<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 2/26~27に集団食中毒が発生。具体的な選手名は挙げられていない(当然)ので、大幅に入れ替わったメンバーを見て察する。
- 梶川の負傷が発表され、2/1に発生して全治約5週間との事。
- 河本の負傷が発表され、2/14に発生して全治約10週間との事。
<秋田スタメン>
- 佐藤の負傷が発表され、2/9に発生して全治約8週間との事。
- 中村の負傷が発表され、開幕節(今治戦、1-0)に発生して全治約8週間との事。
前年のこのカードは、お互いに本来の持ち味をある程度封印するように戦っていたという印象。
つまりは、藤枝はボール保持を前面に押し出し、秋田は逆に縦に速い攻め一辺倒というスタイル。
これが、藤枝は中々パスで繋げずにサイドアタッカー頼みの色が強くなり、秋田はボランチの位置でのボールキープで隙を伺うという絵図が目立ち。
お互いの信念がぶつかり合った結果、こうなったと言うべきでしょうか。
今季もそんな、本来の意思とは裏腹に信念を曲げざるを得ない戦いが見られる。
しかし試合前に、その予想どころでは無い事態が発生してしまい。
ホームの藤枝に集団食中毒が起こってしまい、その影響を感じさせずにはいられない、前節から大幅なスタメンの変更。
ベンチメンバーも7人しか入れられずと、何処をどう見ても逆境での試合開催を強いられました。
そんな訳で、とても本来のスタイルを貫く状況ではない藤枝。
開幕節(徳島戦、0-2)では、ミラーゲームかつ徳島の想像以上に激しい寄せに難儀してボールを繋げなかったという印象でしたが、こうした相手云々の事を考える余裕はあったかどうか。
1トップで起用されたディアマンカ狙いのロングボールが第一、という立ち回りが中心となりました。
しかし相手の秋田が、そのスタイルに面食らった感があり。
大幅なメンバー変更、とくに初見のディアマンカ(といっても過去2試合途中出場)への対応は難しく。
ロングボールやスローインから、幾度もポストプレイを許してしまい危機を招きます。
前半7分には敵陣深めで左スローイン→ディアマンカエリア内でフリックから、クリアされたボールを金子がミドルシュート(枠外)とシンプルな手法でフィニッシュに繋げ。
まずは新たな矛(ディアマンカ)を突き付け敵を委縮させる事に成功した藤枝。
しかし次なる武器も今季初出場の永田の左サイドアタックと、データの無い選手を躍動させに掛かり。
状況を憂慮してか、過去2試合スタメンのシマブクはジョーカーでの温存となった結果起用された永田。
当初は良く効いたものの、次第に対応されたか目立たなくなります。
そうした藤枝の姿勢により、普段の攻撃機会の多さを発揮できない状態を強いられる秋田。
相手が自分達と同じ、パワーサッカー紛いのスタイルを取った際の対応に難があるのは前年(36節・大分戦、0-2)からで、今季もその改善は難しくあったでしょうか。
その苛立ちからか、18分にはGK北村のパントキックを小松がブロックした事で一悶着を招くなど悪目立ち。
スコアが動いたのは、ともにパワーを前面に押し出す展開に相応しい絵図からでした。
25分にハイボールの競り合いで才藤が(千葉に)反則を受けた事で、秋田が中盤でのフリーキックから放り込み。
才藤が痛んだ(無事に起き上がる)事でインターバルとともに落ち着きを得て、キッカー長井の放り込みからさらにコーナーキックに繋がる、いかにも秋田らしい好機の継続。
そしてこの左CKから、キッカー水谷ニアにクロス→梶谷フリック→ファーで小松ヘディングシュートと、綺麗すぎる流れで仕留めます。
シュートはGK北村の居た左へと飛んでしまうも、ゴールネットを揺らし先制点を叩き出した小松、これで3戦4発と好調ぶりを維持。
喜びも束の間、そのパワーサッカーのぶつかり合いを象徴するように、28分に松木・才藤がまたもハイボールの競り合いで激突し両者痛む事態に。
ともにピッチ外を経て復帰したものの、この展開を続ける事は得かどうか。
ビハインドとなった藤枝は自問自答を強いられたでしょうか。
30分、秋田の攻めを切ったのち自陣深めでのボール保持という厳しい局面を強いられますが、エリア内右(秋田から見て左)で前田が巧みにパスを散らしてゲーゲンプレスを剥がしに掛かり。
