リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

待機児童新プラン:安倍政権が公約を果たせなかった理由をふまえた対策を

2020-10-04 | 待機児童
安倍政権は2017年に選挙目的で突如幼保無償化を打ち出した。待機児童解消もめどが立たないのにそんなことをしたら、潜在需要が掘り起こされて待機児童問題が悪化するとの批判は顧みられなかった(「待機児童」カテゴリーの記事一覧)。政府は2020年度末までの待機児童解消を目標にしていたが、無償化決定後の2019年春時点でも目標達成は可能としていた(過去ブログ)。
期限まで1年あまりとなったところで新型コロナウイルスのパンデミックが起こった。目標未達の口実にされるのではないかと心配していたが、休校の余波で保育需要が増える一方、感染拡大防止のために登園自粛を求めたりする例もあり保育需要はむしろ下がるとの予測もあった(緊急事態宣言のころだったか)。
安倍政権を引き継いだ菅政権は、2024年度末までに14万人分の保育の受け皿が必要とし、そのことを盛り込んで新たな整備プランを策定するという(朝日新聞2020-10-4)。これは結局、幼保無償化を先行しても待機児童解消は可能としていた安倍政権の見通しが誤っていたことを証明したことになるのではないか。

財政健全化でもなんでもそうだが、「やります」というだけなら誰でもできる。実際に予算を割いたとしても、費用対効果を考えないいいかげんな施策であれば、やはり為政者としては落第だ。
安倍政権の待機児童対策に関しては、せっかく割り当てた予算が未消化だったり(過去ブログ)、保育園はできたが保育士が足りずに開園できない(過去ブログ)といったちぐはぐな現象がかねて指摘されていた。
朝日新聞2020-10-1も、受け皿の数は増えたものの需要とのミスマッチから定員割れのところが多いことを報告している。
国の基準を満たさない認可外園のうち自治体独自が認定する「認証園」というものがあるが、(一部の認可外園も対象にして幼保無償化が実施されているはずの今でも)保育料は他の保育園(認可園、小規模保育園、企業主導型保育園など)に比べて割高になりがちで、定員割れが増えているという。東京都世田谷区の場合、今春、通例は待機児童が多い0~2歳児クラスでも372人もの欠員があったという。横浜市では今春、認可園や認定こども園計876園のうち、なんと437園もに定員割れがあったという。コロナの影響かとも思ったが、世田谷区議会は「認可園の増加や企業主導型園との競合によるもの」と分析している。横浜市の定員割れの園が挙げた理由(複数回答)は(「保育士不足」「急な辞退者や退園者がいた」ではなく)「入所希望者が少ない」だった。定員数が増えても需要とのミスマッチから、定員割れの園が続出する一方で待機児童が多い地域がなくならないというのはやはりおかしい。
需要を考えたとしても、全体的な調整不足と見られる例もある。関西のある企業主導型園の例では、せっかく保活激戦区に開業したのに自治体が想定した以上に保育園が乱立してしまい、初年度から定員割れだったという(その地域の待機児童はゼロになったのだろうか?)。
待機児童問題はもう何年も前から「待ったなし」と言われているわりに、一向に解消しない。隠れ待機児童(過去ブログ)まで考えれば、全く改善していないと言ってもいいのではないか。
安倍政権の失敗を菅政権の新プランで繰り返さないよう、菅政権は受け皿の数を増やすだけでは問題は解消しないことをきちんとふまえ、きめこまかな対応をすることが求められる。



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