リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

幼児教育無償化で需要が増えれば結局「負担増」となる懸念

2018-06-20 | 待機児童
兵庫県明石市は2016年度から第2子以降の保育料無償化を実施しているが,待機児童が急増していることが報じられた(朝日新聞2018-6-18).もちろんニーズの増大は見越して保育所を整備したのだが,(例によって)希望者の増大が予想を上回った.明石市の場合,政府が無償化を言い出す前に進めた先進的な取り組みであったこともあって人口増や税収増による経済活性化を実現したという側面も以前に紹介したが,待機児童に限っては状況を悪化させてしまったようだ,今回の新聞記事では,需要増のために認可園に入れず,結局割高な認可外園になってしまったという「無償化は負担増でしかなかった」事例が紹介されている.

政府が進めているのは認可外園も対象とするというので事情は違うが(どの程度の質の認可外園まで対象とするかなどの問題もあるのだが),待機児童問題が解消しなければ,保育園にはいれて「無償」の恩恵に与れる人と,預け先がなく共働きもできない人との間の不公平感は今まで以上になる.

政府は待機児童対策も進めると言っており,安倍首相も口先だけは「待機児童解消に最優先で取り組む」と言っている(過去ブログ).だがただでさえ待機児童解消のめどが立たないなか,無償化で需要が増えても対応できると納得できるような説明は出てきていない.

昨年も「幼児教育無償化を進めても待機児童解消はできるのか???」と題して書いたが,昨年の衆院選に際して自民党が急遽「幼児教育無償化」を公約に盛り込んだとき,待機児童の受け皿32万の整備を前倒しすることを打ち出した.だがただでさえ苦労しているのに,そんな簡単に目標が前倒しできるものなのか,やはり具体的な説明はなかったように思う.そもそも政府が目標とする受け皿整備は32万人分に対し民間では需要は88万6千人という試算も出ているが,前提条件を比較検討するなど,管見では数字の食い違いを埋めようとする努力がされた形跡はない.

「無料なら預けよう」という潜在需要まで考えたとき,政府の試算は本当に十分なのか.きちんと議論することが欠かせない.政府想定を大幅に上回る試算が出ているのに検討もせず,あとから「需要増が想定を上回った」と説明されても,それは確信犯としか思えないだろう.
それに,保育園の建物だけなら予算を投入すれば作れるかもしれないが,保育士不足は一朝一夕に対応できるものではない.結局は予算の問題になるのかもしれないが,金額的にも時間的にも本腰を入れた取り組みが必要だ.
限られた予算を考えると,やはり今は「無償化」ではなく「待機児童解消」に専念すべきだ.

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