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DAZN観戦 2024年J3・JFL入れ替え戦第2戦 Y.S.C.C.横浜vs高知ユナイテッドSC

2024-12-09 16:01:14 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン> ※()内は第1戦のスタメン

  • YS横浜はベンチメンバーを西山→山本へと入れ替え。そしてウイングバックは本来の位置である、冨士田=右・橋本陸=左でスタート。(1戦目とは逆)

第1戦の記事 - 高知 1-1 YS横浜

世紀の一戦・天下分け目。
例えそれは、プロとアマの丁度境目という、下位カテゴリの中の下層部であっても変わらないものであり。
1戦目が引き分けで終わった事で、この試合に勝った者が勝利者という判り易いシチュエーションと化したのも、そのムードを高める事に一役買い。
その場をホームで迎えたのはYS横浜の方で、リーグ戦を考えれば異様の集客を果たした(5,101人)うえでの開催となりました。

それ故に、上位カテゴリという事もあり有利と見られたYS横浜。
立ち上がりはそれらしく、ロングボールの蹴り合いによりその優位性を発揮。
前半2分敵陣でボール確保に成功し、脇坂が中央を持ち運んでミドルシュート(吉田ブロック)と最短距離でのファーストフィニッシュ。
その後も中里のロングスローを連発して押し込むという具合に、とにかく勝利への執念を前面に押し出す、采配の妙が先制点に繋がった1戦目(普段と異なるウイングバックの配置)とは異なる姿勢でこの日もアドバンテージを得んとします。

しかし同時に、「後が無い故の藻掻き」を見せる格好となってしまったのが拙かったでしょうか。
連続ロングスローの後にコーナーキックも得たものの、ここから高知のカウンターに繋がりかけた(自陣浅めで何とか阻止)事で雲行きが怪しくなり。

そして6分、高知が敵陣で前進体勢に入り、パスワークを経て上月がドリブルに入った所を菊谷が倒してしまい反則。
これで左サイド遠目からのフリーキックになると、クロスの跳ね返りを拾い二次攻撃。
サイドチェンジを経て今度は右からクロスを入れる体勢を作り、上げる選手は小林大。
これがピンポイントでニアサイドを突き、新谷が合わせたヘディングシュートがゴールネットを揺らします。
スタメン昇格した新谷のゴールと、今度は逆に高知が采配の妙を見せる格好で早期にリードを奪った2戦目となりました。

これで動揺隠せずとなったYS横浜、キックオフからの攻撃が切られると、田辺ロングパス→新谷落とし→東家と繋がる高知の攻めを橋本陸が反則で止めてしまい警告対象に。
またもFK(中央遠目)から、キッカー高野左ポケットへロビング→中田折り返しと形作られた末に、新谷のヘディングシュートを浴びる事に。
今度はゴール左へ外れて命拾いも、こうなるとホームのアドバンテージもプレッシャーに早変わりするのは避けられません。

高知は、YS横浜の布陣変更に面食らっていた(と思われる)1戦目とは異なり、守備体勢は果敢に前線で規制を掛け。
攻撃時に冨士田の脅威で前に出れていなかった吉田も、オリジナルの立ち位置を取る事で3バックでのビルドアップがこの日の基本となります。

そんな体勢を受け、ビハインド故にボールポゼッションに活路を見出す事となったYS横浜が今度は面食らう盤となり。
中盤で溜めを作れずに高知の早いプレッシャーの前に屈する場面を頻発させ、反撃体制すらままならず。
打開には1タッチパスの連続か、逆にパスを抑制しボールキープで寄せをいなすという技量が必要な状況に思われましたが、それだけの技量が備わっていればそもそもこの試合に出るまで低迷していない(J3の19位)という話にもなり。

