※前回の岡山の記事はこちら(30節・秋田戦、0-1)
※前回の藤枝の記事はこちら(34節・いわき戦、1-1)
※前回の両クラブの対戦はこちら(4節、藤枝 0-1 岡山)
<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 今節がプレーオフ圏確定リーチとの事で、但し条件がややこしい。勝利の場合は千葉・山形のどちらかが引き分け以下・引き分けの場合は山形が敗戦。これにより(最終節で山形vs千葉なため)千葉・山形のどちらかに勝ち点差2以上の条件が生まれれば確定となる。
- 前節(横浜FC戦、4-2)コンディション不良により欠場(放送席の談)した藤田息がスタメンに復帰。
<藤枝スタメン>
- DAZNの予想、yahooスポーツナビともにフォーメーションは、新井アンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)。
- GK岡西が今季限りでの引退を発表。
もしかしたら昇格も……と思わせた藤枝ですが、そこから急転直下。
5戦未勝利と沼に嵌り、儚い夢に終わってしまいました。
厳しい状況を強いられるなか、今後も独自のスタイルを貫く事でJ2の座を維持できれば……という事を見せてシーズンを終わりたい。
この5戦は、撃ち合いも守勢での脆さが露呈(清水戦・千葉戦)・カウンターに嵌って撃沈(大分戦)・前線の守備に苦戦(徳島戦)と、多種多様な敗戦を喫したため原因の特定も難しく。
この日も、未来に繋げる勝利を挙げたい所でしたが、やはりまだ目標が残っているクラブの強さに屈する流れとなりました。
その岡山は目下PO圏に位置しており、この日がホーム最終戦。
ライバルクラブが全て連勝を果たした過去2戦と、プレッシャーも半端無い状況の下、早期に勝利への道筋を作れるかどうか。
そんな意気込みが勝り、立ち上がりから攻勢に入る岡山。
特異なスタイルを貫く藤枝への対策としては、ハイプレスで前進を阻みにいくという徳島型。
一美がアンカー的に位置取る新井に付き、その他のメンバーで最終ラインをチェイスするというのが基本スタイル。
その積極性は、鈴木喜まで果敢に敵陣でプレッシャーを与えにいく絵図も見られる程で、昇格への執念を伺わせるものであり。
しかし実際には、高めに位置取るモヨマルコムに同じウイングバックの末吉が付くため、その分空きがちになる久富への対応というシステム上の噛み合わせを埋めるために前への意識を高め。
両シャドーが、GK北村を含めた最終ラインに出ていく所をカバーするという、よく練られたであろう対策が顔を出した結果となりました。
前目の鈴木喜が攻守に躍動し、前半10分に藤枝の後方からの縦パスがズレた所を逆に鈴木喜が縦パスを送り返し。
受けた岩渕のポストワークを経て、本山がミドルシュート。(枠外)
11分には千葉が前進する所を反則気味に止めた鈴木喜からカウンターが展開され、左サイドから素早い前進を経て末吉がカットイン(ポケットで奪われて終了)と、対策の成果というべきペースを確保します。
藤枝サイドは、そんな岡山の激しい寄せに難儀してボールを運べない状態に。
アンカー経由での前進が出来ない所へ仕掛けられるハイプレスに対し、サイドでの前進を余儀なくされるしかない地上でのビルドアップ。
そのため逃げのロングボールの割合が増える、らしくない戦いを強いられます。
24分にハイプレスを嵌められ奪われかけるも、こぼれ球を梶川が拾って何とか確保、左へ展開しシマブクのドリブルにまで繋げるもフィニッシュは打てず。
岡山はハイプレスの際、時にはGK含めた3枚に対し一美も加わって数を合わせてくる事もあり。
この際に間を通して新井に繋げれば……という所でしたが、その機会を試せぬままズルズルと時間を浪費してしまいました。
上記の24分の際に、モヨマルコムから奪いかけた鈴木喜が交錯により痛み倒れ込んでしまう岡山。
良い存在感を発揮していただけに、交代となれば危機という所でしたが、無事に起き上がりピッチ外→復帰。
