※前回の甲府の記事はこちら(6節・水戸戦、4-2)
※前回の栃木の記事はこちら(8節・山口戦、1-1)
<甲府スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 武富の故障が発表され、3/14に発生して全治4週間との事。
- ジェトゥリオの故障が発表され、4/6に発生して全治4週間との事。
- 8節(仙台戦、0-3)で負傷交代した品田の詳細が発表され、全治6~8週間との事。
- 内藤の故障が発表され、4/13に発生・4/17に手術敢行して全治3か月との事。
<栃木スタメン>
- 7節(群馬戦、1-2)で負傷交代(ハーフタイム)した大谷の詳細が発表され、復帰まで6週間との事。
- 前節は岡﨑・森が負傷交代し、ともに今節はベンチ外。
- そのためか高嶋が今季初のメンバー入りを果たす。
GKが「かわた」のクラブ同士の対戦。
ホームの甲府は、前年の天皇杯制覇により、開幕前にスーパーカップを戦うというJ2クラブとは思えないスタートを切り。
そこで頭角を現した左サイドの水野・三浦のコンビが今季の売りとなるかと思いきや、両者とも直ぐに序列が落ち。(ベンチ外が長く続いていたが、故障かどうかは不明)
2人のスピードは大きな武器となるものの、開幕節(山形戦・1-2)では、その前掛かりな姿勢の裏を突かれ続けるという弱点が露呈する事となりました。
すぐさま現実路線に舵を切った篠田善之監督、カウンター重視と共に、前年までのスタイルであるボールポゼッションも取り入れるなど微調整を続けている現状。
その中心となるのが、連戦の中でもスタメンを続けている1トップのウタカ。
大ベテラン故にそのコンディションが気になる所で、現に連戦の過去2戦とも60分台の出場で退くとともにチームも連敗とやや下降線を描いているのが気掛かりであります。
コイントスでコートチェンジが行われ、前半に風上を取った栃木。
その振る舞いの通り、前半2分にGK川田のロングフィードを好機に繋げ、エリア手前から山田シュートもブロック→拾い直して繋ぐ→西谷ミドルシュートと連撃を浴びせ。
まずは環境を活かしたロングボールで相手を脅かすと、その後は最終ラインからのショートパスによる前進を交えるという、お馴染みの攻撃パターンを展開していきます。
両ウイングバックを軸としてクロスを入れる(左サイドは、上がってきた大森によるクロス)シーンを数多作り、コーナーキックも2本得るという具合にハッキリしたクロス攻勢に持ち込み。
甲府はその圧力に難儀し、デュエル勝負でも後手に回るなど押し込まれ。
それでもその流れが途切れると、今度は主体的な攻撃を見せるターンが巡って来ます。
当然最終ラインからのビルドアップを敢行するにあたっては、栃木のプレッシングが待っている訳ですが、ここで頼りになったのがGK河田。
前に出てエリア外でボールを裁き、11人目のフィールダーとしてパスワークに参加する事でそれをいなす下地を作り上げます。
自在に足下でボールを操り、縦パスで際どく栃木選手を剥がすその姿は、数年前の河田からは想像が難しい程であり。
前回観た際はウタカがチームに大人の振る舞いを齎していた印象でしたが、この日は河田がそれに値する存在となっていました。
20分にそのGK河田が縦パスを続け、2本目を受けた長谷川が前進からエリア内へミドルパス、そこに鳥海が走り込んで足から跳び込むも僅かに合わず。
かくして速攻と遅攻を自在に選べる立場となった甲府、ゲームの支配に成功して敵陣でサッカーを展開していきます。
スルーパスメインでポケットを突く事を第一目標としつつ、それが叶わなければ最終ラインまで戻し、栃木のプレッシングを誘発。
こうした流れを継続するその姿は、流行である「四局面のフレームワーク」がしっかりとなされている風であり。
色を失った栃木は、優勢であったインテンシティの勝負に舵を切り、中盤でボールを奪いにいき。
しかし甲府もゲーゲンプレスで対抗し、ボールの奪い合いが発生する事数多で、結局最後は甲府ボールとなりそれは実りません。
有利な流れを築いた甲府ですが、勝利に向けて必須となるフィニッシュは膨らまず、38分の須貝のミドルシュート(ブロック)ぐらい。
ボールと共にゲームも支配されているかのような栃木ですが、ここに活路を見出し隙を突いての一刺しに賭ける形となり。
41分に平松のクリアから空中でボールを繋ぎ、黒﨑のアーリークロスを中央エリアライン上辺りで根本が胸で収めにいき。
クリアされるも左サイドで拾って継続、パスワークを経て浮き球で左ポケットを突いたのち、中央へ移した福森がペナルティアークからシュートを放つもブロックに阻まれ。
敵陣で細かく繋ぐ攻撃に持ち込みましたが実らずに終わります。
甲府は45分にGK河田のロングフィードからの攻撃。
ウタカが収めたのち、鳥海が右ポケットを突いてゴールの期待を高めると、中央への横パスを経て最後はウタカがペナルティアークからシュート。
しかし枠を捉えられずと、ともにほぼ同じ位置で持ち込んだフィニッシュは得点を齎さずとなりました。
結局スコアレスで前半を終え。
押されていた栃木がハーフタイムで動き、西谷・安田→神戸・矢野へと2枚替え。
