<長野スタメン> 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK 大内
RCB 池ヶ谷 CCB 喜岡 LCB 秋山
RWB 三田 DH 住永 LWB 水谷
IH 佐藤祐太 IH 森川
FW 宮本 FW 東
<松本スタメン> 4-4-2
GK ビクトル
RSB 前 CB 大野 CB 常田 LSB 下川
RSH 住田 DH パウリーニョ DH 安東 LSH 菊井
FW 小松 FW 横山
Jリーグの舞台では初となる、伝統の信州ダービー。
地域リーグ時代からお互いに凌ぎを削るカードであり、そのライバル意識の強さは観客動員にも表れ。
この日は長野のホーム(長野Uスタジアム)史上最高となる動員数となりました。
松本が2012年にJリーグ参入して以降戦う場も失われ、これが実に12年ぶりの対戦……と思いきや、1週間前に天皇杯予選の決勝戦でそれは果たされており。
その場では松本が勝利し(1-0)、第2ラウンドと表現される事となったこの試合。
今季から4-4-2のオーソドックスなフォーメーションを取り入れ、3-4-2-1との使い分けを敢行している松本・名波浩監督。
その心としては、普通に戦えば戦力は上々故に優位に昇格争いを戦えるといった所でしょうか。
前年のような攻撃サッカーに変に傾倒する事無く、守備重視の戦いでここまで僅か1敗(5勝2分)と順当に上位を保ち。
機能性が上がったチームの中、2年目のFW横山がブレイクしアンダー代表(U‐19)に選ばれるまでになり、成績と育成双方で結果を出しつつあるようです。
キックオフから早速の前半1分、菊井が長野・秋山に倒されて右サイドからのフリーキックを得る松本。
キッカーの位置に立った菊井・住田が、パス交換を交えて菊井がクロスを上げるという特徴あるキックを披露し、中央で常田がヘディングシュートに持っていくも枠外に。
その後10分にも同じような位置でFKを得て、ここでも菊井がエリア内へスルーパスを送るという変化を付けたものの、ここは眼前であっさりカットされ不発に。
その一方で期待の横山は、5分に安東の縦パスを受けてエリア手前からシュート。(ブロック)
10分にはスルーパスを左サイドで受け、カットインを経て左ハーフレーン・エリア手前からシュート(枠外)と積極性を見せていきます。
立ち上がりはこのように松本優勢でしたが、次第にボールポゼッション能力で上回る長野に針が傾き。
フォーメーションの使い分けでも、シュタルフ悠紀リヒャルト監督の下一日の長があり、この日は3バックを採用。
主に森川を左ワイドに張らせ、ウイングバックの水谷がその内側でプレーするという可変を軸としての攻撃を貫いていました。
しかし中々フィニッシュには持ち込めずに時間が進み。
迎えた22分、長野が敵陣でパスを繋いで攻め込むも、松本ディフェンスの激しい当たりの前に倒れる選手が続出。
エリア手前まで迫るも奪われ、奪い返さんとした所を反則を取られた結果、ヒートアップし両軍入り乱れるというシーンを作ってしまいます。
これでテンションが上がったのは松本の方で、直後の24分に敵陣で空中戦の末にマイボールとなり左サイドから菊井がクロス。
クリアが不十分でこぼれた所を前がエリア内右からボレーシュート、ブロックされたボールを拾った安東から中央からミドルシュートを放つも、これもエリア内でブロックされ実らず。
攻撃ではもちろんの事、守備でも長野の最終ラインからのビルドアップに対し、果敢にプレッシングを掛けるようになります。
しかしそのプレスを冷静にいなしてペースを保つ長野。
この日は松本もある程度ボール保持の姿勢を見せており、ダービーマッチらしく「目には目を」といった振る舞いが感じられ。
それでも局面を変えるのはカウンターをフィニッシュに繋げる攻撃。
31分パウリーニョがカットしたこぼれ球が直接横山に渡ると、入れ替わってドリブルに入った横山がそのままエリア内を突いてシュート、しかしGK大内がセーブ。
この威力あるカウンターを見せた松本がペースを掴み、逆に長野は34分に松本のコーナーキックを防いでカウンターに持ち込むも、左サイドでドリブルした森川が反則気味に倒されてシュートまではいけず。
こうなると勢いは松本のもので、35分にはエリア手前で左からカットインを仕掛けた横山が長野・佐藤祐に倒され反則。
エリアからすぐ手前の直接FKを得ると、キッカーは横山で直接シュートを放ちますがゴール上へと外れ。
40分には長野のパスミスから攻撃開始、右サイドで安東のスルーパスに抜け出した住田からクロスが上がると、ここも横山がファーサイドに走り込んで合わせ。
しかしGKの眼前だった影響かふかしてしまい、決定機を逃す事となります。
その後尻すぼみとなった松本、再度長野がボールを握る展開になりましたが、45分に森川がミドルシュートを放った(ブロック)のみに終わり。
前半はスコアレスで終え、勝負の後半を迎えます。
そのキックオフの前に、ハーフタイムで長野サイドが動き住永→宮坂へと交代。
後半2分に松本が攻め上がり、右サイドでスルーパスに横山が走り込み、クリアされるもCKに。
そのCKで、ショートコーナーから後方へ戻したボールが長野・東の腕に当たるも、主審の笛は鳴らず松本サイドがヒートアップする一幕も生まれ。
