※前回の鹿児島の記事はこちら(10節・愛媛戦、2-2)
※前回の長崎の記事はこちら(11節・横浜FC戦、1-0)
<鹿児島スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 武の負傷が発表され、4/5に発生して4/16に手術実施し、全治約3ヶ月との事。
<長崎スタメン>
- ルヴァン杯2回戦(磐田戦、1-0)で負傷交代した岡野の詳細が発表され、4/30に手術実施して全治6~8ヶ月との事。
- 負傷離脱していた新井が復帰しベンチ入り。
前半戦もこの試合含めて4戦と、折り返しが近くなり。
自身のサッカーを貫いてきた昇格組の鹿児島も、現在降格圏に至っているとあり、そろそろ何かしらの変化を示さなければ生き残りは難しい状況でしょうか。
変化といえど、一重に「変えれば良い」という訳では無く。
既存のメンバーが一回り成長を果たし、チームが良い方向へと回っていくのも一種の変化。
ここまでの戦いでそれが果たされたかどうかは傍らからでは不明ですが、前節から続く、清水・長崎と最上位に居るクラブが相手の試合である程度伺える。
そんな意気込みがあったかどうかは不明ですが、前節の清水戦は手酷い敗戦(0-4)に終わってしまい。
好機も殆ど作れずという内容だったようで、この日は長崎相手に、その負のイメージの挽回を目指す事となりました。
しかし13戦無敗という屈指の成績を維持し、2位に着けている長崎の牙城を崩すのは並大抵の事では無く。
前半3分、長崎のGKから始まる攻撃に対し、果敢にプレスを掛けにいったものの実らず。
田中隼のロングパスが一気に左奥の笠柳に収まった(その後カットインもすぐに奪われる)、その残像が強く印象に残る結果に繋がります。
以降、FW(守備時は鈴木が前に出て2トップ化)がプレッシャーを掛けにいっても、その他の選手が連動せず長崎のビルドアップを阻めないまま時間が進む事となり。
そしてそれが、「主体的な攻撃で何とかしなければならない」という意識を強めるに至ったでしょうか。
鹿児島の攻撃は特徴の通り、サイドバックが最初から前に上がり、サイドハーフと連動した「偽SB」戦術も絡めながらの前進。
ボールを握り、その立ち位置を取ってからサイドをパスで運ぶという攻撃ですが、それが悉く長崎の速攻に繋がる事となり。
9分、岡本が左サイド裏へロングパスを送り、(外山が内側を取ったうえで)ワイドを上がった福田に届けんとしましたが増山がこれをカット。
すると中央から秋野→ジェズスと縦を素早く運ぶ長崎、ジェズスは右へのスルーパスを選択し、外山も福田も上がった故のスペースをあっさりと突き。
受けたギリェルメが右ポケットに進入し、放たれた強烈なシュートがゴールネットを揺らします。
先制に成功した長崎に対し、前節同様開始から10分と経たないうちにビハインドとなってしまった鹿児島。
やり返したい鹿児島ですが、12分に右からの前進を経てワイドから五領が中央へパスを送ると、中原はスルーして奥の藤村に託したものの秋野にカットされ。
するとまたも長崎のカウンターとなり、ジェズスのミドルシュート(井林がブロック)にまで繋げ。
人数を掛けて攻撃する以上、好機を迎える前でカットされた時が怖い。
選手個人の力量が高い長崎が相手では尚更の事であり。
何とか14分、再び右からの前進で今度は五領がハーフレーンで縦パスを受け、星がワイドに。
この2人のパス交換の間に前に出た藤村に縦パスが通ると、スルーパスに走り込んだ星が奥からクロス。
そして中央ややニア寄りで鈴木が合わせヘディングシュート、GK原田にセーブされるも無事にやりきる事に成功します。
しかし守備面では相変わらず積極性は出て来ず。
SHが前に出るようになったものの、FWがアンカー秋野を気にした際は最前線までプレッシャーにいき、その結果SBが空く事に繋がり。
ここで更に後方の選手が連動すればハイプレスは嵌りそうですが、相手が3トップ故に、SBは常時ウイングにピン止め状態を強いられているためか出て来れず。
そしてボランチは、浮遊するジェズスを気にしなければならず、秋野に対して出られないという絵図が目立ち。
かくして、必ず(主に米田・秋野・ジェズスの)何処かが空くという状態になる長崎の地上でのビルドアップ。
時間の経過で、何とか慣れて嵌められるかという所で、秋野が最終ラインに降りる変化を見せ始めた(20分過ぎから?)のも大きな要素となり。