そこから前進に入り、実るかと思われた矢先浅倉→松木へのパスが梶谷にカットされるも、見応えある攻防。
これを機に、本来の繋ぐスタイルへの道筋も作り上げられる予感を膨らませ。
36分の攻めは右サイドからの前進で、千葉が秋田ディフェンスに囲まれ奪われかけましたが、中川創が拾い素早く左へ展開して継続。(永田の突破と見せかけて戻し→鈴木翔太のアーリークロス)
それでも、直後のスローインでは左ポケットに直接投げ入れたボールが誰も触れずにバウンド(これをディアマンカが収めるも撃てず)と、秋田はアバウトな攻めの方が対応に難儀している風でもあり。
38分の秋田、井上のクリアボールが直接前線に送られ、梶谷スルー→小松ポストプレイを経て受け直した梶谷が抜け出す好機。
そのまま左ポケットを突き、尚もゴール眼前まで迫った末にシュートを放ちましたが、ゴールポストを勢い良く叩いて跳ね返るボール。
追加点はならなかったものの、この甲高い音が目を覚ます号砲となったか、藤枝の姿勢に困惑する時間から覚め。(ちなみに先制点の場面がこの日のファーストシュート)
以降、藤枝の攻撃を浴びながらも自軍のターンでは勢いをもって攻め上がり。
迎えた44分、左サイドでの前進を経て相手クリアを中盤の底で村松が拾うと、直接エリア内へミドルパスを送り。
そこに待ち受けていたのは小松で、ワントラップからシュートを放ちましたがGK北村がセーブ。
GKのファインセーブという形でしたが、ここでは1点リードしていた事もあり、そのまま(前年最終節の同カードのように)中盤でキープの姿勢を見せても良かった。
結果論の節がありますが、この姿勢が終盤の局面で尚もスコアが動く要因と成り得。
アディショナルタイム突入後も果敢に何度も攻め込む秋田。
しかし長井の裏へのロングパスに走り込んだ小松が、前田に倒されて受けられずという絵図になりましたが、「世界基準の判定」の例に漏れず鳴らない笛に阻まれ。
そして反転させた藤枝が敵陣でボール保持の局面に入ると、半円のパスワークを経て右からの攻めを選択。
安易なクロスは選ばず、地上からワイド→ハーフレーンへと繋ぐと、浅倉が入れ替わって中央を向いた末に果敢にミドルシュート。
グラウンダーの軌道でギリギリの所を突いたボールが、左ポスト内側を叩いてゴールネットを揺らします。
最後は地上での攻撃と、本来の手法により同点に追い付きました。
松木と才藤の治療で、長くなったATの目安。(4分)
それを利用し最後に攻撃機会を得たのは藤枝でしたが、ここはロングフィード→ディアマンカフリックで金子抜け出しと直線的な攻め。
これを警告付きの反則で止めた井上により直接FKを得ましたが決められず(金子蹴り出し→千葉シュートと変化を付けるも枠外)、1-1で折り返します。
ともにハーフタイムでの交代は無く。
コンディション面が心配な藤枝も、少数精鋭という意識の下スタメンを出来るだけ引っ張りに掛かったでしょうか。
その後半、藤枝がどちらのスタイルで入るか注目しましたが、直線的なものが中心となり。
つまりはターゲットのディアマンカと、永田の突破力を前面に出すもの。
後半6分のGK北村のロングフィードは、千葉がターゲット役となりフリック、これにディアマンカが抜け出す逆パターンとなったもののクリアされて実らず。
この際秋田にアクシデントが発生し、(ボールとは無関係な所で)長井が足を痛めてしまい続行不可能に。
これに伴いベンチが動き、長井・畑→諸岡・吉岡へと2枚替えを敢行します。
相手の想定外に突け込みたかった藤枝ですが、直後の8分に秋田がカウンターを発動し攻め上がり。
右サイドを縦に素早く攻め、奥へ切り込んだ吉岡がクロスに辿り着いた末に(ニアでの小野原のスルーを経て)諸岡が合わせシュート。(GK北村キャッチ)
これを境にペースを取り戻す秋田、再び自慢の圧力で攻撃機会の量産に入ります。
ちょっとやそっとのアクシデントではビクともしない「秋田一体」の力を発揮しに掛かり。
前半は藤枝の保持に対し様子見が多かった前線の守備も、ハイプレスに切り替える積極性を押し出し始め。
最終ラインで鈴木翔太にパスが出された際に果敢に詰めにいくスタイルで、10分にはその絵図の通り吉岡が彼からボール奪取。