しかしHTでの名波監督の指示が「判定に何も言うな」との事だったので、直ぐに収まります。
さらに6分には、空中戦で安東が長野・森川と頭部同士で激突、安東が一方的に倒れ込んでしまう事態に。
脳震盪のチェックが入るものの、安東は笑顔で対応し受け流します。(一旦ピッチ外に出たのち復帰)
前半はボールを握りながらも、松本GKビクトルを脅かす場面は全くといって良い程無かった長野。
宮坂の投入で展開力を上げに掛かるも、中盤で巧く繋がらなくなり攻撃機会が減ったという印象でした。
それでも決定機が作れればwin-winでしょうが、せいぜいサイド奥からのクロスボールが、GKビクトルにキャッチされるといったシーンぐらいに終わり。
一方4分に、波状攻撃を掛けたのち、クロスのクリアボールを拾った住田がミドルシュートを放った松本。(GK大内セーブ)
相手GKを働かせるという点では前半から大きく上回っていた松本ですが、それでも試合を左右するゴールは奪えず。
15分に早くも勝負手と見られる、榎本の投入を敢行します。(小松と交代)
直後の16分、長野のサイドチェンジをカットした下川が左サイドを駆け上がりチャンス到来。
しかしアーリー気味に送られたクロスは精度を欠いてしまい。
縦に速い攻撃が売りの松本でしたが、こうしたスペースを得た場面ではエリア内を抉って拓を迫る選択が欲しいと思いました。
フィニッシュを放てずにいた長野は、何とかしようと18分からCK攻勢。
2本目の左CK、ニアサイドでの池ヶ谷のフリックが上空へこぼれた所を、秋山がバイシクルでシュート(枠外)と無理気味に放ち。
その直後の19分にベンチが動き、三田と森川に代えて藤森とデューク・カルロスを投入します。
すると松本もすかさず動き、前・住田→宮部・佐藤和弘へと2枚替え。
宮部の投入で3バックに変えると思われましたが、ポジションそのままに宮部が右SB・佐藤和が右SHに入って4-4-2のまま試合を進める松本。(しかし放送席では3バックと勘違いされていた)
一方の長野も、デュークが入ったのちも左サイドで可変しての攻撃は変わらず。
それでも不利な状況を受け、繋ぎをある程度捨ててロングボールを交えての強引な攻めで好機を作る場面が目立ち。
さらに25分にターゲットを増やすべく、東→山本大貴へと交代します。
そこから暫くは双方ボールが落ち着かない展開となり。
戦術云々よりはとにかくボールを前に送るというダービー故の熱気が感じられる一幕ながらも、先程の下川のクロスの場面と同様に落ち着いた視野が欲しいとも思いながら時間が進んでいきます。
そうした流れを経て攻撃権を得たのは長野。
34分、ここも左サイドでのスローインを素早く裏へと投げ入れるというスピード重視の思考でしたが、今度は奏功し受けた水谷がエリア内左奥からマイナスのクロス。
ニアで宮本が合わせにいったもののディフェンスに阻まれて撃てずと、際どい場面となり。
すると直後に右サイドで藤森のドリブルが松本・下川の反則を呼び、右サイドからのFK。
これを宮坂が遠目の位置ながらも直接ゴールを狙い、ライナーで右上を襲ったもののGKビクトルがセーブと、この試合初めてファインセーブを披露する事となったビクトル。
攻勢を受ける形となった松本、次第に5バック気味(3-4-2-1)にフォーメーションが移る事となり。(右WBの位置には菊井)
37分に榎本のヘディングシュートが枠外となった所で、最後の交代を敢行する松本(安東・菊井→橋内・村越)、これを期に本格的にシフトします。
<後半37分以降の松本> 3-4-2-1
GK ビクトル
RCB 大野 CCB 橋内 LCB 常田
RWB 宮部 DH パウリーニョ DH 佐藤和 LWB 下川
IH 村越 IH 横山
FW 榎本
それでも宮部は右サイドのまま固定と、長野のストロングポイント(デューク)をケアせんとしていたでしょうか。
終盤戦に入り、お互いロングスローを交えるという形振り構わない攻撃を見せ。(長野=藤森・松本=榎本)
そこから右CKを掴んだ松本(42分)、キッカー佐藤和のクロスを榎本が合わせたものの、対角線を狙ったヘディングシュートはゴール左へと外れ。
43分には再度エリア内からマイナスのクロスを入れる流れを作った長野でしたが、右から藤森が入れたボールは誰にも合わず。
そしてアディショナルタイムに入り、とにかくラフに裏へとボールを送る松本。
その姿勢で押し込み、佐藤和がミドルシュートを放つ事2度。(最初はブロック・2本目はGK大内キャッチ)
得点への期待が高まってきたという所で、あろう事かパウリーニョが故障を発生させてしまい、担架で運ばれる事態に。
これで残り時間を10人で戦う事となり、結果ペースを失ってしまいました。
押し込む長野、こちらもとにかくストロングである左サイドで攻撃。
デュークと山本大の関係性で好機を作りにいくものの、フィニッシュまでは辿り着けず。
結局スコアレスのまま試合は終わり、長野・シュタルフ監督のATの時間への異議が響き渡るという、最後まで意地をぶつける絵図で幕を閉じました。
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