隣の諒も麻也の方は見ずに一瞬黙り込む。
「直人が明日はよその人が入っちゃうから、今夜は気心知れたみんなでじっくり喜びを噛み締めようね」
すると、真樹も何気なく運ばれたばかりの料理を突きながら、
「兄貴、座っているのつらくなったら諒に寄りかかればいいじゃない」
その時どうして自分はいつものように諒に寄りかからなかったのだろう。
そしてどうして諒はいつものように自分を抱き寄せてくれなかったのだろう。
しかしそれを予想していたらしい真樹は話題を変えた。
「でもまだ曲を披露できないわけだから悩むよね」
直人も、
「でも触れないわけにはいかないよね」
そしてこう提案した。
「諒、キーボードで歌ったら? 1曲だけなら機材何とかならないかな」
麻也は身の置き所がないような気がしたが、須藤は済まなそうに、
「諒さんすみませんがそうしてくれませんか、少しでもいいので。いくら皆さんの成長が早いって言っても、うまくスケジュールが組めなくて申し訳ないのです、でも…」
諒は驚きのあまり、目を大きく見開き、口をパクパクして困っている。
しかしすぐに、
「いや、わかった。やります。フルコーラスは無理があるけど、他の3人にもソロのコーナーがあるんだしこれから構成を練り直しましょう。みんな手伝ってね」
はーい、と麻也も笑顔で返事はしたが、諒の横顔は、麻也の側はこわばっているように麻也には思えた。
「直人が明日はよその人が入っちゃうから、今夜は気心知れたみんなでじっくり喜びを噛み締めようね」
すると、真樹も何気なく運ばれたばかりの料理を突きながら、
「兄貴、座っているのつらくなったら諒に寄りかかればいいじゃない」
その時どうして自分はいつものように諒に寄りかからなかったのだろう。
そしてどうして諒はいつものように自分を抱き寄せてくれなかったのだろう。
しかしそれを予想していたらしい真樹は話題を変えた。
「でもまだ曲を披露できないわけだから悩むよね」
直人も、
「でも触れないわけにはいかないよね」
そしてこう提案した。
「諒、キーボードで歌ったら? 1曲だけなら機材何とかならないかな」
麻也は身の置き所がないような気がしたが、須藤は済まなそうに、
「諒さんすみませんがそうしてくれませんか、少しでもいいので。いくら皆さんの成長が早いって言っても、うまくスケジュールが組めなくて申し訳ないのです、でも…」
諒は驚きのあまり、目を大きく見開き、口をパクパクして困っている。
しかしすぐに、
「いや、わかった。やります。フルコーラスは無理があるけど、他の3人にもソロのコーナーがあるんだしこれから構成を練り直しましょう。みんな手伝ってね」
はーい、と麻也も笑顔で返事はしたが、諒の横顔は、麻也の側はこわばっているように麻也には思えた。
普段ならば何とかしようとか原因とかを考えるのだが、ここでどっと疲れが出てきた麻也にいい言葉はなかった。
後から真樹に、兄貴はミリオンをどう思っているのと聞かれたが…
そこからすぐにエンジニアや照明スタッフや、別の仕事で、東京に一度帰ったキーボーディストにも電話をし、新曲の準備が始まった。
その間にメンバーの初ミリオンの喜びが広がっていく。麻也は無言でにっこりしながら話を聞いていたが諒は一度も自分を見てはくれなかった。
もういい時間だが、ホテルの須藤の部屋で、集まれるスタッフとメンバーで打ち合わせることになった。
「兄貴は自分の部屋で休んだら。明日リハーサルの時は泊まったこと教えるからさ」
みんなにもその方がいいと言われ、諒も異論は唱えなかったので、麻也は一人で部屋に戻ることになった。
後から真樹に、兄貴はミリオンをどう思っているのと聞かれたが…
そこからすぐにエンジニアや照明スタッフや、別の仕事で、東京に一度帰ったキーボーディストにも電話をし、新曲の準備が始まった。
その間にメンバーの初ミリオンの喜びが広がっていく。麻也は無言でにっこりしながら話を聞いていたが諒は一度も自分を見てはくれなかった。
もういい時間だが、ホテルの須藤の部屋で、集まれるスタッフとメンバーで打ち合わせることになった。
「兄貴は自分の部屋で休んだら。明日リハーサルの時は泊まったこと教えるからさ」
みんなにもその方がいいと言われ、諒も異論は唱えなかったので、麻也は一人で部屋に戻ることになった。