リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

カジノ中止を訴える横浜市長選候補を応援する菅首相の真意は?

2021-07-31 | 政治
自民党の小此木氏が、横浜市長選に立候補し、そのために閣僚を辞任した。直前の国会では土地規制法に関して自分が「先頭に立って確実に進める」と断言していたのは欺瞞だったのかとの疑惑(過去ブログ)や、オリンピックの仕事を放り出したなどの問題はあるが、それは今回は取り上げない。
驚いたのは、横浜市が住民の声を無視して進めようとしているカジノ誘致を取りやめると断言していることだ。だが小此木氏は菅首相と個人的にも非常に近い間柄で、一方、菅首相はIR(カジノを含む統合型リゾート)推進派だ。「IR自体は賛成だが、横浜では信頼が得られず、環境が整っていない」というのが反対の理由だそうだ。この意向を聞いたとき、首相はしばらく沈黙したうえで、「わかった。お疲れさまでした」と言って認めたという(東洋経済ONLINE 2021-7-2)。「裏切り」とか「反乱」といった声もあるが、どうなのだろう。現市長が選挙中だけ「白紙」と言いつつ当選したとたん、カジノ推進に舵を切ったように、はなから票目当てだけの公約なのだろうか。安倍・菅政権の横暴の数々を見ていると、そのくらいのことは平気でやりそうだし、市民も一時は批判してもすぐ忘れてしまうという気もする。一方、当時カジノ反対派の有望候補が出てきておらず、反自民の私でさえちょっと期待してしまった。
上記記事によれば、「ハマのドン」こと藤木幸夫氏が菅首相と関係が悪化するほど精力的にカジノに反対しているが、藤木氏は小此木氏と親交が厚く、その影響も考えられるという。だが藤木氏が「全面支援」するのは、立憲民主党が推薦する元横浜市立大教授の山中竹春氏だそうだ(女性自身 2021-7-30)。

そんな小此木氏と菅首相の対談が7月29日発行のタウン誌に意見広告として掲載され、インターネット上でも公開されている(朝日新聞2021-7-30)。首相は「小此木さんの政治活動を全面的かつ全力で応援する」と述べている。だが小此木氏がIR誘致は完全に取りやめることを決断したと言っても、首相は「5月下旬に初めて聞いた時には、正直大変驚き、困惑しました。」と受けたものの「内閣を離れることは極めて痛手ですが、横浜の顔になれるこれ以上の人はほかにいないと思いました」と単に閣僚辞任・市長転身の話にすりかえ、カジノについては全く触れていない。「政治活動を全面的かつ全力で応援する」という菅首相の言葉はどこまで本物なのだろう。
そんなわけで菅首相がカジノ反対を支持しているわけではないのだろう。よく見ると「対談」とは名ばかりで、菅首相は何を言われても「応援します」などと持ち上げているだけで、何も言っていないのと同じだ。

そんな横浜市長選は8月22日に投開票が行われる。ところがカジノ反対派の候補が乱立して票割れが心配されている。先ごろ現職が立候補を表明したが、反対派が統一候補を立てていれば勝ち目はないから立候補しなかったのではないだろうか。票割れを防ぐために立候補を取りやめた候補が一人いたが、他候補に質問状を送って満足な答えが得られなかったから立候補するという候補の話も読んだ。まだ間に合う。反対派は何とか票割れを防ぐために候補者の調整ができないものだろうか。

追記:小此木氏は政府が推進するカジノに反対なので自民党市連は自主投票を決めているのに首相が氏を応援するのは異例のことだが、横浜は菅首相の地元。野党系の市長誕生だけは阻止しないことには、面目が丸つぶれで求心力低下に拍車がかかるということで支持を打ち出しているようだ。となれば逆に、立憲民主党が推薦し、共産党も支援する山中竹春氏に票を集約して勝てれば、カジノ阻止に加えて政権にも痛打を加えることができることになる。


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