勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

クリスマスローズの思い出

2006-04-21 | Pluviaの窓(写真のお喋り)
10年ほど前のことだ。
暮れも押し迫った頃、私はぼんやりTVを見ていた。
テレビ版を見るでもなく、あちこちチャンネルを変えていたら、ドラマをやっていた。
その雰囲気の異様さにまず驚いた。
ある場面では下品寸前になるまで、ものを食べる人の口のアップが続く。
画面が変わると、写真のように美しい風景が広がる。
内容より、なんだかドラマの絵と雰囲気のマジックに魅せられて、そのまましばらく見ていた。
それは連ドラの総集編らしく、てっぺんを回っているのに延々続く。
ついに眠気に負けた私は、残りを録画してベッドに入った。

これが堤幸彦監督との初めての出会いだった。
ドラマは10回連続のものを2日に分けて放映した総集編だった。
私はこの2日間、夢中でドラマを見続けた。
その年すでに「金田一少年の事件簿」をヒットさせていたらしいが、私はそれを見ていない。
TXの「クリスマスキス・イヴに逢いましょう」と言うドラマで、私は彼の作品に魅せられたのだ。

このドラマの中でクリスマスローズという花のことを初めて知った。
園芸店で捜し求めたが見つからない。
そのうち空前のガーデニングブームが来て、私はやっとこの花の苗を手に入れることが出来た。
クリスマスローズの苗は、高いものだと1万円近くする。
もちろんそんな高いものにはとても手は出ないが、安い苗であまり世話をしていないのに、毎年こんな可愛い花をたくさん咲かせてくれる。

その後「サイコメトラーEIJI」「ケイゾク」「池袋ウエストゲートパーク」「トリック」などのヒット作(話題作)を次々世に送り出した。
印象に残ったシーンは山ほどあるが、こんな細かい芸もある。
「ケイゾク」でのエピソード。

ヒロイン(中谷美紀)が転んで、バックから中身が飛び出す。
雑多なものに混じって、生理用品も・・・。
これがレギュラーでも夜用でもなく、長時間用なのだ。
刑事という仕事柄、長時間用は必需品なんだなと思った。
翌日のシーンで、再びヒロインが転んで、バックの中身が散乱する。
もちろん生理用品の袋も入っていた。
ここからが芸の細かいところ。
中身が減っているのだ。
女性のことなのに、これほど神経が行き届いた監督とは初めて出会った気がした。

堤監督を語らせたら、私は一晩でも話していられるだろう。

不気味な場面はあくまで不気味に、美しい場面はあくまで美しく。
この二つが一つのドラマの中で同居してる不思議さ。
毎年クリスマスローズが咲くたびに、私の中にあの日の衝撃が蘇ってくる。

   堤幸彦監督のブログはこちら
Comments (4)
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