心配になって諒が尋ねると、
「大丈夫なんですけど、社長が心配して休みにしたんです。我々若い者と同じわけにはいかな…」
そこで2人は顔を見合わせて笑ってしまった。
取材先ではやっぱり、ミリオンがすごいですねと言われたが、諒は、みんなで獲ったものなので、とかまだ実感がないとか答えた。それは諒の本音だった。
帰りは鈴木と2人で夕食を済ませた。鈴木は麻也の着替えなどを取りに、また諒たちの部屋に上がった。
ダブルベッドに腰掛けて、諒は作業中の鈴木の背をぼーっと見ていた。細々したものは諒が選んでやるべきなのだろうが、そんな気になれなかった。
自分のボストンバッグに麻也のシャツを入れていた鈴木が、クローゼットの前で座ったまま大きなため息をついたのは、そんな時だった。
「ごめん、鈴木さん俺もやるよ」
「大丈夫ですよ。いや、麻也さんの寝顔の写真、本当に取られてなきゃいいなとか思って…」
「えっ?」
諒はびっくりして、そのまま固まってしまった。
それを見て、鈴木は落ち着いた表情で諒を見上げ、
「麻也さんはあの日気分が悪くなって、ケンさんの部屋を目指してしてホテルに戻ったそうです。僕たちマネージャーや付き人が誰も見当たらなかったそうで…すみません…
「…でも、どうして何の連絡もなく、ケンの部屋だったんだろう?」
「麻也さんはかなり具合が悪かったみたいです。それで名前も知らない地元のスタッフにホテルにまでは付き添ってもらったそうで。
だから、諒さんのいない自分の部屋でひとりになるのが怖かったので、僕たち打ち上げ組と別行動で信頼できる人間といえばケンさんしか思いつかなかったと…」
諒が驚くばかりで、言葉を失っていると、
「昨日社長の家で事情を聞かれたんです。麻也さん、ボム、ケンくん、須藤さん、真樹さん、そして僕と後藤くんで」
「…」
「あの夜、ご存じの通りケンくんは打ち合わせでいなかったんですが、とにかく麻也さんは限界で横にならせてもらったと…」
そして、ボムが言うには、馴染みの追っかけの女の子の携帯が繋がらず、約束がキャンセルできなかったので2人は酒を持って、約束通りやってきて…
「バカじゃないの、そんな子追い返せば良かったのに」
「そうなんですよって同じアシスタント仲間の部屋にも交渉したけれどもちろん断られてどうしようもなかったそうです」
鈴木もあきれ顔だったが、諒もバカバカしくなった。
女の子たちは寝ている麻也を見て色めき立ったが、慣れた追っかけだったらしく麻也を起こさないようにして、起きたらせめて話だけでもしようという感じだったらしい。
「ボムは麻也さんがあまり見えないように座って飲んで喋っていただけと言ってましたけどね…それは本当だと思いますけど、ボムも結構酔っていたようなので、隠し撮りのようなことはされていないか心配ですよ。ケンくんが女の子と変なことをしていた形跡がないって言ってたのが、せめてもの救いかも…」
諒はまた鈴木をじとっと見てしまった。
「何で救いなの?」
「えっ、だってボムがヘンな事してたら麻也さんまで共犯みたいに思われるじゃないですか」
ぬか喜びを恐れた諒は、
「えっ、どういうこと?」
すると鈴木は察してほしいという風に、
「そういう形跡があったら、麻也さんまで参加したかと一瞬でもケンくんも疑っちゃうじゃないですか!」
「あ、そうか…」
諒はほっとしてにんまりしてしまった。
「大丈夫なんですけど、社長が心配して休みにしたんです。我々若い者と同じわけにはいかな…」
そこで2人は顔を見合わせて笑ってしまった。
取材先ではやっぱり、ミリオンがすごいですねと言われたが、諒は、みんなで獲ったものなので、とかまだ実感がないとか答えた。それは諒の本音だった。
帰りは鈴木と2人で夕食を済ませた。鈴木は麻也の着替えなどを取りに、また諒たちの部屋に上がった。
ダブルベッドに腰掛けて、諒は作業中の鈴木の背をぼーっと見ていた。細々したものは諒が選んでやるべきなのだろうが、そんな気になれなかった。
自分のボストンバッグに麻也のシャツを入れていた鈴木が、クローゼットの前で座ったまま大きなため息をついたのは、そんな時だった。
「ごめん、鈴木さん俺もやるよ」
「大丈夫ですよ。いや、麻也さんの寝顔の写真、本当に取られてなきゃいいなとか思って…」
「えっ?」
諒はびっくりして、そのまま固まってしまった。
それを見て、鈴木は落ち着いた表情で諒を見上げ、
「麻也さんはあの日気分が悪くなって、ケンさんの部屋を目指してしてホテルに戻ったそうです。僕たちマネージャーや付き人が誰も見当たらなかったそうで…すみません…
「…でも、どうして何の連絡もなく、ケンの部屋だったんだろう?」
「麻也さんはかなり具合が悪かったみたいです。それで名前も知らない地元のスタッフにホテルにまでは付き添ってもらったそうで。
だから、諒さんのいない自分の部屋でひとりになるのが怖かったので、僕たち打ち上げ組と別行動で信頼できる人間といえばケンさんしか思いつかなかったと…」
諒が驚くばかりで、言葉を失っていると、
「昨日社長の家で事情を聞かれたんです。麻也さん、ボム、ケンくん、須藤さん、真樹さん、そして僕と後藤くんで」
「…」
「あの夜、ご存じの通りケンくんは打ち合わせでいなかったんですが、とにかく麻也さんは限界で横にならせてもらったと…」
そして、ボムが言うには、馴染みの追っかけの女の子の携帯が繋がらず、約束がキャンセルできなかったので2人は酒を持って、約束通りやってきて…
「バカじゃないの、そんな子追い返せば良かったのに」
「そうなんですよって同じアシスタント仲間の部屋にも交渉したけれどもちろん断られてどうしようもなかったそうです」
鈴木もあきれ顔だったが、諒もバカバカしくなった。
女の子たちは寝ている麻也を見て色めき立ったが、慣れた追っかけだったらしく麻也を起こさないようにして、起きたらせめて話だけでもしようという感じだったらしい。
「ボムは麻也さんがあまり見えないように座って飲んで喋っていただけと言ってましたけどね…それは本当だと思いますけど、ボムも結構酔っていたようなので、隠し撮りのようなことはされていないか心配ですよ。ケンくんが女の子と変なことをしていた形跡がないって言ってたのが、せめてもの救いかも…」
諒はまた鈴木をじとっと見てしまった。
「何で救いなの?」
「えっ、だってボムがヘンな事してたら麻也さんまで共犯みたいに思われるじゃないですか」
ぬか喜びを恐れた諒は、
「えっ、どういうこと?」
すると鈴木は察してほしいという風に、
「そういう形跡があったら、麻也さんまで参加したかと一瞬でもケンくんも疑っちゃうじゃないですか!」
「あ、そうか…」
諒はほっとしてにんまりしてしまった。