リベラルくずれの繰り言

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公文書改竄でも起訴されない法の現状

2018-06-02 | 政治
森友学園への国有地売却をめぐる問題で,大阪地検特捜部は全員を不起訴処分とすることを決めた(朝日新聞2018-6-1).公文書に関する法律が不十分なのではないか.

(1)売却価格の大幅な値引きが明るみに出た2017年2月以降,文書の改竄があった.首相夫人や政治家の名前,「本件の特殊性」といった記述が削除されたことがわかっている.
不起訴となった理由は,「文書の効用を失ったとは言えず,うその文書を作ったとは認められない」とのこと.記事の解説によれば,一部の記述を削って契約金額や日付などの根幹部分が失われていないから虚偽有印公文書作成にはならないというロジックだったようだ.
現行法がそういうものだと言われれば仕方ないが,関連する14もの決裁文書を300か所も改竄(34面)したことは,少なくとも公文書の保存という観点からは大問題だ.

(2)地中のごみの撤去費を名目に8億1900万円もの値引きがされて1億3400万円になった.
撤去費の算定は不適切とまでは言えず,賠償請求をできなくする特約を売買契約に盛り込むなどしていることから,故意に国に損害を与える目的があったとは認められないとされた.

(3)交渉記録を破棄したこと.
文書に保存義務はなかったから公用文書等毀棄や証拠隠滅の罪にはあたらないとされた.
やはり公文書の保存についての制度に不備があるように思う.一方,「証拠隠滅」について解説がなかったようだが,文書破棄のいきさつを考えると,納得できない.復元された文書に犯罪を決定的に裏付ける証拠がなかったから,ということなのだろうか.「やばいことが書かれてるかもしれないから全部捨てておくように」というのは,結果的に「やばいこと」が書かれていなかった場合,証拠隠滅にならないのだろうか.

刑事上は不起訴となったが,記事(1面・社説)も指摘するように,現行法の枠内では犯罪は認定されなかったが,政府に問題がなかったというわけではない.不起訴処分を妥当とする弁護士も,決裁文書の書き換えに批判が集まるのは当然であり,捜査機関ではなく国会がその批判をくみ取るべきであると指摘している(34面).
文書改竄に関し,直接指示した担当課長が停職処分になり,前財務省理財局長の佐川氏は改竄の事実を一部しった上で黙認したとされて,停職処分相当として,退職金を減額する方針.麻生財務相は閣僚給与を返納するものの,続投とのこと.

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