BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説21-1「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-03 14:41:58 | ★ディスティニー21章
 その頃、実はディスグラ軍団は悩みをいくつも抱えていた。
 6月1日に、実は8枚目のシングル...諒と、このために戻ってきてもらった、デビュー作以来のプロデューサー・木内がプロデュースした曲がリリースされることになっていたのだ。
 周囲も「今度こそミリオンを」と祈っているわけで…無言のプレッシャーもメンバーは感じていた。
 諒個人としては、その曲がミリオンに届いたらライブで、前半の公演地には悪いが、できれば披露したい、そんな思いも強くなってきていた。
(でも、麻也さんに負担はかけたくないな…)
 さらにメンバーを悩ませたのは熱狂的過ぎる「追っかけ」が増えていることだった。
 リズム隊の二人は気にしない素振りを見せていたが、麻也が異常に気にしているのが伝わってくるにつけ、諒もほとほと困っていた。
(体調が悪い姿を見せたくないと気にしているのは分かるけど、それで神経質になるのは…あーもう、ファンならルール守ってくんないかなっ!)
 そんな時に直人がとんでもないことを聞きつけてきた。
 麻也のいないところで諒は真樹と一緒にその話を聞いた。
 直人のローディーのジンが聞きつけてきたのだが、麻也が泥酔よりもひどい状態で誘拐された…いつぞやの夜を見られて、その噂はファンにも広がっているのだという。
 困ったのは、麻也のその泥酔は酒のせいではなくドラッグのせいではないかと言われているというのだ。真樹の方が先に気を取り直して、
「いやいやジンちゃんは一体誰に聞いたの?」
すると直人はためらう。しかしどうにか、
「ジンちゃんが聞いたのはどうやら……ボムかららしいんだ。」
ボムというのは、麻也のローディー・ケンのアシスタントだ。
「それだけならまだいいんだけど…」
直人の困りようは尋常ではない。諒が黙り込んでしまったので真樹が、
「その他に何かあるの?」
「濁してたけど、どうやらホテルの部屋に連れ込んだファンの女の子に聞いたらしいんだよ」

★BLロック王子小説20-26「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-03 13:53:34 | ★ディスティニー20章
「写真のことは忘れてるみたいでよかった…」
 と、諒がほっとしてつぶやくと、麻也は済まなそうに、
「あれは諒のいいように処分して」
「じゃあ俺の部屋の壁に貼る!」

 麻也の新しいレースのシャツは大好評だった。胸が大きく開いてセクシーな上にボタンが外しやすかったので、キスシーンで諒は…
 全部ボタンを外してしまい麻也の胸をはだけさせた。
 そして諒はその、熱いステージの汗が流れて輝く麻也の胸を愛しく撫で回して、唇を奪った。
 客席からは歓喜の悲鳴とため息…そして大歓声…

「あのエロいシーンが終わると、麻也くんが諒くんの余韻に構わないでさっさと歩き出すところがいいよね」
 打ち上げで、また地元の関係者に言われてしまった。
「そんなことないです」
「気のせいですってば」
麻也と諒は二人で笑いながら否定した。
 …その数時間後、麻也はぐったりとベッドに横たわり、諒に服を脱がせてもらっていた。
 そして…諒の裸の胸に抱きしめられた途端、麻也の意識は落ちた。
 (第20章終わり)