リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

安倍政権の「無償化」政策が気持ち悪い三つの理由

2017-12-27 | 政治
この国の政府はいつから社会主義を指向するようになったのだろう.10月の選挙を前に安倍政権は急遽「幼児教育無償化」を訴え,今ではさらに低所得世帯の「高等教育無償化」も進めようとしている.首相自身,「私がやっていること〔経済政策〕は,かなりリベラルなんだよ,国際標準でいけば」と語ったことがあるという(朝日新聞12月26日1面).もともと私はこういう社会主義的な政策はきらいではないのだが,安倍政権の「無償化」政策はどうにも気持ちが悪い.
もともと消費税を財源としての教育無償化は2016年の民進党代表戦で前原氏が訴えたものだという.政府が野党の主張を取り入れて実現するのならそれは大変結構なことのはずだ.民進党元代表の岡田氏は,「従来の自民党は,野党に敬意を払い,尊重しながら政策を取り入れた.安倍さんは,すべて私がやったと誇る」と嘆くが(同2面),国民のためになる施策を実現してくれるなら,どの党の手柄などと言わずに喜ぶべきなのかもしれない.
だが安倍首相は,自分がこだわりをもたない分野では野党の政策を取り入れて野党のお株を奪う一方,選挙に勝てば特定秘密保護法,安保法制,「共謀罪」法など,議論の分かれる法案を次々に強行してきた.今目指しているのはもちろん憲法改正だ.「政治」と「経済」で投票先を分けることのできない有権者にとって,バラマキの経済政策で選挙に勝って,右寄りの政治政策を進められてはたまったものではない.

だがそもそも,今進めようとしている「無償化」は国民のためになるものではないと思う.
昨今の「無償化」で気がかりなのは,政府だけでなく野党もこぞって賛成しているということだ.衆院選後の特別国会では,野党も教育無償化を確実に進めることを訴えたという.与党も野党も有権者におもねって聞こえのよいバラマキ政策ばかり追求しているのを見ていると,日本はお先真っ暗と思えてならない.12月22日のブログで紹介した世論調査によれば,財政健全化を望む有権者はちゃんといるのだが,それが議席,ひいては政策に反映されないのはもどかしい.

「無償化」を喜べない第三の理由は,限られた財源を借金返済でなく目前の課題解決に使うというのであれば,もっと優先すべきことがあるということだ.幼児教育無償化に何千億円も投入するくらいなら,待機児童解消に向けて保育士の待遇改善などに回すべきだという意見は根強いと聞く.私もこのテーマではいろいろ書いてきたのでご参照いただきたい(「待機児童」カテゴリーの記事一覧).

関連記事
「自由主義的な「無償化」と社会主義的な「無償化」」(12月9日)
「何でも「無償化」はいいことなのか?」(11月24日)
「待機児童」カテゴリーの記事一覧


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 勝手にメルマガ登録すると脅... | トップ | 待機児童問題:「小1の壁」... »
最新の画像もっと見る

政治」カテゴリの最新記事