それでも27分、ロングパスを収めたエジガルに対し岡本が反則気味にボール奪取、右サイドを運んでいき五領が奥を窺う状況を作り。
そして戻しから藤村のクロスが上がると、ファーサイドで藤本がヘディングシュートを放ち。
しかしこれもGK原田のセーブに阻まれ、窮鼠猫を噛むといった同点弾とはなりません。
その後のコーナーキックからもモノに出来ないと、再開される長崎の激烈な攻撃。
それに対し鹿児島が無理矢理防ぎにいった結果反則も膨らむなど、個の力の差も表れ始め。
特に28分、ロングボールを収めたエジガルに対し、岡本が倒さんというアタックを掛け。
実際倒してしまうもそれでもボールキープを果たしたエジガル、起き上がった所を今度は中原に倒されて反則と、数人掛かりでも反則でなければ止められない結果に。
押し込まれる絵図の連続に、いつしかクリアした際のライン押し上げも全く出来ない精神状態を強いられたか、二次攻撃も簡単に許してしまう始末。
FKやCKから攻め立てる長崎、エリア内からギリェルメやジェズスがシュートを放ち(前者は31分・後者は33分)、鹿児島はそれを辛うじてブロックで防ぐという具合に防戦一方の展開に。
それでも35分、田中隼→米田のパスがややズレた所を星が奪い敵陣からショートカウンター、拾った藤本が右からクロス。
これが中央でバウンドして流れた所を、福田のヘディングシュートに繋げましたが、またもGK原田のセーブに防がれ。
長崎のカウンターを避けるべく中央での崩しを諦め、クロス攻勢に持ち込んでいた節のある鹿児島で実際狙いを的中させていたものの、三度とも原田に阻まれる手痛い流れを強いられる事となりました。
その後のCKでも、井林のフリック気味のヘディングシュートをセーブしたGK原田、とにかくこの日の当たり様は凄まじく。
結局その後も、長崎のポゼッションもカウンターも冴え渡る展開は続き。
45分のカウンターでは、ロングパスを受けたギリェルメが溜めを作り遅攻へと移行したのち、中央からショートパスでの崩し。
ジェズスがエリア内へ送り、エジガルのポストプレイを受け直した所で井林に倒されるも笛は鳴らずと、またも反則ギリギリでの凌ぎとなった鹿児島。
最後は鹿児島がボール保持したまま前半終了と、攻め手の無さも感じさせる絵図で締められました。
ハーフタイムでは交代無く、始まった後半。
何とか攻勢の流れを作りたい鹿児島、早々の後半1分で右から五領のクロスが上がると、ファーでトラップした鈴木がそのままバイシクルでシュート。(枠外)
気勢を上げるべくの派手な技の選択と推測しますが、これも効果は薄く。
結局は前半と同様、長崎の脅威に晒されながら反撃の糸口を掴むという展開を強いられます。
チャンスが訪れたのが6分、左ワイドからの繋ぎを経て藤村が対角線のロングパスを通し、受けた五領がカットインを経て斜めの縦パスを中央へ。
これを鈴木が受けてエリア内に進入し、シュートにいくも秋野のディフェンスと交錯して撃てず。
その後こぼれ球を何とか繋ぎ、星の右ポケットからのシュートが放たれるも枠を捉えられず。
前半と比べ、CBが持ち運ぶ場面が多くなった鹿児島のビルドアップ。
長崎は常時カウンター狙い故にハイプレスは掛けず、センターラインを境として構えたうえでのミドルプレスがメインの姿勢で、長崎2トップ(守備時)の脇を岡本・井林のどちらかが前進する体勢で隙を突かんとします。
それが結果に表れると思われたのが13分の攻め。
GK泉森からパスを受けた藤村、ボールキープでエジガル・ジェズスを引き付けて右へ出し、井林が持ち上がる状況を作ります。
そして左奥へ対角線のロングパスを送る井林、受けた福田の戻しを経て(逆サイドに流れて来た)星がエリア内へ縦パス。
しかしこれがカットされるとまたも長崎のカウンターに繋がり、先制点のシーンと同じくまたも福田・外山の2人が不在となった左サイド(長崎から見て右サイド)を突き。
ギリェルメが持ち運び、中央でパスを受けたエジガルのキープから今度はエリア内での華麗な崩しが発動。
右ポケットでパスを受けたギリェルメから加藤→米田と横パスの連続で、これを米田がスルーした事で奥のジェズスがフリーでシュート。
これが左足アウトで放たれた心憎いフィニッシュとなり、GKのニアを破ってゴールに突き刺さり。
