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DAZN観戦 2024年J2昇格プレーオフ決勝 カターレ富山vs松本山雅FC

2024-12-11 18:16:36 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 富山はベンチメンバーを井上→吉平と1名入れ替え。
  • 松本はベンチメンバーを中村→常田と1名入れ替え。

準決勝の記事 - 富山 1-1 FC大阪 松本 1-1 福島

過酷な戦いであるJ3の舞台も、昇格プレーオフをもって締められる事となったのが今季から。
そして初めてのこの試みは、下剋上も無く上位同士のぶつかり合いという決勝のカードに。

富山と松本、リーグ戦での勝ち点では一段の開き(勝ち点差4)があるものの、この一発勝負の場で大きなウェイトを占めるのが勢いの差。J1昇格POと違い3週間のブレイクも無いし
ともに準決勝は引き分けでの勝ち上がりでしたが、3位・富山は後半FC大阪に押されまくりの内容で、シュート数も倍以上の差を付けられながら何とか逃げきり。
対する4位・松本は、福島に先制されながらもその持ち味を抑制し、かつ後半は追い付いたうえで封じ込める力量差を見せ。
こうした内容故に松本の方に分がある、そんな戦前予想を勝手に立てつつの視聴となり。
中5日を挟み、富山ホーム(富山県総合運動公園陸上競技場)で迎えながらも松本サポーターも大挙してゴール裏を埋めるという環境(総観客数は11,847人)で開催されました。

富山のキックオフで幕を開けると、その初手でいきなりフィニッシュに結び付け。
GK田川まで戻し、ロングフィードを碓井とレイリアが連続フリック、その跳ね返りを碓井がダイレクトで撃ったものでした。(枠外)
こうして多少遠目からでもフィニッシュを重ねる事で、準決勝の内容を払拭したいという思惑が伺えた富山。

しかし松本も直後に反転させ、村越のロングスローを連発する立ち回り。
しかもそれが、ニアでの野々村のフリックから悉くシュートチャンスに繋がります。(3本中2本がゴール前へ流れる)
そして3本目には、混戦からのクリアボールを村越がミドルシュートに持っていくと、ここからブロック→ミドルシュートの応酬を繰り返す事3度。(2本目は山本康・3本目は菊井)
富山はシーズンが進むにつれ、ロングボールへの対応が今一つな面が伺えましたが、この日はそれにロングスローの対応も付け加えなければならない。
そんな絵図を描く立ち上がりとなりました。

こうした入りの主導権争いのなか、前半6分に松本はゴールキックで、右サイドへと密集させたうえで逆の左へとフィードを蹴るGK大内。
そして樋口のスルーパスで奥を取った村越がクロス(GK田川キャッチ)と、あくまで搦め手を中心に状況逆転の先制点を奪わんと仕掛け。
対する富山は正攻法、準決勝でもその中心となっていた、レイリアがサイドに開いてボールを受けての起点作りに勤しむ攻撃へと入ります。
それでも、時にはターゲット狙いのロングボールという、引き分けでも勝利というレギュレーションを活かすようにあくまでセーフティな意識を交えながら立ち回り。
これにフリーキック・コーナーキックでの好機が加わる(二次攻撃で巧く保持に入る事で分厚い攻め)事で、順調に好機を量産かつ松本の攻撃機会の減少という流れになりかけます。

しかし17分、富山がサイドチェンジも使いながらボール保持するも、敵陣で松岡→碓井のパスがズレた事で松本のカウンターに。
菊井の左ワイドからのスルーパスをポケットで受けた安藤、溜めを作っての戻しを経て村越がミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、1トップ2シャドーのみで攻撃を完遂させる松本。
これで流れが反転したか、続く18分今度は松本が敵陣でボール保持の局面を作り、右→左へのサイドチェンジからのパスワーク。
ディフェンスの意識を振ったのち菊井が浮き球を中央へ送ると、安永が巧みなトラップでエリア内へと進入、そして放たれるシュート。
これが人数は揃っていた富山ディフェンスの間を縫い、ゴール左へと突き刺さります。
クロスでもカットインでも無いという菊井・安永の手段に意表を突かれたか(安永がトラップした際に末木へのディフレクションもあり)、エリア内での棒立ちが目立ってしまった富山サイド。
0-1となり、持っていたアドバンテージは松本に移る事となりました。

