BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説21-14「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-11 12:38:25 | ★ディスティニー21章
 …麻也はベッドに潜り込んだ。そしてすぐに服を脱いだ諒が横に滑り込んできて腕を回してきた
 あ…
 しかし、麻也には諒の耳元にささやく言葉は思いつかなかったのだ。
 新曲を歌い上げる諒の姿に感銘すら覚えていたのに。
 まあ、メンバーみんなここまで来ても夢見心地で、イマイチミリオンの実感が湧いていないのだから、
(今夜はごまかしきれるか…っていうか、俺かなり混乱してるかも…)
 2人きりになった途端、素肌で抱き合っていても何も言葉が出てこないのはかなりまずいとは思うが、しかし、諒は麻也の瞳を見つめてきてこう言ったのだ。
「麻也さん、良かったね、俺たちにミリオンまで獲れたんだよ、麻也さんのおかげだよ。俺の宝物になってくれて本当にありがとう」
 宝物…
 ますます麻也は困ってしまった。諒から最高の褒め言葉をもらったのに、
(でも俺は、本当に俺は…)
ずっと諒は誤解して、
「ごめん。例えが悪かった? おかしいなぁ、作詞じゃ麻也たんに負けない諒クンなのになぁ」
 そして、麻也のこめかみ辺りを優しく撫でながらお詫びに今夜は一晩中するねなどと言ってくるしかし麻也にはいい言葉が思いつかない
「…麻也さん」
 あ…
「チューだけじゃ足りないんでしょ」
でも、
「ごめん、今夜は…でも少しなら、麻也たんにご奉仕できるかも」

★BLロック王子小説21-13「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-11 12:13:09 | ★ディスティニー21章
 …睡魔と戦いながら、メンバーは次の日、リハーサルに向かい、ライブに立った。
 新曲「カテドラル」のミリオンとチャート1位を諒がMCで報告すると、当然、そのことを知っていたファンも大歓声をあげ、ホールはステージと一体で歓喜で溢れ返った。
 夕べ急遽セットリストに加えたため、機材の都合上、キーボードバージョンになっていた訳だが、スローバラードの新曲は客席にうっとりと迎え入れられ染み込んでいった
 これまでの人生、これでいいの、この世界はこのままでいいの、結構社会派のナンバーだが、みんな真剣に聞いてくれた。
 他のメンバーにはスポットライトには当たっていないが、麻也は冷静に会場の雰囲気を見ていた。自分の定位置で。
 いい曲だと思う。他の曲と同じように誇れる曲だと思う。早く、バンドの音でこの曲をみんなに届けたいと思った。
 その日の打ち上げで、「この小さい街、で初のミリオン、チャートの1位の曲を初披露してくれるなんて」、と地元のスタッフに喜ばれ、
「急遽、昨晩決めたので、フルバンドでできなくてすみません。ほぼ徹夜で音を仕上げました」
と諒が答えたところ、さぞお疲れでしょう、じゃあ早速次の店にと、疲れたメンバーにはありがたい流れになった。
 おかげで、麻也は諒と久しぶりに揃って2次会に行くことができ、早めに帰ることも出来た。体は疲れていたが、気持ちはすごくリフレッシュできて、部屋への足取りはやや軽かったかもしれない。
 しかし、やっぱり部屋に1歩入ると、安心したのだろう、麻也は少しよろけて諒の胸に抱きとめられた。
「麻也さん、お疲れさま。あとは横になってから話そうね」
うん、と麻也は頷くように肩を借りてベッドにたどり着くと腰を下ろした。
 諒に任せっきりで服を脱がせてもらうと…

★BLロック王子小説21-12「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-11 12:01:46 | ★ディスティニー21章
(なりゆきで諒との部屋に戻っちゃったけど…) 
 そして諒が戻ってくるまでダブルベッドで一人寝…寂しかったが、諦めて麻也は眠ることにした。明日のリハーサルに早く出たかったから…
 ライブを成功させたかったから…

 浅い眠りの中で麻也はドアの開く気配を感じた。
 感じる視線は温かいものであってほしいと思いながら、麻也が寝たふりをしていると諒が優しく体を揺さぶって起こしてくれた。
「麻也さん時間だよ、おはよう…」
「ん…」
 すぐに起きると眠れなかったのがばれてしまうだろう。でも心配で眠れなかったことをアピールしたいような気がしたのでだるそうに、
「諒…おはよう…寝てないんじゃないの…?」
「いや、大丈夫だよ…真樹の部屋で仮眠取らせてもらったから…割と早く終わったし」
そして、
「あとやっぱりキーボードが来ないとみたいなところになったから」
「いや俺ばかり休んで本当にごめんね」
 そんなことないよ、と言いながら、諒は麻也の手にキスしてくれた。
(今日はちょっと優しさが戻っているかも…)
しかし諒は何ごとかに驚いている。
「あれ、麻也さん何でハダカなの?」 
 まさか、面倒だったとは言えず、
「…諒を待ってたから…」
「あ、麻也さん起き上がっちゃダメ…」 
「どうして…?」
 ダメと言われれば起き上がりたくなる。
「んもー、欲しくなっちゃうでしょ、でもチューだけならいいかな…」