※前回の仙台の記事はこちら(28節・千葉戦、2-4)
※前回の藤枝の記事はこちら(28節・山形戦、0-1)
<仙台スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前回述べた通り、長澤がウェリントン フェニックスFCへ完全移籍となり、前節(群馬戦、0-0)をもって登録抹消。
- 負傷離脱していた中山が、今節復帰しベンチ入り。
- 28節で負傷交代した高田の詳細が発表され、8/28に手術実施して全治約12週間との事。
- 前節負傷交代した有田はベンチ外。
- 加入内定している湯谷(中央大)・安野(帝京長岡高)の2人が特別指定選手となり、前節から登録される。
<藤枝スタメン>
- DAZNの予想フォーメーションは3-4-1-2で梶川がトップ下と、前回視聴時と同様。
- 負傷離脱していたアンデルソンが、前節(栃木戦、1-0)復帰して途中出場。
両極端だった成績(勝つ時は3得点・負ける時は無得点)が緩和されるとともに、勝利を重ねる藤枝。
それはいつの間にかプレーオフ圏が視野に入る程であり、「もしかしたら……」という戦いへと突入したであろうリーグ最終盤。
しかも入り口に待ち構えていたのは、目下そのプレーオフ圏に居座る仙台と、それに相応しい一戦になり得たでしょうか。
空中戦の連続でボールが地に付かない入りを経て、先に攻撃の形に入るのはどちらか、という立ち上がりに。
前半2分に中川創のパスカットから前進する藤枝、その中川創が縦パス→矢村フリック→梶川ロビングと素早くエリア内を突く攻撃。(千葉が右ポケット奥で受けるも奪われて終了)
落ち着かない流れのなか、好機に辿り着いたのちもそれに逆らう(無理にボール保持に落ち着く)事無く乗ったのが良かったでしょうか。
続く4分、仙台も応戦するかのように、パスカットした真瀬がそのままスルーパスを前線に届けんとする攻撃。
エロンの手前でカットして逆に藤枝のターンになると、最終ライン~ボランチ(+降りて来る梶川)での繋ぎを経て、久富が直接右ポケット奥へとロングパスを送り。
そして走り込んだ矢村も、角度の無い所にも拘らず、流れに乗るかのようにシュートを選択。
これが狭い所を抜いて左サイドネットに突き刺さる、電光石火の如き先制点へと繋がります。
重要な一戦で、幸先良いスタートを切れた藤枝。
一方、拙い立ち上がりとなってしまった仙台。
9分にも裏狙いで真瀬を右奥へ走らせる縦に速い攻めで、クロスに繋げるもその効率は良くなく。
ボール保持に長ける藤枝相手に、みすみすボールを渡してしまうといった立ち回りとなってしまいます。
その要因の一つは藤枝の前線の守備で、最近の戦いが示す通り、以前のハイプレス重視の立ち回りからは一変。
5-4-1のミドルプレスで構えつつ、仙台が保持に難色を示した時に果敢に前に詰めるというスタイルでプレッシャーを与え。
最終ラインでの繋ぎのなか、實藤にパスが出された際に構える姿勢から強烈に詰めにいく梶川の姿はこの日のハイライトと言っても良く。
右肩上がりの布陣を取る仙台と噛み合い、そのストロングポイントを封じられた格好となった地上からの繋ぎ。
その布陣の通りに真瀬が高い位置でボールを受ける時は好機になるも、その回数が少なく推移した結果、攻撃機会で大きく上回られる事となりました。
そして藤枝のボール保持に対しても有効打を放てない仙台。
GK北村が前に出てのビルドアップで、常時数的不利を強いられる前線の守備は、梶川が出口役となるのもあり機能不全に陥ります。
仙台同様に、モヨマルコムを高目に位置取らせる右肩上がりの布陣ながら、久富がその後方で前進の入り口を務めるという右サイド。
この二段階ともいえる、かつGKが組み立てに参加する利点がフルに生かされた布陣で仙台を上回り。
攻守に精彩を欠き焦りを見せる仙台。
20分に自陣でのFKとなると、蹴り出しを梶川に当ててしまう形でロストし、「妨害では」と異議を唱えながらの守備を強いられ。(梶川は露骨にポイントに位置してはいなかったため判定は妥当)
一旦戻してから世瀬ミドルパス→矢村ポストプレイ→千葉ドリブルで右ポケットへ進入し、右へ展開ののちモヨマルコムが再度ポケットを突いて奥からマイナスのクロス。
これを矢村がニアで合わせシュート(GK林キャッチ)と、二重三重に目線を変えるアタッキングサードでの崩しが展開されます。
一向に藤枝ペースが変わらないまま、迎えた30分。
モヨマルコム→久富というストロングポイントからの前進姿勢で、一旦は遮断されるも仙台のパスミスもあり継続すると、逆の左サイドからの攻め。
大曽根が奥を窺う姿勢から、戻しを経て中央からの崩しを選択、新井縦パス→矢村ポストプレイ→千葉とエリア内を突き。
仙台ディフェンスを十分に引き付けたこの体制から千葉はバックパスを選択し、受けた梶川が持ち運んでシュート。
