★BLロック王子小説21-21「ディスティニーアンダーグラウンド」

「えっ？」
　麻也が驚いているうちに、そのマネージャーは部屋を出ていってしまった。
　麻也は驚きを隠せないで、また鈴音の方に向き直る事になった。
　しかし、鈴音の方も言葉に困っている。
「あの、麻也さん…」　
麻也は嫌な予感がして鈴音を厳しく問いただした。
「鈴音ちゃん、これってどういうこと？　誰かに無理矢理連れてこられたの？」
「あ…」
「それなら、この部屋から出よう。女の子が男と2人きりな丶てよくないよ」
　そう言って麻也はドアの方に歩み出そうと…
「待ってください！」
「えっ？」
　また振り返ると思いつめたような顔の鈴音だった。
「私が自分の意志で頼んだんです」
　あのマネージャーに様子が変だと問い詰められ、麻也のことで頭がいっぱいで仕事が手につかないと白状してしまったのだという。
　すると事務所の大社長にまで聞こえてしまい、今日なら地方だし、平日だから人目につくこともないだろうとさっきのマネージャーを通して社長も許してくれて、こうお膳立てされたと…
(アイツ…あの社長…)
　麻也を地獄に落とし、今でも消えない傷を…しかし麻也は今でも思う。
(俺は認めない…)
それなのにそれが諒との関係に影を落としているだなんて…　
　麻也は激しい怒りに頭がいっぱいになった。
　あの男、俺を潰すだけでは物足りないというのか。
　一体何を考えてるんだ…
　何もこんな純情な女の子まで巻き込むことはないだろうに…