リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

何でも「無償化」はいいことなのか?

2017-11-24 | 待機児童
政府が進めようとしている幼児教育無償化について,「待機児童対策が先」との批判の声に押されて,政府も保育士の待遇改善を政策に盛り込む方向性を打ち出した.たしかにタダにこしたことはないが,そもそも何でも「無償化」することが果たしていいことなのか,改めて考えてみたい.(このところこの問題を取り上げてきたが,11月23日の朝日新聞の「幼児教育無償化は本末転倒だ」と題する投書に触発されて新たな面から考える.)
「教育は無料」,「公共交通は無料」,「医療は無料」……かつては私もそんな社会主義国の話を聞いてあこがれた.今でも「教育無償化」のような社会主義的政策は,方向性としてはいいと思うのだが,財政事情が先進国最悪の日本としては,限られた財源を何に使うかは慎重に考える必要がある.上記投書でも指摘されていたが,サービスを受けるなら一定の対価を払うというのが資本主義社会の原則.それが無料となると,本来必要のない人までが預けようとしだして,ただでさえ解決の糸口が見えない待機児童問題が一層深刻になることが目に見えている.それだけでも,待機児童問題を残したまま幼児教育無償化することの矛盾は明らかだ.(追記:政府も無償化で需要が増えることは一応織り込んでいるらしい.それについては11月26日のブログ参照)
よく指摘されるように,保育料については所得に応じた補助がすでにあり,高い料金を払っているのは高所得者だ.だから「完全無償化」にすると高所得者ほど恩恵が大きいという矛盾もある.その批判に応えて自民党案が助成金に上限を設けたら,今度は選挙で「完全無償化」を言っていたのに公約違反だとの批判が上がっているという.だが先日も書いたように,誤った政策を正す「公約違反」なら歓迎だ.むしろ,票目当てに急ごしらえの公約をした安直さをこそ批判するべきだ.
考えれば考えるほど,「幼児教育無償化」は今進めるべきことではないと思う.与党は勇気をもって,待機児童問題に全力で取り組むよう,方向転換してほしい.

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