すると依然として岡山ペースは保たれ、30分には阿部が最終ラインから持ち運びを経て左サイドへロングパス、受けた岩渕がサイドチェンジと大きな展開。
これを受けた本山のクロスが中央に入り、岩渕がヘディングシュート(GK北村キャッチ)と、相手を守勢に追い込む流れも出来上がりつつあり。
その片翼を担ったのがセットプレー。
ロングパス中心に立ち回る岡山の主体的な攻撃に、藤枝はデイフェンス面での弱さは依然として健在なのか、ラインアウトで逃げる事を余儀なくされます。
これによりスローイン・コーナーキックが膨れ上がり、一層自身がボールを握る時間が減っていく藤枝、リズムを掴む事すらままならず。
そんな展開で、24分以降藤枝は攻撃機会を全く得られず、終盤まで来てしまい。
45分、岡山の右CKに対し、クロスをクリアした新井が一美にのしかかられるような形で痛んで倒れ込み。
長い時間を掛けてようやく起き上がり、続行の運びとなりましたが、この影響かハーフタイムで交代を余儀なくされる事となりました。
その絵図のまま突入したアディショナルタイム、やっと岡山陣内で展開する機会を得た藤枝。
左スローインにも拘わらず、逆サイドからモヨマルコムがやって来てロングスローを選択。
さらにCKに持ち込んで3本続けるという具合に、こちらもセットプレー攻勢の色を高めます。
このCKでのポジション取りで、マンマーク中心の岡山と激しくやり合った事で一悶着。
それを利用せんと、2本目でキッカー梶川はエリア手前へのクロスを選択すると、後方待機の矢村がボレーシュート(ブロックされCKに)と変化を付け。
それでもモノに出来ず、3本目が終わった所で前半終了となります。
前述の通り、藤枝が新井を退かせた(世瀬を投入)HT。
結果的に、アンカー的な役割を務めながらも果たせずにいた新井に代える事となり、局面変更が期待される後半戦に。
しかし後半も、岡山のセットプレー攻勢に難儀する流れは継続。
いきなりキックオフでの初手で、ロングパスを収めた一美から敵陣で展開する岡山に対し、鈴木翔が木村を倒してしまい反則。
これによる右サイドからのフリーキックで、キッカー岩渕のニアへのクロスを鈴木喜がフリック気味でのヘディングシュート。(GK北村キャッチ)
後半3分には右スローインを直接ポケットで受けた一美、そのままカットインを経てシュート(GK北村キャッチ)と、前半とは打って変わってフィニッシュまで繋げてくる岡山に対し四苦八苦。
苦戦したビルドアップの面は世瀬が入った事で、浅倉と梶川が降りて受ける局面を増やすという、手段を増やしての対抗策。
それに加え、右サイドではモヨマルコムが低目に位置取り、久富が追い越すというポジションチェンジを何度も慣行。
前に出てくる鈴木喜に対するピン止めという、対策の対策の表れだったでしょうか。
そのため、敵陣でのボール奪取からの好機はあまり期待出来なくなった岡山。
それでも果敢に寄せるものの、7分にはスライディング同士の激突で梶川を削ってしまった一美が警告を受けるなど、副産物のカードも齎されてしまい。
9分、最終ラインの田上からパスワークで前進と、これにより自らも地上で繋がなくてはならないという思惑が表れた好機。
左サイドでの前進から、末吉中央へ縦パス→一美ヒールでポストプレイ→鈴木喜エリア内へスルーパス→木村走り込んでポストプレイと、1タッチも交えた鮮やかな繋ぎを経て一美がシュート。
しかしゴール右へと外れてしまい先制ならず。
徐々にボールを持てるようになってきた藤枝、14分に川島の縦パスを受けた千葉が中央から前進を仕掛け、藤田息に倒された事で反則。
これにより得た直接FKで、キッカー矢村が果敢に直接ゴールを狙うと、GKブローダーセンの左を抜き。
決まったかと思われたシュートは、ポストを叩いてしまい跳ね返り。
劣勢を掻い潜っての先制弾は生まれずと、お互いゴールに迫るもスコアは動きません。
膠着の雰囲気が高まる中、先に動いたのは岡山サイド(既にHTで藤枝が動いていますが)で17分。
