BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説21-18「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-16 21:56:52 | ★ディスティニー21章
 缶コーヒーを手渡してくれながら諒は結果を聞いてくれて、一緒に悩んでくれたが、
「そういえば、麻也さん、カウンセリングとかいうヤツは受けられないの?」
とアイデアを出してくれた。
 麻也はどうにか、
「うん…」
 諒の顔は見られない。思わずうつむく。
(あんなこと…囗にしたくない…諒に知られる可能性も高くなるだろうし…)
 諒も困ったように黙り込んでいる。
 そして、どうにか
「どうして?」
「どうしてって…」
 麻也は困り切って口ごもった。
 何とか、
「いやあ、ツアーの中で治療が変わってこれ以上動けなくなったら困るじゃん。今だって頭がボーッとしてるからこうやって信念さえ忘れちゃってるじゃん」
「うーん、確かにそうだよね…」
 諒も、困り果ててまた口をつぐむ。
 しかし、
「なーんかこう、治療というより心のマッサージみたいなのはないのかねえ…」
(…それでオレの)心の奥が出たら困っちゃうじゃん…) 
 ますます困った麻也は、
「いや、俺が弱いだけなんだよ。諒がいつも心までマッサージしてくれてるんだから。これ以上の環境はないんだから」
 それを聞いて諒は優しく肩を抱き寄せてくれた。
 諒の温もりが嬉しかった…

★BLロック王子小説21-17「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-16 21:18:13 | ★ディスティニー21章
 タクシーで一人になると、麻也はぼーっと考えごとだ。
 ツアー終了の次の日が諒の誕生日なのだが…
(…手配は後藤くんにしてもらうとしても…プレゼント何にしようかな。でも、まずは諒が飲みたそうなシャンパンは買っておかなきゃね…)
 最近では…夜のタイミングも合わないことが多い。麻也はひたすら寝ているだけ。
 諒は本当はじゃれ合いだけでも楽しみたいようだが、麻也は気づかないふりをすることもある。
 (最近、諒が少し冷たいのはそのせいなのかな…)
 諒との夜に飽きたわけではない、目移りしたわけでもない。
 思い出すのも嫌だが、今日は午後から冬弥とインタビュー、そしてなぜか食事までセッティングされていた…のを周りがキャンセルしていてくれた。
 明日も近場なので、またシャンデリア付きの豪華な内装のバスで寝ていける。
 麻也はもちろん、周りはさらに手応えを感じていたが、体力的な疲労は大きかった。麻也本人もつらかったしかし、その分をステージでも取材でも埋めなくてはいけないメンバー達にいつも以上の負担を強いているのもつらかった。
(思えば、諒こそ、よく倒れないでやっていてくれるてるよね…)
 申し訳なさすぎて、麻也はこれ以上諒にどう礼を言っていいかわからない。
 それで、今日も寝ている諒を起こさずに1人で病院へ向かったのだ。
(ああ、オフが欲しい…)
 疲れ切って、わらをも掴む思いで受けた診察の結果はいつもと同じ、というか先生のコメント。いつ治るのか聞いてもわからないと言われるばかり。処方された薬も同じ。
 諒に何て言ったらいいだろう…
(だるさに負けてもう何とでもと思い始めたら、俺も終わりだな…)
 家に帰ると、諒が起きていて、携帯を握りしめて心配そうな表情でリビングで待っていた。
「ごめん、起きられなくて。今電話しようと思ってたの。」