ここも目線を釣った末のフィニッシュが炸裂する形で、ゴールネットが揺れて追加点。
藤枝が試合内容をそのまま、スコアに反映させていきます。
ホーム故に、何とか流れを変えたい仙台。
34分に藤枝が最終ラインでパスミス、右サイドで拾った郷家によりショートカウンターに入るも、中央へのパスが中島に繋がらず終了。
しかしこれを境に大味な展開へと変わり。
続く35分にパスワークによる前進を経て、またも右サイドで郷家がチャンスメイク、(大曽根に)反則を受ける形でフリーキックを齎し。
右サイドからという位置でしたが、クロスの跳ね返りから逆に藤枝のカウンターと、大味故のリスクも付いて回る格好に。
ドリブルで裏へ抜け出した大曽根が、防がんとして前に出たGK林を見るやロングシュートを選択し、これがゴール左へ僅かに外れる際どいものとなり冷や汗を掻きます。
尚もそんな展開は続き、40分には藤枝のコーナーキックから仙台がカウンターに持ち込むという逆のパターン。
一旦途切れるも、反撃に転じられる所を真瀬がパスカットして継続させ、拾ったエロンが右ワイドから斜めに切り込んで奥からクロス。
これを中島が合わせヘディングシュート(枠外)と、主体的とは言い難い流れですが、藤枝一辺倒だった展開を変える効果はあり。
42分、右奥へのロングパスに走り込んだのは例によって真瀬、中川創に蓋をされるも回り込んで確保に成功し好機。
そして入れられたマイナスのクロスを中島が合わせシュート(久富がブロック)と、絵面的にも仙台優勢ととれるものに。
すると直後の43分、全員敵陣へ侵入ののちボランチから組み立て、松下を中心とした1タッチでの繋ぎを経て片割れの松井がエリア内へと走り込み。
そして中島のスルーパスを受けて2タッチでポストプレイと、完璧な崩しを経て放たれた郷家のシュートがゴールに突き刺さり。
好循環をしっかりモノにする、上位チームらしい攻撃で1点を返しました。
残り時間は少ないながらも勢いに乗った仙台、アディショナルタイムには直接FKの好機。
右ハーフレーンの位置から、キッカー中島の直接シュートがゴール右を襲うも、GK北村のセーブに阻まれ。
しかし右CKで継続し、クロスの跳ね返りを奥村がダイレクトでミドルシュートを放ちましたが、これもGK北村がセーブ。
折角の流れも、相手の守護神に阻まれる格好で同点には追い付けずに前半を終えました。
共に交代無く、賽が降られた後半戦。
仙台キックオフで始まり、蹴られたロングパスを跳ね返した藤枝がボール保持に入るも、戻して作り直しを選択。
その後仙台もロングパスで真瀬を走らせる事でCKを得る(後半3分)など、前半同様のぶつかり合いの様相が続けられ。
そんな中で迎えた4分、藤枝はGK北村が低いフィードを右へ送る変化を付けた起点になると、受けたモヨマルコムから中央→左へとサイドを移しながら前進。
そして奥を突いたのちの戻しから大曽根のクロス、これも高くファーへ舞い上がるボールとなる変化が付けられ、モヨマルコムの落としでチャンスボールに。
放たれた矢村のボレーシュートこそ菅田にブロックされるも、こぼれ球をすかさず千葉が追撃。
しかしこのヘディングシュートはゴールバー下を直撃、ゴール外でバウンドした所を實藤にクリアされ、寸での所で決まりません。
この決定機逸がどう転ぶかという流れになり、その通り仙台へと傾き。
5分のハンド疑惑(エロンのレイオフが世瀬の腕に当たったとして異議もノーハンド)に続き、8分にも決定機に持ち込み。
最終ラインでの繋ぎから真瀬がドリブルに持ち込み、右奥を抉ってカットインの姿勢からグラウンダーでのクロスが入り。
ニアで跳び込んだ中島は撃てずも、こぼれ球を拾った松下がシュートを放ちましたが、GK北村の正面でセーブされ決められず。
前半に比べ最終ラインで繋げるようになった仙台。
實藤の所に梶川がプレッシャーを掛ける藤枝のディフェンスも、實藤と真瀬の間に松井が張って出口となる変化が見られた事で解決傾向に。
仙台逆転の予感が漂ってきたものの、そうは問屋が卸さずでした。
10分の藤枝、ゴールキックから地上で前進する姿勢で仙台のプレッシングを剥がしに成功。
そして一気に山原のロングパスで裏を突き、矢村が走り込むという先制点を彷彿とさせる好機。
収めた矢村はそのまま細かいタッチで中央へと切り込み、實藤と奥村をかわした末にペナルティアークから果敢にシュート。
ゴール左へと突き刺さり、絵面的にも仙台ディフェンス3人(菅田・奥村・實藤)を引き連れながらという完璧な得点となりました。(エリア内でモヨマルコムがデコイとなっていましたが)
再び2点差となった試合。
攻めの流れは築けていた仙台、残り時間(といってもまだまだ早い段階ですが)でどれだけ仕掛けられるかどうか。
