リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

対韓輸出規制:「不適切な事案」と「信頼関係」どっちが主因か

2019-07-11 | 政治
韓国に対する半導体材料の輸出厳格化。韓国はWTO協定違反と反発しているが、「不適切な事案が続いたため審査の簡略化という優遇措置をやめた」という政府の説明を先日紹介した。その時は韓国側の「不適切な事案」が主たる問題であって、日韓関係が冷え込んで輸出管理の確認ができる関係にないという「信頼関係」は背景にすぎないという認識だった。だがそうだろうか。
韓国の輸出管理に「不適切な事案」があったとしつつ、その内容は明かされていない。ただ、韓国から軍事用に転用可能な物品が北朝鮮に流れた心配があるという政治家の発言の報道が韓国で紹介され、韓国世論が過熱しているという(朝日新聞2019-7-9)。かつて自衛隊機に韓国艦が(いつでも攻撃できる態勢を意味する)レーダー照射を行なったとき、韓国は自衛隊機が危険な行動をしたと言ったが、まともな根拠を示さず、日本側は不満を抱いたと思う。相手の非を責めるなら、はっきりした根拠を示すべきだろう。もちろん、一般公開が必ずしも適切でないことはあるだろうが、韓国政府に対しては「不適切な事案」を開示すべきだと思う。(参考:「韓国、イランなどへの違法輸出摘発」(朝日新聞2018-7-11夕刊))

ただ、「不適切な事案」は今回の輸出厳格化の主因なのだろうか。先日紹介したように、輸出管理の日韓当局者はここ3年間で1度しか会えていないという。「不適切な事案」があったかどうかではなく、「不適切な事案」があったかどうかを確認できる状態にないということが優遇措置をやめた主因と考えたほうがすっきりするのではないだろうか。

韓国はWTOでの議論を求めているというから、関係者には日本の態度をどのように説明するか、きちんと準備して臨んでほしい。韓国側の日本の水産物に対する禁輸措置のような想定外の敗訴(過去ブログ)を繰り返さないように。

追記:韓国側は指摘された問題について、(1)中断していた輸出当局の対話が復活した、(2)輸出統制の仕組みの法的根拠を与える法改正をした、(3)組織を拡大し、審査に当たる人員も増やしたとして、「日本が挙げた課題は改善された」として輸出規制を元に戻すための考え方を示すよう日本に求めた(朝日新聞2020-5-13)。



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