力量差を見せ付けての、貴重な追加点となりました。
(キックオフ前にギリェルメ・笠柳→モヨマルコム・松澤へと2枚替え、増山が右WGに回る)
一方光明が見えて来たはずの方策が、逆に失点の道筋となってしまった鹿児島。
その後もカウンターの槍に脅かされる展開は続き、16分にはCKを跳ね返され、自陣からドリブルで運ぶ松澤に対しかわされた藤村が後追いで倒してしまい反則・警告。
流れを変えたい状況なのは明白で、鹿児島ベンチは18分に中原・五領→田中渉・ンドカへと2枚替え。
しかしその後も長崎の攻めは続き、20分には櫛引が持ち運ぶという鹿児島のやりたい事を逆にやる絵図となり、右側を切りに来た福田を剥がしたのちにパス。
そしてモヨマルコムのドリブルから細かく繋ぐ流れに持ち込み、エリア内でパスを受けたエジガルがシュート。(GK泉森キャッチ)
22分には右スローインで直接裏に投げ入れ、増山のダイレクトクロスから松澤がヘディングシュート(左ポスト外側に当たり枠外)と、どんな攻め手も冴え渡らせて相手の心を折りに掛かり。
この直後に鹿児島はさらに動き、福田→圓道へと交代します。
(長崎は25分に加藤・エジガル→山田・フアンマへと2枚替え)
以降もCBの持ち運びから好機を作らんとしますが、リトリートの色を強めた長崎の前に、敵陣に運んでも何も出来ないという状況が多くなり。
手詰まり感が漂うものの、27分に藤村が中央での持ち運びの姿勢から縦パスを送り、受けた鈴木がエリア内へスルーパス。
走り込んだ藤本が足下で受け、GKと一対一の状況を作ったものの、これも原田の好判断の飛び出しでブロックされ撃てず。
しかし息つく間も無く、拾った米田からまたもカウンターを発動させる長崎。
今度はジェズスのスルーパスをエリア内で受けたフアンマがGKと一対一という、完全なやり返しとなります。
フアンマはGK泉森を左にかわし、決まったかと思われましたが、奥へさらに切り込んだ結果ゴールラインを割ってしまい4点目はならず。
(29分に鹿児島は星・藤本→野嶽・有田へと2枚替え)
鹿児島にとってこの決定機からも被カウンターとなってしまう辺り、最初から最後までそれに対するケアが足りていない感が窺え。
その後も無理に打ち込む縦パスをカットされて長崎の攻撃に繋がるなど、その傾向は点差が広がった事もあり強まる結果に。
それ故に、守備を固める長崎に対し、裏へロングボールを送るか圓道の仕掛けに賭けるかという状況となります。
攻撃機会も減少し、意気消沈の感が滲み出る鹿児島。
それを尻目に長崎は39分に最後の交代を敢行(ジェズス→名倉)すると、直後の40分でした。
長崎陣内からの右スローインで投げ入れられたボールを、直ぐに奪いたい鹿児島サイドを嘲笑うかのようにフアンマが収め、コントロールを経てスルーパス。
これでガラガラのアタッキングサードを突く状況となり、増山の奥からのクロスをファーサイドで松澤が合わせヘディングシュート。
今度はしっかりゴールに突き刺し、松澤の嬉しいプロ初ゴールという副産物も併さった追加点となりました。
窮地となった鹿児島。
その後CK攻勢に持ち込んだものの、実らず再度長崎ペースとなると、最早それを剥がすだけの余力は残っておらず。
カウンターを仕掛けずとも、足が止まりがちな鹿児島ディフェンスをパスワークで揺さぶりながら、敵陣でサッカーを展開していく長崎。
そのままATへ突入し、勝利は九分九厘確定という状況で、ゴールを狙いにいくフアンマ。
右からの増山の低いクロスをヘディングで合わせたり(枠外)、中央から無理槍気味に中央突破を図ってシュートしたり(ブロック)と、欲が噴出したかのような絵図を描きます。
結局これ以上のゴールは奪えず、そのまま0-3で試合終了となり。
これで14戦無敗となった長崎、この良好な視界を、秋に控えた新スタジアム開場まで保てれば昇格は必至といった所でしょうか。
一方の鹿児島、上位相手に合計7失点と良い様に痛めつけられた2戦となり。
SBが軸となる攻撃のシステム上ある程度仕方無いとはいえ、カウンターのケアは必須というようなこの日の内容でした。
つまりは前年の藤枝のような方針転換で、残留のための「変化」は不可欠な要素という事が示された感じですが、何処でそれを選択するか。
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