13分に再び右に張り出した松井から組み立て、松下の縦パスが遮断されるもエロンが拾ってのキープで継続し、再度松井→松下との繋ぎを経て中央へ縦パス。
中島のフリックでエリア内のエロンに渡り、シュートが放たれるも威力に欠けGK北村がキャッチ。
最終ラインでの組み立ては上手くいっても、今度はアタッキングサードでの崩しという課題に追われる格好に。
仙台はスルーやフリックの選択でそれを乗り越えに掛かった(様に見えた)ものの、1点目に繋がったパスワークでの崩しに比べると偶発性に頼ったものに映りやや物足りなく。
ならばと前半(右サイド偏重により)あまり目立たなかった相良が、カットインからゴールを狙うシーンも混ぜ合わせましたが不発気味に。
そして攻撃終了になると、やはり藤枝の保持のターンになり盤石な攻勢とはいかず。
単にリードを守るのみならず、18分には梶川が持ち運びからエリア内へ浮き球を送り、またも裏を取った矢村がダイレクトでシュート(枠外)と追加点を狙う事でプレッシャーを与えます。
流れを変える必要性に駆られる仙台、21分に交代の運びとなると、一気に3枚替えを選択。
松下・相良・エロン→工藤蒼・オナイウ・中山へと交代、いずれも同ポジション同士と、駒を代える事でそれを果たさんとします。
25分に再び、真瀬の右からのミドルパスを、中島がスルーして中山が受けるというスルーを絡めての好機。
中山のエリア内への突撃が阻まれ、拾った中島が外からシュートを放つも、今一つ威力に欠けてGK北村がキャッチと実らず。
ならばと29分、組み立ての中で中島が右ポケットを取った所へ、工藤蒼が1タッチでミドルパス。
受けた中島、そのまま反転してシュートを放ちましたが惜しくもゴール左へ外れ。
持てる力で手段を多くし、何とか崩しを図らんとしますが実りません。
この直後に中島→名願へと交代し、彼が左サイドハーフに入った事でオナイウが右へ移り、郷家がFWに。
一方藤枝ベンチも、28分に梶川・千葉→榎本・アンデルソンへ2枚替えを敢行したのを皮切りに忙しなく動く事を余儀なくされ。
続いて32分に大曽根・世瀬→シマブク・河上へと2枚替え。
後は最終盤に向けて1枚残すという体勢だったものの、34分に中川創が足を攣らせてしまった事で覆される格好に。
すかさず彼に代えて鈴木を投入し、カードを使い果たします。
同時に仙台も松井→菅原へと交代し使いきり、そして郷家をボランチに置くという変化を付け終盤戦へ。
藤枝がアクシデント的な交代だったのもあり、以降一気に仙台ペースへと傾き。
ボール保持により藤枝をリトリートへ追い込み、菅田を最後方として實藤が果敢に持ち運びを選択するなど全員で攻め上がります。
37分には右からの切り込みと見せかけ中央へ戻し、郷家ミドルパス→菅原左から折り返しを経て真瀬がヘディングシュートを放つも、GK北村のセーブに阻まれ。
オナイウのロングスローも駆使しながら、大攻勢を仕掛けますがゴールという結果には辿り着けません。
44分にはパスミスから藤枝にカウンターを浴びる(榎本が左ポケット奥からクロス→矢村ヘディングシュートもゴール上へ外れる)など、後方を脅かされながらもひたすら殴り続ける姿勢を取り。
再び藤枝を専守に追い込み、敵陣でパスワークを繰り広げた末にオナイウが右奥へ切り込みクロスを入れると同時にATへ突入。
そしてこのクロスが、中央で跳んだ實藤と菅原を越えてファーの中山の足下へ。
モヨマルコムがその手前でクリアに入るも、ゴールへ蹴り込む格好のオウンゴールに。
執念で1点を返した仙台により、最後の攻防へ突入します。
しかしここから藤枝は押し返し、河上がミドルシュートを放った(ゴール左へ外れる)のを切欠に幾度も仙台陣内でサッカーを展開。
早く攻勢に入りたい仙台の気勢を逸らしながら、時間も使う立ち回りへ。
カウンターに持ち込み、シマブクのクロスが流れたボールを拾ったのちスピードを緩め、右サイド奥でパスワークに持ち込み。
時計を進めに掛かったと思いきや、モヨマルコムが強烈なカットインでエリア内中央まで切り込む(シュートは撃てず)という具合に、まさかの4点目も意識させ。
何とか断ち切り、菅田を前線に上げて最後の攻撃に入る仙台。
ロングフィードをその菅田がフリックしてからの攻めで、左CKを獲得すると当然ながらGK林も前線に上がり。
その林が、同じGKの北村をブロックする体勢のなかクロスが上がるも、菅田の折り返しは乱れてモノに出来ず終わります。
結局2-3のまま試合終了となり、3連勝を果たした藤枝。
これで6位まで勝ち点差は2と、ますます現実味が帯びてきた昇格争い。
ライバルの勝敗が嫌でも気になるその戦いで、あくまで自分達のサッカーと向き合う事を重視する姿勢で優位に立つ事が出来るでしょうか。
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