基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を25年度は黒字にするという目標がある。これまでも先送りされてきたが、菅政権がまとめた「骨太の方針」の原案では先送りに含みをもたせる内容になっているという(朝日新聞2021-6-10)。コロナで財政出動が増えてやむなくというのはありえなくもないが、自公政権は以前から本気で財政健全化に取り組もうとしてこなかった。今回の記事によれば、与党内には「諸悪の根源はPBだ」との声まであるというから驚きだ。国の借金が1000兆円にも積み上がっているなか、過去の負債の清算は一朝一夕にはできないが、単年度での黒字をめざすというのは当然ではないか。赤字を当たり前とする与党内の空気は嘆かわしい。
財政健全化をいやがるのは、選挙目当てのばらまきをしたいからだ。かつては自民党は防衛費を増額する一方、社会福祉費などは極力抑えようとしていた。そこで防衛費削減と社会福祉の充実を訴える野党との間の対立軸が示された。だがかなり前から、自公政権は限られた税収の範囲内で支出を決めるという当たり前のことを放棄して、社会福祉などに大盤振る舞いをすることがままある。安倍政権による幼保無償化あたりは記憶に新しい(もちろん、選挙目当ての公約だから、待機児童解消のような難しい課題は先送りにして、金さえ出せば実現できる無償化という安易な選択をした)。安倍首相が民主党と約束した消費増税を渋ったのだって、表面上は「弱者にやさしい」ように見え、あたかも共産党の主張のようだ。与党が野党の政策を先取りするようにばらまきをするものだから、野党は弱者救済を有権者にアピールしにくくなってしまった。自民党が選挙で勝ち続ける理由の一つがここにある。
野党が主張していた弱者対策を与党がやってくれるならそれでいいではないかと思うかもしれないが、自公政権は膨張した予算を借金でまかなっている。だからアメリカからの装備購入など野放図な支出にも歯止めがかかっていない。自分がやりたいことの予算を削らなくてもいいのなら、人気取りの弱者対策に金をばらまくのに抵抗もないだろう。
限られた予算をどう割り振るかに知恵をしぼるのが予算編成の妙であるべきなのだが、自公政権のやり方は、やりたいことはみんなやって、税収で足りない部分は借金すればいいという態度だから困る。だから野党から消費減税を選挙公約にしようとする声が上がるなか、立憲民主党の枝野代表は慎重な姿勢をくずしていないのだが、「早く打ち出さないと、そのうち与党からも消費減税が出てきかねない」と懸念する声があるという(過去ブログ)。与党と野党が国民にサービスを競うのはいいのだが、それは健全財政あってのことであるべきだ。
気候変動に関する無力感が広まるアメリカで、心理学者の間で「エコ不安症」として着目されているという(朝日新聞2021-6-10夕刊)。私の場合は赤字を放置してばらまきを続ける与野党が原因の「財政不安症」だ。
財政健全化をいやがるのは、選挙目当てのばらまきをしたいからだ。かつては自民党は防衛費を増額する一方、社会福祉費などは極力抑えようとしていた。そこで防衛費削減と社会福祉の充実を訴える野党との間の対立軸が示された。だがかなり前から、自公政権は限られた税収の範囲内で支出を決めるという当たり前のことを放棄して、社会福祉などに大盤振る舞いをすることがままある。安倍政権による幼保無償化あたりは記憶に新しい(もちろん、選挙目当ての公約だから、待機児童解消のような難しい課題は先送りにして、金さえ出せば実現できる無償化という安易な選択をした)。安倍首相が民主党と約束した消費増税を渋ったのだって、表面上は「弱者にやさしい」ように見え、あたかも共産党の主張のようだ。与党が野党の政策を先取りするようにばらまきをするものだから、野党は弱者救済を有権者にアピールしにくくなってしまった。自民党が選挙で勝ち続ける理由の一つがここにある。
野党が主張していた弱者対策を与党がやってくれるならそれでいいではないかと思うかもしれないが、自公政権は膨張した予算を借金でまかなっている。だからアメリカからの装備購入など野放図な支出にも歯止めがかかっていない。自分がやりたいことの予算を削らなくてもいいのなら、人気取りの弱者対策に金をばらまくのに抵抗もないだろう。
限られた予算をどう割り振るかに知恵をしぼるのが予算編成の妙であるべきなのだが、自公政権のやり方は、やりたいことはみんなやって、税収で足りない部分は借金すればいいという態度だから困る。だから野党から消費減税を選挙公約にしようとする声が上がるなか、立憲民主党の枝野代表は慎重な姿勢をくずしていないのだが、「早く打ち出さないと、そのうち与党からも消費減税が出てきかねない」と懸念する声があるという(過去ブログ)。与党と野党が国民にサービスを競うのはいいのだが、それは健全財政あってのことであるべきだ。
気候変動に関する無力感が広まるアメリカで、心理学者の間で「エコ不安症」として着目されているという(朝日新聞2021-6-10夕刊)。私の場合は赤字を放置してばらまきを続ける与野党が原因の「財政不安症」だ。