そしてキックオフからの栃木の攻撃、ロングパス→矢野フリックで前線へと渡し、黒﨑のパスを受けた矢野が右ポケット奥へ切り込んでマイナスのクロスと好機が生まれ。(クリアされるも拾った大森がミドルシュート、枠外)
この大ベテランの奮闘に引っ張られるかのように、ペースを握り直す栃木。
特に矢野と同じシャドーに位置する山田が、ドリブルからのスルーパスで目立つ存在となり、好機に繋げていきます。
しかしクロス精度が今一つなシーンも全体として目立つ栃木。
入りから約5分間はそんな栃木の攻勢が続いたものの、それが終わると前半と類似した展開に。
甲府がGK河田からのビルドアップを続ける展開に持ち込むものの、後半に試合を動かすスタイルの栃木も今度はそれに対抗します。
後半9分に甲府のパスワークを右サイドで遮断、山田がドリブルで敵陣を切り裂いた末に右ポケットへスルーパスというカウンター。
走り込んだ矢野が再びマイナスのクロスを入れるもブロックされてCKとなり、そのCKから神戸がミドルシュート(エリア内の根本に当たりこぼれる)と、ゴールへの意欲を高めていき。
対する甲府も焦りは見せず、11分には右サイドからの前進で須貝縦パス→鳥海スルーパスで最前線へ運ぶと、ウタカがクロス。
これを長谷川が足で跳び込むも合わずと、シュートまで後一歩という流れは前半と変わらず。
好ゲームの様相となってきた所で、19分に甲府ベンチも動き。
小林・三平→三浦・宮崎純へと2枚替えを敢行し、長谷川がトップ下へと回ります。
一度は見限られたというような左サイドバックの三浦(前節はスタメン)も、この緊迫した場面でピースに加わり。
それでも栃木の盛り返しを受け、難しい試合を強いられる甲府。
デュエル勝負で後手に回る影響が再び滲み出る時間となり、反則を与えてしまうなどペースを握れません。
一方の栃木も、得たフリーキックからはフィニッシュは生まれず、またチャージを受けても反則無しで攻撃が途切れるシーンも増えてくるなどその弊害が見られ始めます。
27分に再び動く栃木、山田→高萩へと交代。
29分にその高萩が、右からの高いクロスをファーサイドで(脚での)ポストプレイで繋ぐトリックプレーを経て、逆サイドから再びクロス。(GK河田が抑える)
その後もクロス攻勢を続ける等、甲府ディフェンスを何とか崩さんとする姿勢は見せるものの、上がるクロスはフィニッシュを生み出せず実りません。
一方の甲府も31分に鳥海→荒木へと交代。
ここに来て逆足のサイドハーフを投入と、形を変えてきました。
33分にはその配置通りの攻めで、右サイドで荒木を軸にしたパスワークを経てサイドを移し、三浦が左サイド奥を突いてクロス。
ブロックされて左CKへと持ち込むと、キッカー宮崎純が上げたファーサイドへのクロスに、合わせたのはウタカ。
ループ軌道でゴール左へと突き刺さり、混迷しそうな流れのなかエースの一撃で均衡を破った甲府。
追う展開となった栃木、残された時間は多くなく。(キックオフ前に黒﨑→大島へと交代)
そのキックオフでの攻撃、再び矢野狙いのロングボールから、跳ね返りを拾ったのち神戸が遠目からミドルシュート。
これがブロックに当たりゴールを逸れた事で左CKとなるなど、強引な攻撃の色を強め。
36分にもGK川田ロングフィード→矢野フリックから好機に持ち込むも、大島のクロスがクリアされると甲府のカウンターに。
宮崎純の中央のドリブルを経て、中継点を務めるウタカが右奥へスルーパスを送ると、スピードダウンしてボールキープに移行する甲府。
再び最終ラインへと戻し、GK河田から繋ぎ直すという具合に、逃げ切りも視野に入れた大人の振る舞いを見せ付けます。
栃木が40分に最後のカードを切った(根本→小堀)一方で、甲府も42分に最後の交代。
殊勲のウタカを退かせ(松本孝と交代、同時に長谷川→蓮川へと交代)、DFを一枚多くする、つまりは3-4-2-1の5バックシステムを採る事で逃げ切り体制へ入ります。
そしてその後は、面白いようにボールキープに努める甲府。
GK河田はロングフィードを送る体制へと移行しますが、そのボールも前線に繋がる事で、栃木サイドは中々マイボールに出来ずに時間を費やし。
45分にその河田のフィードから、拾った荒木が左コーナー手前でキープする体勢に入り。
そしてCKに持ち込んだ所でアディショナルタイムに突入、ショートコーナーから尚も続く甲府の逃げ切りモード。
ポゼッションを続け、逆サイドでのスローインで同様のボールキープに持ち込むなど、時間を使っていきます。
何とかそれを切って前線へ運ぶ栃木、右CKに持ち込んでGK川田も前線に加わる総動員体制へ。
執念は見せたものの、最後は神戸のクロスがGK河田にキャッチされた所で試合終了の笛が鳴り。
しっかりと逃げ切った甲府、連敗を2で止める事に成功。
前節に続きとんでもなく低い得点期待値(チーム平均値の半分以下)を叩き出してしまったものの、ゲームコントロールに成功すればこうして勝利に辿り着けるという見本のような試合だったでしょうか。
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