10月から幼保無償化が始まったが、前後して保育料などを値上げする施設が多いらしい。
ある幼稚園の場合、9月までは給食費込みの授業料が2万3700円だったのが、10月からは授業料2万5700円+給食費4500円となった(朝日新聞2019-10-2)。「無償化」のため保護者の負担額は減るが、月6500円もの値上げは尋常ではない。しかも値上げされた授業料の額は、無償化の対象とされる(つまり政府が補填してくれる)上限額だというから、どうせ国や自治体の負担ならもらえるいっぱいまで値上げしようという魂胆が見え見えだ。
ほかにも、保育園が保育料を1万7400円値上げ、主食費が500円から3000円へなどの値上げをしたため、支払額が3万6000円から「無償化」を経ても3万2000円にしか下がらなかったとか、保育料が決まっているはずの認定こども園で保育料以外の費用が値上げされといった事例がある(NHK)。
もちろん「無償化」に合わせた値上げがすべて悪いわけではない。値上げした保育料を保育士の給与に回すのであれば、昨今問題になっている保育士の待遇改善につながる。これまでは営業努力でできるだけ料金を低く抑えようとして保育士の給与まで手が回らなかったのが、行政の補助によって値上げでき、保育士の待遇を改善できるというのであればそれは「無償化」の恩恵と言える。
上場企業でもあるまいし予算配分を公表することは法的義務ではないのかもしれないが、無償化に前後して値上げするなら十分な説明が求められる。国も自治体に値上げの理由の妥当性を確認するよう求めており、「職員の処遇改善」を理由に挙げるだけで具体的な改善内容を示さないのは十分な理由といえないとしている(読売新聞オンライン2019-10-8)。
追記:朝日新聞2019-11-6夕刊でもいろいろな事例が紹介されているが、やはり「便乗値上げ」の疑いが濃厚だ。大阪府の私立幼稚園の園長がいう「幼稚園の現場は疲弊しきっている。保護者の懐を痛めないこの機会に値上げしなければ、もう限界」というのが本音だろう。この幼稚園の場合、少子化と共働き保育園に流れる傾向とのダブルパンチで積立金を取り崩して運営してきたのを値上げで補填したようだ。保護者には園の経営状態も伝えて今のところ苦情はないという。
無償化のための国・自治体の補助が、入園児獲得のための価格競争から一息つくための補助金になったということだ。識者も「就学前教育への公金投入は世界的な潮流」と指摘しており、保護者の負担軽減という無償化の本来の目的とは合わないが、そう考えれば納得がいく。あとは、公金を投入した以上、増収分の使途をきちんと説明させて検証することが肝要だ。
ある幼稚園の場合、9月までは給食費込みの授業料が2万3700円だったのが、10月からは授業料2万5700円+給食費4500円となった(朝日新聞2019-10-2)。「無償化」のため保護者の負担額は減るが、月6500円もの値上げは尋常ではない。しかも値上げされた授業料の額は、無償化の対象とされる(つまり政府が補填してくれる)上限額だというから、どうせ国や自治体の負担ならもらえるいっぱいまで値上げしようという魂胆が見え見えだ。
ほかにも、保育園が保育料を1万7400円値上げ、主食費が500円から3000円へなどの値上げをしたため、支払額が3万6000円から「無償化」を経ても3万2000円にしか下がらなかったとか、保育料が決まっているはずの認定こども園で保育料以外の費用が値上げされといった事例がある(NHK)。
もちろん「無償化」に合わせた値上げがすべて悪いわけではない。値上げした保育料を保育士の給与に回すのであれば、昨今問題になっている保育士の待遇改善につながる。これまでは営業努力でできるだけ料金を低く抑えようとして保育士の給与まで手が回らなかったのが、行政の補助によって値上げでき、保育士の待遇を改善できるというのであればそれは「無償化」の恩恵と言える。
上場企業でもあるまいし予算配分を公表することは法的義務ではないのかもしれないが、無償化に前後して値上げするなら十分な説明が求められる。国も自治体に値上げの理由の妥当性を確認するよう求めており、「職員の処遇改善」を理由に挙げるだけで具体的な改善内容を示さないのは十分な理由といえないとしている(読売新聞オンライン2019-10-8)。
追記:朝日新聞2019-11-6夕刊でもいろいろな事例が紹介されているが、やはり「便乗値上げ」の疑いが濃厚だ。大阪府の私立幼稚園の園長がいう「幼稚園の現場は疲弊しきっている。保護者の懐を痛めないこの機会に値上げしなければ、もう限界」というのが本音だろう。この幼稚園の場合、少子化と共働き保育園に流れる傾向とのダブルパンチで積立金を取り崩して運営してきたのを値上げで補填したようだ。保護者には園の経営状態も伝えて今のところ苦情はないという。
無償化のための国・自治体の補助が、入園児獲得のための価格競争から一息つくための補助金になったということだ。識者も「就学前教育への公金投入は世界的な潮流」と指摘しており、保護者の負担軽減という無償化の本来の目的とは合わないが、そう考えれば納得がいく。あとは、公金を投入した以上、増収分の使途をきちんと説明させて検証することが肝要だ。