リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

与党も野党も同じばらまきなら、国民に対する誠実さで投票先を選びたい

2021-10-16 | 政治
なぜ自民党が毎回選挙で勝つのか、常々疑問に思っていた(過去ブログ)。
一つの理由は、自民党が次々に社会主義的な政策を打ち出すようになって野党のお株を奪ってしまったことがある。昔だったら、「軍備拡張」とか「大企業のための公共事業」をやりたいから弱者に回す金はない、となった。ところがいつのころからか、「軍備拡張・大企業優遇も弱者救済もやる、財源はないが赤字国債でよい」ということが定着してしまった。限りある予算をどう使うかで知恵を競うのがかつての左右両派の争いだったとすれば、今は自分のやりたいことも国民の歓心を買うことも両方できてしまう。ばらまきが本当に効果があるかも気にすることはない(過去ブログ)。膨張する赤字のことさえ忘れておけばよい。そして幸い国民も、将来世代へのツケのことなど考えずに、目先のことだけ見て投票する。自民党は、ある意味そういう国民の意識に支えられている(過去ブログ)。
(ほかに、戦術レベルでは、安倍首相は問題法案を強行採決した後、ほとぼりが冷めたころを見計らって小刻みに解散を行うことで政権を延長してきたことが指摘されている。)

そういうわけで、今や「弱者救済」は野党のウリにしにくくなった。企業のために非正規雇用を拡大してきた点や、短期的成果を重視した研究費配分など改める余地は多分にあるのだが、グローバル時代の国としての生き残りも考えると、単純に昔に戻せばいいというわけにはいかない。派遣の雇用義務を課すことが雇い止めを促進するなど、生半可な規制は逆効果を生んでしまう。このように自民党政治にアラは多いのだが、「では野党に」とはならない。やはり「あの」民主党政権の混乱に国民もコリている。現状に問題点は多いが、へたにいじるくらいなら放っておいてほしいという人が多いのだろう。ここはどの政党が政権を取ったとしても、忖度抜きで官僚にしっかり制度設計をさせた上で改革を進めることが肝要だろう。

そういう現状では、残念ながら、野党としては「何も変えない」ことをアピールして有権者に安心してもらう必要がある。社会学者の宮台真司氏は、ずばり、「政権交代を訴える野党は『現政権の実績を継承する。政治や行政は既存のものを使うから信頼できるでしょう』と言うのが合理的です。」と述べ、安倍政治を批判しておけばいいというのは稚拙だと断言している。それでないと、有権者にとって、野党が「市民と『同じ世界』にいるという感覚が持てない」という。(朝日新聞2021-10-15
だが「何も変えない」と言われたのでは、有権者としても野党に投票する理由がない。そこで訴えるべきことは、宮台氏も言うように「公文書改ざんや官僚とマスコミへの恫喝はしない」という点だ。これには、学者に対する理不尽なしめつけ(学術会議への任命から6名を除外した件)も当然含まれるだろう。また、含意されているのだと思うがあえて付け加えるならば、森友・加計・桜を見る会などの数々の疑惑についてしっかり調査・説明することや、そもそも国民や野党にしっかりと向き合い、言葉を尽くして説明する姿勢こそが、野党の最大のアピールになるはずだ。(この点、岸田首相は「聞く力」をアピールポイントとしていたらしいが、野党の求める国会審議なしに奇襲のような国会解散を行い、内実のなさを早々に露呈した。)
(なお、宮台氏は野党がアベノミクスの路線を継承すべきと言っているが、上記ではこの点は省いて紹介した。私は公費によって維持されている株高はアベノミクスの最大の罪だと思っている(過去ブログ)。)

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