバッタと斬り倒す。んなわきゃねーだろ!なシーンですが、やりたくて仕様がなかったのでしょう。日本の時代劇が好きなのだろうから、赦す。
ショーン・コネリーカッコいい!丹波哲郎若々しい!
浜美枝さんメッチャ綺麗!ドナルド・プレザンスの重厚感!
こういう荒唐無稽な楽しさ
好きだなあ。