そしてそのまま右ポケットへ切り込みグラウンダーのクロスと、ボールゲインから決定機が作り出されましたが、中央で合わせた小松はミートしきれず逃してしまいます。
秋田の圧に屈しかねない流れの藤枝。
13分にも秋田の攻めを浴び、左→中央→右への繋ぎを経て上がったクロスは跳ね返すも、逆サイドから二次攻撃。
今度はクロスでは無く、梶谷がカットインを経てポケットからシュートを放ち。
この強烈なボールを浅倉が身を挺して頭部でブロックし、痛んで倒れ込む(1分程で起き上がり続行)という具合に、失点はせずも無傷では済まない凌ぎ。
攻撃では前半とは打って変わって、永田は良い所が消される格好となり、それに伴い一向に巡って来ない好機。
19分にはよりによってその永田が左奥で奪われてからのカウンター(その過程もポケットへスローイン→ディアマンカのレイオフと前半と変わらず)、右サイドから前進するも梶谷の突破が阻まれたのを機に中央へと切り替え。
諸岡のスルーパスで抜け出した水谷がエリア内へ切り込みシュート(GK北村キャッチ)と被決定機に繋がってしまいます。
痺れを切らしたベンチ、21分に動き鈴木翔太・松木→世瀬・シマブクへと2枚替え。
前田とともに本職では無い左右のセンターバックと、苦しさを滲ませる布陣となり。
23分にシマブクを活かして右から前進の末に、上がってきた前田がクロス。
本来のレギュラーによる流れの反転かと思われた刹那、先程ブロックした浅倉が倒れ込んでしまい。
脳震盪の発生なのは明らかで、殆ど間を置かず再度の交代を強いられます。(杉田を投入)
他方、これにより交代枠が追加されるのを想定した秋田も同時に動き、水谷・小松→長谷川・鈴木翔大へと2枚替え。(吉岡が左サイドハーフに回る)
投入されたシマブクは流石に強く、27分にサイドチェンジを受けたのち前進を経て縦パスを打ち込むと、千葉が巧みなワントラップで右ポケットに入り込んでシュート。(ゴール左へ外れる)
永田が消えかけていただけに、逆サイドでの跳梁は命綱と成り得ましたが、劣勢ぶりを変えるには至りません。
それでも秋田も得点源の小松が退き、ラフなクロスに頼る事が多くなり。
肝心のフィニッシュが膨らまず、1-1のまま時計が進んでいきます。
(秋田は35分に梶谷→佐川に交代、藤枝は40分に中川風→アンデルソンに交代)
そんな展開故に、攻め手もラフなものになって来たでしょうか。
41分に藤枝の後方からのスルーパスを井上がカットすると、跳ね返りが左サイドのスペースへ転がり、拾った佐川により秋田の好機に。
すかさず入れられたクロスを中央で鈴木翔大が合わせにいくも、GK北村がパンチングで掻き出し。
そして直後の42分、跳ね返し合戦で右往左往するボールを経て、前田がラフに直接エリア内へロングパス。
これにディアマンカが走り込むと、秋田ディフェンスもセーフティなクリアを選択せざるを得なくなり、右CKで継続。
キッカー金子のクロスは跳ね返されるも、後方から前田が果敢にミドルシュート。
これも低い弾道で狭い所を突いた末に、ゴール左へと突き刺さります。
勝負を分けたのは、精度よりも積極性といった逆転弾に。
キックオフでの再開前に、藤枝は金子→岡澤へと交代。
一方追う立場の秋田も小野原→藤山と、6枚目の交代を敢行します。
それでも普段のスタイル上(そうでなくてもか)、パワープレイに頼らざるを得ない秋田。
既にATに突入し、流れの中で井上・才藤が前線中央に上がるという形でターゲットを増やし。
右からの長谷川のクロスをファーで折り返し、そして中央の鈴木翔大が合わせるという決定機が生まれかけるも、鈴木翔大のヘディングはミートしきれず不発に終わります。
尚も時間は進んでいき、千葉の(諸岡への)反則により中盤からのFK。
GKラドティッチも前線に上がり、望みを賭ける秋田。
(キッカー諸岡により)エリア手前左へ放り込まれたボールを、そのラドティッチが足下で折り返すという珍しい一幕が生まれましたが、フィニッシュには繋げられません。
そして試合終了の時を迎え、2-1で藤枝が勝利。
盤石な状態とはかけ離れたメンバーで、内容も決して良くは無かったものの、それが奏功した部分もあり。
苦境の中で得た勝ち点3が、文字通り最良の薬と成り得るでしょうか。
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