リベラルくずれの繰り言

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横須賀市は日米地位協定改定に背を向けるな

2020-08-27 | 政治
神奈川県内の自治体でつくる県基地関係県市連絡協議会(県市協)から退会した。考え方の違いが大きくなったとの理由だが、驚いたことに、横須賀市は日米地位協定を改定する必要はないという立場だという(朝日新聞神奈川版2020-8-26)。
沖縄の米兵が大勢新型コロナに感染しても沖縄県に十分な情報が提供されないなか、米軍基地がある15都道府県で構成する渉外知事会の会長も務める黒岩神奈川県知事は、米軍基地ごとの感染者数の公表や日本国内の検疫ルールの順守を米側に求めるよう国に要請したのだが、日米地位協定の見直しにも言及したという。地位協定の見直しは県市協から国への要望にも盛り込む方向だという。
だが横須賀市としては、地位協定は改定する必要がないという立場なのだそうだ。独立国とは思えない扱いの根源となっている日米地位協定は、すぐには無理でも、将来的には改定が必要というのは日本全体の共通認識だと思っていたから驚いた。
横須賀市としては、現状の地位協定のもとでもうまくやっているという自負があるという。7月に、羽田空港で検疫を受けて入国した米軍関係者が、コロナ陽性の結果が出る前に横須賀市内のホテルに滞在した件では、上地克明市長はすぐに外務省を動かし、検査結果が出るまで軍関係者を空港に待機させるなどの運用改善を勝ち取った。
横須賀基地関係者のコロナ感染については、3月末から米国防省の方針で発表が途絶え、横須賀配備の空母で多数の感染者が出ていることを米メディアが報じても日本側に情報はもたらされないのだが、それでも市幹部は「米軍の衛生当局と適切に情報共有をしている」と話しているという。だが沖縄県が米軍基地の感染者情報が得られない問題を指摘したとき、政府も同じようなことを言っていたと思う。軍の状況など一般公表できない情報もあることはわかるが、問題にほおかむりしているだけでないことを、なんとかして担保すべきだ。

そして地位協定だが、仮に横須賀市と米軍基地の関係が良好で何の問題もなかったとしても、横須賀だけよければいいという問題ではない。沖縄はもちろん、東京だって地位協定のおかげで羽田空港の運用に制限がかかっている(過去ブログ)。
「感染拡大を防止するために現場が懸命に対応している今、地位協定改定を持ち出すタイミングではないと考えた」という横須賀市の言い分はわからないでもない。たしかに外交交渉ではタイミングも大切だが、だからといって、問題に言及しただけで県市協を退会というのは行き過ぎではないか。横須賀市は、市だけでなく日本の国益のことも考えてもらいたい。

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