そういった状態で、糸口は持ち味である可変。
1戦目同様左WBの方が前に出るのが基本ながら、攻撃はむしろ逆の右サイドがメインとなり。
冨士田は中に絞り気味かつ後方待機している状況が多く、右ワイドには菊谷や萱沼が降りてパスを受けて相手の目線を変えに掛かります。
しかし高知、特に対応する上月は冨士田の動きに釣られる事無く、しっかりと「ワイドでパスを受ける選手」に規制を掛ける姿勢を貫くため簡単に崩されず。
降りる選手により人数を掛けてパスワークに精を出すも、当然相手の守備選手も多くなるため完全に崩して好機を得るには骨の折れる作業となり。

この状況に痺れを切らしたか、23分に最後方から中里が裏へロングパス、ナチュラルに高い位置を取る左の橋本陸へと送り。
これが左CKに繋がると、上げられたクロスを大嶋が合わせ、ディフェンスで左にこぼれた所をさらに冨士田が合わせヘディングシュート。
しかしゴール左へ外れと、逆を突いての好機も決められません。

その後も高知のプレッシャーを受け、25分にはゲーゲンプレスでよりによって左サイド深め(高知から見て右サイド)でボールロスト。
ここからショートカウンターを掛ける高知ですが、宇田のマイナスのクロスは誰にも合わずに終わり。

このままなら敗北ならびにJリーグから転落という、時間経過で徐々に首を絞められるような状況が示す通り、流動性が生まれないYS横浜のビルドアップ。
止むに止まれずという感じで、先程好機に結び付いた中里のフィードを前面に押し出す意識が膨らみ始め。
31分その中里のロングパスが一気に左ポケットを突くボールとなり、受けた脇坂が切り返しを経てシュートと、1本のパスで決定機。
これは小林大にブロックされるも、跳ね返りを拾った奥村がさらに左ハーフレーンからミドルシュート。
これも高野がブロックした高知ですが、開いていた腕に当たった事でハンドを取られ、さらに警告も受けてしまい。
そしてエリアからすぐ手前での直接FKと、やはり効率良い攻撃の方がより好機に繋がる事となったこの日のYS横浜。

是が非でも決めてこの窮地を打開したかった所でしたが、キッカー奥村のシュートはゴールバーを直撃。
尚もエリア内右へ上がったボールを花房折り返し→脇坂フリックと繋ぎ、クリアボールを橋本陸がミドルシュート(宇田がブロック)と、二次攻撃でも果敢にゴールを目指すYS横浜。
それはまさに背水の陣といった所でしたが、状況が状況故に狂人の面にも映るものであり。
結局、何度目かのクリアを拾った奥村のシュートが枠外で終わり、尚もYS横浜の苦悩は続く事となります。

高知のプレッシャーのキツさ、かつアンカーに対し1トップ(新谷)が付くという前線の守備もあり、思うような地上での前進が出来ないYS横浜。
知らずしてか意識も外側に傾く事で、最終ラインでの保持の際には高知の前線五角形の中に誰も入っていないという絵図もしばしば見られ。
中に入れればプレッシャーで……という消極的な意識により、勝利への機運は最後まで高められなかったでしょうか。

結局0-1と、高知が快挙へスコアとムードを保ったまま前半が終了。
シュート数は大幅に上回ったYS横浜(DAZNのスタッツでは8対2)でしたが、それはセットプレーかつ二次攻撃で集中的に放ったためであり、その数字ほど好機は膨らんでいなかったのが問題点でした。

一方高知の攻めは、1トップが新谷に代わった影響か、彼をフィニッシャーとして張らせつつ東家へロングボールを当てるという微調整の節が見られ。
内田をターゲットとしつつ、シャドーの裏抜けを狙っていた1戦目からの微妙なギャップとなった事で、YS横浜を混乱させるのに繋がっていた感があり。