一転追い掛ける立場となった富山。
松本のクリアボールやスローインを跳ね返し、トランジションの間際を制する事で好機に持ち込まんとしますが、同時に焦りも伺えるというその手法。
リードした事でウイングバックを高目に位置取らせたうえでのビルドアップに入る松本に対し、当然ながらハイプレスを目立たせ。
しかしレイリア・碓井の2トップは相手ボランチを切りながらのプレッシャーをする反面、それに依存しているのかサイドハーフは前線に加われず。
そのため松本のボランチの片割れが最終ラインに降りる変化を付けると、縦関係になったドイスボランチのもう一方が開いてしまう事が多々ありました。
2トップの一方を残したままSHが前に出る体勢を作りたい(あるいはボランチが前に出て詰める)所でしたが、幸か不幸かその攻防が色濃くならないうちに、さらにスコアが動く事となり。

25分、山本康のパスカットで富山の攻撃を切ると、再度発動する松本のカウンター。
持ち運びからの横パスで村越に繋げると、バウンドさせる軌道でのミドルシュートが放たれましたがGK田川がセーブ。
しかし左CKで継続し、キッカー菊井のクロスをややファー寄りで樋口が合わせヘディングシュート。
ヘッドの強い野々村への意識(入りのフリック攻勢も利いたか)を逆手に取ってのフィニッシュで、ゴールネットを揺らす事に成功した松本。
これで2点リードとなり、昇格の2文字を視野に入れての戦いに突入します。

一方2点が必須となった富山。
ビハインドの宿命か、ボール保持の色を強めて反撃体制に入るも、そこに襲い掛かる松本のプレッシング。
WBも富山サイドバックに果敢に詰めにいく事で、J2・岡山(来季からJ1ですが)を彷彿とさせる4-4-2への可変を行いながらという守備体勢に苦戦の色を隠せません。
その間にも、33分に再び村越のロングスローがニアの野々村を越える紛れを起こし、その奥で収めた安藤がシュート。(GK田川キャッチ)
34分には敵陣で松岡が奪われた事でまたもカウンターを浴びる(右奥まで運ぶも遅攻に切り替え)という具合に、変わらない手法で再三脅かされるゴール。

そうした中でも徐々にボール保持を続けるなか、富山は徐々に相手WBを釣らせるという意識に変わって来たでしょうか。
得意手であるSBとSHの入れ替わり(特に安光の居る左サイド)を駆使しながら、1タッチパスを上手く使う事で出来たスペースへと運ぶ光景も何度か見られ。
それでもシュートチャンスを迎えられずと、厳しい状況を変えられないまま前半終了となりました。

そして挟まれたハーフタイムで、富山・小田切道治監督は2枚替えを敢行。
世瀬・布施谷→高橋馨希・伊藤へ交代し、攻撃的な高橋馨がボランチと、完全に追い掛ける体勢へと突入します。
泣いても笑っても最後のHTで、勝利ならびに昇格への執念を示す格好となり。

松本のキックオフで始まった後半。
その初手は、村越が浮かせたのちダイレクトで高いロビングを上げるという独特なもの。
その跳ね返りを繋げて左サイド奥まで運びCKを獲得と、前半も見せた搦め手を惜しみなく使う松本。
その後セットプレーを交えながら、クリアされたボールをミドルシュートに繋げるという手法でペースを握りに掛かります。

