リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

検察庁法改正の真の狙いは黒川氏定年の再延長では?

2020-05-18 | 政治
役職定年後も政府の判断で検察幹部にとどまれるようにする検察庁法改正への反対が盛り上がっている(過去ブログ)。世論調査では賛成15%に対して反対64%と圧倒的な差で、内閣支持率も4月調査の41%から33%まで下落した(朝日新聞2020-5-18)。森友・加計問題で批判が高まった時の31%に次いで低いという。
もちろんこの改正の問題点は今後政権に忖度する人物を多く検察幹部に留まれるようにすることだ。安倍首相は恣意的な人事が行われることはないと言っており、百歩譲って安倍首相がそのような公明正大な人物であったとしても、今後トランプ大統領のような人物が首相の座につかないことはさすがの安倍首相も保証できないはずだ。(トランプ大統領は政権に都合の悪い調査をした監察官を相次いで解任する報復人事を行なっている(同4面)。)
だが直近の問題に限っていえば、安倍政権のそもそもの狙いは政権に近い黒川氏(※「政権に近い」という点について、民主党政権でも高く評価されていたらしいが(朝日新聞2020-5-14))の定年を半年延長して、検事総長の交代の時期まで現職にとどまらせることだったと思われる。この延長はすでになされていて、法解釈の無理な変更もいとわない安倍首相が「事後的な正当化」にそれほどこだわるとは思えない。
だがそもそも黒川氏の定年を半年という小幅延長したのは、慣例に従えば検事総長が今年7月に交代時期を迎えるからであって、現検事総長の稲田氏の任期は来年8月まである(asahi.com)。検事総長が「約2年で交代」というのはあくまで慣例に過ぎず、稲田氏が交代時期を少し遅らせれば黒田氏は再び定年を迎えてしまう。もちろん、慣例は尊重すべき側面もあるとはいえ、元検事総長を含めた検察OBが検察庁法改正案に反対する意見書を提出した(asahi.com 2020-5-15)状況を考えると、ありえない話ではない。検察庁法改正が成立・施行されれば、その場合に政府は大手を振って黒川氏の定年を再延長できるということではないか。もっと現実的なのは、稲田氏が、どうせ効果がないのであればあえて交代時期を遅らせることはせずにおこう、と判断してしまうことだ。
検察庁法改正は長期的に政権に都合のいい検察をつくるというだけではなく、直近の検事総長人事にも関わってくる。先週は野党の戦術でなんとか採決を阻止することができた。内閣支持率の下落がいま一つなのが気がかりだが、「気の緩み」なく反対を続けていくことが重要だ。

追記:上記の「検事総長が今年7月に交代時期を迎える」に補足。政府が黒川弘務氏の定年延長をするまで検察が検事総長としてもともと予定していたのは林真琴氏で、その林氏が定年になるのが今年7月(文春オンライン)。だから黒川氏の定年を8月まで延長した、ということらしい。

追記2:批判の高まりを受け、政府は急転直下、今回での検察庁法改正案成立を断念した(関連記事:「検察庁法改正「今国会断念」で終わりではない」)。黒川氏の定年再延長をねらっているとの私の勘繰りは杞憂だったようだ。

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