そして後半、ならびに運命の残り45分が開始。
とにかく1点取らなければ後が無いYS横浜、やはり採る手段は後方から中里を中心としたロングボール。
そのセカンドボールを拾うという姿勢で好機の連続を得た入りとなり、後半2分には萱沼が小林大に倒されながらも前へと繋げ。
脇坂→菊谷と経由し、菊谷のミドルシュートが放たれましたがゴール上へと外れ。

しかし焦りとの戦いも強いられるなか、次第に不用意な反則という形で現れ始め。
前半から、キャプテンの萱沼が反則を取られる度にオーバーアクション気味に異議を出すシーンが目立っていましたが、それは苛立ちを外に逃がす事で必死に冷静さを保たんとする姿勢の裏返しか。
6分に高知がロングボールを送った所、中里が合わせにいく東家に激しくぶつかる形での反則。
こうした場面で、正当なチャージに映らない当たり方をしてしまうのも、状況を考えれば無理も無く。
これで得た右ワイド深めからのFKを皮切りに、セットプレーであわよくば追加点……という立ち回りに入る高知。
10分の右CKから、高野がニアに入れたクロスの跳ね返りを吉田がシュート、右から対角線を突く軌道のなか中央で東家がスルー。
しかしそのままゴール左へ逸れ、ここで触れていたら……というフィニッシュで終わってしまいました。

辛抱強くボール保持の体勢に入るYS横浜ですが、好機となるのはやはり中里フィード→落としという具合にその状況は大きく変わらず。
それが全体視野の縮小にも繋がり、ひたすら左サイドに人数を掛けるという、前半とは逆の攻撃の姿勢へと変貌。
逆ワイドの冨士田も、ターゲットになるべく中央に絞って上がる事が多くなり。
とてもじゃないが、適切なポジションを取って散らしたうえで崩す体制を作れなくなったのも、後が無い感を加速させるに至ります。
12分に中里ミドルパス→奥村フリックを経て、受けた脇坂が中央を伺うも結局は左へ展開したのちパスワーク。
奥村のスルーパスで左ポケットを突く事に成功し、橋本陸が鋭いクロスを送るも、ファーで走り込んだ冨士田には合わずとその体勢による好機も生かせません。

そんな相手の苦悩は、勝負の世界故に同情する事無く徹底的に突きたい高知。
19分田辺のラフなロングパスが、拾われた所を新谷が奪い返すという、曲がりなりにも「中里のフィードをどう効果的に使うか」に頭を悩ませるYS横浜に見せつけるような好機。
そして大嶋に倒されながらもパスを出す新谷により、佐々木がドリブルで抜け出すというカウンターになりかけましたが、エリア手前でコントロールを誤った佐々木によりフィニッシュに繋がらず。
この大嶋のシーン然り、後方もとにかくデュエルにより止める姿勢への傾倒など、焦りの増幅具合は最高潮という風であり。
21分には再度新谷を大嶋が倒してしまうもボールが繋がり継続になると、東家のドリブルをまたも大嶋が倒してしまうという合わせ技の絵図で流石に反則。
これで得た右ハーフレーンからのFK、高知は変化を付けてショートパス→吉田ミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、ノーリスクで2点目を奪えれば……という流れも生まれかかり。

そんな状況のなか、新谷が足を攣らせてしまった(24分)事で、双方選手交代が交わったのが26分。
追い掛けるYS横浜は一挙3枚替えで、花房・菊谷・脇坂→土館・松村・ピーダーセン世隠へと交代。
一方新谷が担架で運ばれた高知は、彼と東家に代えて内田・小林心へと2枚替え。

YS横浜が自滅気味な流れを描くのもあり、刻一刻とJリーグ参入が現実味を帯びてくる高知。
しかし内面はそのプレッシャーも少なからずあったようで、29分にはGK大杉が足を攣らせる事態が発生してしまいます。
静から動へ……という動きが中心のGKで、これが発生するのもいかに緊張感が張り詰めていたかの証拠にもなり。
何とか続行した大杉ですが、これで終盤の逃げきりに不安を覗かせる状態となります。