是が非でも反撃体制を作りたい富山でしたが、松本のその立ち回りを受けて最初の好機は後半8分と遅れ。(伊藤が左ワイドからポケットへ切り込むもゴールラインを割り終了)
これ以上の失点は許されないとあり、安易にカウンターを浴びるような手法は使う事が出来ず。
そのためやはりボール保持へと舵を切り、地上での繋ぎが中心となる攻撃。
ボランチで投入された高橋馨は、前半に松本が見せたように最終ラインに降りたり降りなかったりという立ち回り。
これにより最終ラインが2枚・3枚での繋ぎを混ぜ合わせる富山ですが、キーになるのは前半同様相手WBの動き。
2枚になるとSBが低い位置でCBのパスを受ける事となりますが、その際松本もシャドーが対応に来るためWBは釣り出されず。
これを改善せんと3枚にし、シャドーを最終ラインに当てる状況を作ると、3枚なため必然的にSBの位置も高くなるため相手WBの背後も突けなくなり。
そんなジレンマが伺える富山の可変式ビルドアップ。
その中での好機は12分、ワイドに開いた神山からサイドチェンジを多用する大きな展開で、左ポケットから伊藤中央へ横パス→レイリアポストプレイ→安光シュートと繋がるも枠を捉えられず。

このまま相手の攻めあぐねを続けたかった松本サイドですが、13分に安藤が負傷交代した(浅川を投入)事でにわかに動揺したでしょうか。
それを隠すべく、相手のバックパスにハイプレスを敢行と強気に立ち回るものの、逆にそれを突かれる場面も目立ち始め。(GK田川のロングフィード一本で裏を取られるなど)
トランジションも激しくなり、その影響か19分に富山のカウンター、伊藤のロングパスを収めたレイリアが左ハーフレーンを持ち運び。
そして溜めを作ってのスルーパスで碓井をポケットへ走らせますが、宮部のカバーもありシュートには繋がらず。

左CKで継続という所で、このディフェンスで足を痛めた宮部により長らくブレイクが挟まれ、その最中に富山ベンチも交代を決断。
松岡→吉平に交代と、ベンチに復帰したキャプテンの投入で苦境の打破を目指します。
そしてこのCKからの二次攻撃、後方からのロングパスで松本のプレスの裏を突くと、左ポケットで末木折り返し→脇本足で合わせシュートと決定機に。
しかしこのフィニッシュは浮いてしまい枠外と、あと一押しが出来ません。

24分に松本は佐相→山本龍平へと交代。
準決勝でも行った、樋口を右WBへと移すポジションチェンジ付きの采配。

得点を挙げられない事で、次第に地上からロングボールへと傾倒していく富山の攻撃。
2点差で後が無いという意識も滲み出ますが、24分に神山ロングパス→碓井落とし→レイリア拾ってミドルシュート(GK大内セーブ)と、一定の成果も期待できる手段なのは確かであり。
しかし26分には末木がエリア内右を突くロングパスにレイリアが走り込み、ダイレクトでクロスを入れんとするもミートせず。
これを松本にカウンターに繋げられる(村越がドリブルからエリア内へラストパス→菊井シュート、高橋馨がブロック)という諸刃の剣でもあり。

それでも時間経過により、松本もプレスを抑制しながら逃げきりを図らなければならず。
その隙を突き、富山はロングボールと保持を使い分ける事で、松本をリトリートに追い込み(GK以外)全員敵陣に入り込んでの攻撃にも持ち込めるようになり。
その状況下で迎えた34分、最終ラインからのパスを受けた伊藤が左ワイドを抉り、切り返しからクロス。
ニアに向けたボールでこれをレイリアがスルー、その奥に入り込んだ碓井がヘディングシュートを叩き込み。
GK大内は身体に当てるも弾き切れず、ゴール内に転がったボールによりついに1点を返します。
その直後にレイリア→松本孝へ交代、高さ勝負へと舵を切るベンチ。

まだ1点リードしている松本ですが、嫌な予感が漂うのも確か。
キックオフでの再開は、村越が後半開始時同様浮かせてからロビングを蹴り込む手法。
相手に拾われるも敵陣で奪い、菊井のミドルシュートが襲ったもののゴール左へ外れ。
楽にする追加点を得られず、苦しい逃げきりへの道を歩む事となります。