木村・一美→神谷・ルカオへ2枚替えと、前線の顔ぶれを変更。
これで一美よりも果敢に最終ラインにチェイスを掛けるルカオと、プレッシングの色も変更となりました。
結果的に、その変節への対応に疑問符が付く格好となった藤枝。
19分にその最終ラインへのプレッシャーから、縦パスを受けた浅倉がトラップミスでルカオに奪われるなど、再び慌ただしくなる後方の繋ぎ。
そして22分、川島が最終ラインでボールを持っている所に、ルカオがその背面から追い掛け。
2列目の世瀬・梶川を岡山のドイスボランチが見ている状況で、どう出すのか迷いを見せているうちに、ルカオの後方からのアタックでロストしてしまいます。
そして両センターバックは例によって大きく開いていたため、拾った岩渕は必然的にGKと一対一へ持ち込むのが容易となり。
そのままドリブルでエリア内へまで運び、その状況が生まれた末にループシュートをゴール内に放り込み。
前線の守備を蘇らせた岡山が、どうしても欲しかった先制点に辿り着きました。
ホームの雰囲気にも後押しされ、その勢いのまま試合を動かしにかかる岡山。
何とか落ち着かせたい藤枝ですが、24分に再び最後方で持った所、今度はGK北村のフィードがカットされて岡山の攻撃開始。
藤田息のスルーパスを受けた神谷がエリア内へ進入し、ディフェンスに遭った事で得た右CK。
キッカー神谷は中央へクロスを送り、ニアに走り込むターゲットの奥で合わせる格好となった田部井がヘディングシュート。
これがゴール右へと突き刺さった事で、追加点は何度も得ていたセットプレーをモノにしてもぎ取りました。
一気に2点取られてしまった藤枝。
何とか巻き返したいのは言うに及ばずで、27分に再びプレッシャーを浴びた川島、今度はミドルパスを選ぶと中央で矢村がポストプレイで繋ぎ。
ここからボランチのパス交換を経て中央から浅倉が持ち運び、ミドルシュートを放ちますがGKブローダーセンがキャッチ。
30分にベンチも動き、一挙に3枚替え。
川島・梶川・千葉→山原・前田・中川風へと交代します。
岡山は、その後ルカオが攻撃面でも威力を発揮。
フィジカルを活かしてのボールキープで溜めを作り、敵陣でのポゼッションを増やしていく事で藤枝から反撃の機会を奪いに掛かり。
そして前掛かりになってきた所を突くという、リードした展開での定番の流れで勝利へと向かいます。(33分に鈴木喜・田部井→柳育・竹内へと2枚替え)
36分に藤枝のロングパスを跳ね返してからの好機、溜めを作ったのち竹内のミドルパスで右サイド裏を突く絶好機に。
岩渕が持ち運んで右ポケットへ進入し、入れられたグラウンダーのクロスに神谷が合わせるも、このシュートはGK北村がキャッチ。
藤枝は37分、ボールキープするルカオに対し、デュエルに勝つ形で山原がボール奪取。
ここから好機に繋げたかったですが、中川風のドリブルが藤田息に反則気味に止められた事で、(その後逆に反則を取られたのもあり)ヘイトを溜めるのみとなってしまい。
岡山のモチベーション溢れるデュエル勝負に、最後まで難儀する事となりました。(39分に久富→河上へと交代)
41分に最後のカードを使った岡山(岩渕→太田)は、以降サイド奥までボールを運ぶ事を重視。
ボール保持に徹し、ディフェンスに遭ってもCKに繋げるという逃げきり体制を築き上げます。
ここまで来れば、2点差という余裕も危険なスコアという概念も既に無く手伝い、ただ時間が経過するのみとなり。
再び全く攻撃機会を得れない時間帯に陥った藤枝、まさに成す術無いという状況に。
結局2-0のまま迎えた試合終了の時間。
この日唯一の13時開催なため、勝ち点3を積み上げて他会場の結果を待つ体制に入った(と思われる)岡山。
そしてその結果、千葉が敗戦したためPO圏内が確定する運びとなりました。
2年ぶりの出場に血沸き肉躍るという岡山ですが、同じ指揮官(木山隆之氏)故に今度は結果のみが求められる戦いでもあり。
石にかじりついてでも這い上がり、J1への道を完遂できるかどうか。その前にホーム開催の権利(4位)を確保する事が大切でしょうが