それを突きたいYS横浜、直後の31分に右スローインから細かく繋いだ末に、冨士田が右ポケットを突くこれまでとは毛色の違う好機に。
そしてクロスでも奥への切り込みでも無く、中央へ戻し→奥村ミドルシュートという選択が取られましたが、放たれたシュートはゴール上へ外れと力み並びに焦りが色濃く出るものに終わり。

いよいよ危機感が大部分を占めるといったYS横浜。
橋本陸→藤島へと交代したのが34分ですが、ここからパワープレイへと舵が切られる攻撃。
頼みの中里のフィードは、ひたすらピーダーセンを狙うものへと変貌を遂げ、無理矢理にでも1点をもぎ取る姿勢になりました。
そして選手全体も中央へ密集する事で、流れの中で冨士田が逆の左サイド奥を突くという場面も生まれ。

この単調化は、これまでの流れ的に願ったり叶ったりな高知サイド。(あくまで推測です)
しかし最後方に不安を抱える状況もあり、ここで腰が引けてしまったのが拙かった。
5-4-1ブロックを保つ意識を強めた事で、中里がほぼノープレッシャーでロングボールを送る余裕が出てしまい、相手に最後の希望を持たせてしまいます。

40分、左から中里が例によってアーリークロス気味にロングボール、跳ね返されるも尚も拾って今度は土館が中央からロビング。
今度はピーダーセンに収まり、そのままエリアからすぐ手前でシュートを放ち、ブロックされたボールを自ら収めて繋ぐピーダーセン。
ここからエリア内で混戦となり、こぼれ球を松村がシュートしブロックに阻まれるも、クリアを萱沼が逆にブロックで防ぐなど怒涛の攻防。
1戦目はまるで機能しなかったピーダーセンも、見違えるような働きで次々とロングボールを落として好機に繋げていきます。
(41分に大嶋→藤原へと交代)

42分にはGK後東からのロングフィードが、奥村を越えてピーダーセンに収まるという形で好機。
ディフェンスもあり混戦となる中、こぼれ球を冨士田がシュートに繋げましたがこれもゴール右へと外れ。
ようやく同点への機運が高まったYS横浜ですが、怒涛の攻勢も決められない事で、時間も着実に進んでいき。
同時に、両側の壁が迫ってくる感覚にも囚われてしまったでしょうか。

アディショナルタイムも目前の45分(その直前に異議で萱沼が警告となったのも一役買ったか)、一瞬の隙を突いて高知がカウンターに突入。
ここはドリブルで右ポケットへ進入した小林心のシュートがゴール上へと外れ、命拾いの格好となったYS横浜でしたが、この好機で文字通り寸断されてしまう事に。

それでも攻勢を止める訳にいかず、それによりAT突入後またもカウンターが齎される高知。
佐々木と高野が持ち運んだ末に、左ポケットへ送られるスルーパスを受けたのは内田で、トラップで中央寄りに置いて放たれたシュート。
ゴールネットを揺らした事で、勝利ならびにJ参入を実感するに至った高知サイド、大騒然となったメンバー・サポーターがゴール裏でひとしきり歓喜に沸き上がりました。

0-2ならびに2試合合計1-3となり大勢が付いた事で、尚も高知が敵陣でサッカーを展開させた残り時間。
その最中に佐々木→橋本峻輝へ交代と、時間も使いながらの立ち回りも忘れる事は無く。
そして訪れた試合終了のホイッスル。

説明不要で歓喜に包まれる高知サイド。
その一方で、天国には地獄があるという言葉が相応しい状況となってしまったYS横浜。
元々プロには消極的(というか当時は見向きもしない立場)で、地域に根差したクラブを目指しての設立だっただけに、その火の粉が襲い掛かるような転落劇。
これで良いと割りきるのか、性根を入れ直して再度の浮上が齎されるのか、まさに転機が訪れたような感じがしますが果たして。

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