そして39分に自陣深めでの左スローインの際、準決勝と同様に足を痛めてしまった高橋祥。
たまらずベンチに交代をアピールするも、当然咄嗟に準備は出来ず。
これを見ていたのかスロワーの山本龍が中々再開しなかった事で、遅延行為による警告も受けてしまうなど、踏んだり蹴ったりという流れを描きます。
その後もラインアウトの度に、高橋祥や山本康が交代アピールを盛んにベンチに行うものの、中々用意できない松本ベンチ。
その間にも、松本孝を前線に入れた富山がそこへ当てるロングボール攻撃で押し込みを図り。
やっとの事で42分に交代の運びとなり、倒れ込んだ高橋祥を含めて3枚替え。
高橋祥・宮部・村越→橋内・常田・米原へ交代と、後者2人による高さの補填で、富山の攻勢に対抗せんとします。
しかし布陣はそのまま3-4-2-1で、安永がシャドーに回る形に。
ここで3ボランチの3-5-2などを選択していれば、もっと富山のロングボールの抑制を図れて違う未来が見られたかもしれません。

一方富山も同時に、西矢→坪川へと交代しカードを使いきり。
フィードに長けた坪川が左SB(安光が右へ回る)と、その狙いは明らかであり。

松本が高さを強化したにも拘らず、松本孝は空中戦で全勝ちといっても良い程に、次々と浮き球を落としてチャンスメイク。
それでも時間はアディショナルタイムに突入し、富山のゴールと試合終了の笛、どちらが先かという流れに入ります。

松本は確実に失点を防ぐには、富山が後方から送るフィードの数を減らすのがベスト。
しかし既に疲労困憊なのか、前線の規制は全くかからず。
そして致命的なのは、マイボールになった際もすぐさま裏へクリア気味のボールを送るのみに終始した事でしょうか。
保持の姿勢を全く取らず、すぐに富山の攻撃へと移るため連続してフィードを浴びるのに一役買う事となり。

+1分過ぎ、左サイド浅めから坪川のクロスが上がると、松本ディフェンスがクリアミスして大外の松岡の下へ。
そして角度の小さい所から、ダイレクトでシュートを狙いましたが惜しくもゴール左へと外れ。
時間が押し迫っていた事で、富山サイドにも絶望感漂う枠外となりましたが、それでも松本の消極性もありまだチャンスは残されていました。
直後すぐさまマイボールとするとまたも坪川のロングパス、松本孝のエリア内への落としは跳ね返されるも、その浮き球をまた松本孝が今度は右へと落とし。
拾った吉平が奥へ切り込んでクロスの体勢に入り、これが山本龍のブロックを掠めながらも中央へ舞い上がるボールに。
そして常田・橋内の丁度間に落ちる所に、いち早く反応した碓井がヘディングシュートを叩き込みます。
ゴールネットを揺らし、富山全体を蘇らせる同点弾に全員が沸騰状態となり。
決めた碓井もユニフォームを脱ぎ、ゴール裏にてそれを振り回す事で喜びをアピール。(当然警告を受ける)

まだ時間は残されており、富山サイドがひとしきり沸いたため目安時間もアテにならない状態に。
それでも松本はロングボール攻勢に舵を切る、先程まで富山がやっていた事をやらざるを得ず。
プレスもボール保持も出来なかったその姿勢故に、後悔先に立たずという言葉が相応しく映り。

何度か放り込みを見せたものの、シュートには持ち込めないまま最後の場面を迎え。
それは樋口が(高橋馨に)反則を受けた事による敵陣浅めからのFKで、GK大内も前線に加わるまさに最後の攻防。
菊井はその大内の居る中央にクロスを送り、クリアされたボールを米原?がミドルシュートにいくも、ブロックされて万事休す。
すかさず試合終了の笛が鳴り響き。
同時に膝を屈する松本サイドと、歓喜でもみくちゃとなる富山サイドと、明暗を告げる笛ともなりました。

長かったJ3の生活も、苦しんだ末に(一旦)終わらせる事に成功した富山。
左伴繁雄氏の社長就任以降、着実な漸進が図られた末の悲願達成となりましたが、当然この後の道もまだ続き。
再び帰る事無く、その姿勢を保ってJ2定着のロードを築けるでしょうか。

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