ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第28節 ザスパクサツ群馬vsヴァンフォーレ甲府

2020-10-24 17:02:27 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の群馬の記事はこちら(22節・水戸戦)
※前回の甲府の記事はこちら(26節・北九州戦)

25節・福岡戦に敗れ、昇格争い戦線から脱落したかと思われた甲府ですが、その後連勝。
しかも北九州・徳島と上位陣を破っての連勝で、再び意気軒高となりつつあります。
この日は一転して、下位の群馬との戦い。

メンバーを入れ替えながらの戦いに定評のある今季の甲府ですが、この3戦に限って言えば、スタメンで連闘している選手は今津・泉澤・武田と3人。
泉澤と武田は福岡戦から4連闘で、上位陣との対戦で不可欠な選手への偏りが、若干ですが現れている最近の甲府。
群馬戦は取りこぼしは許されない、という意気込みが現れているようでもあります。

序盤は静かな入りで、甲府は最初に(前半2分)攻撃機会を得たものの、不発に終わると以降は群馬のペース。
中々シュートを撃てずに時を過ごすも、7分にコーナーキックを得て、ここから攻勢を掛けます。
2本目のCK(いずれもキッカーは大前)、中央へのクロスから青木の強烈なヘディングシュートが枠を襲うも、GK河田がセーブ。
直後に3本目、クロスがクリアされたボールを、小島がダイレクトでボレーシュートを狙うも空振り。
しかし足元に転がったボールを再度シュート(枠外)と攻め立てました。

流れを得た群馬は、12分に岡村が右サイド手前からクロスを入れると、これがゴールマウスを襲う軌道となってGK河田が辛うじてセーブ。
左CKを得て、ショートコーナーからの大前のクロスがブロックされ、こぼれ球を内田達也がダイレクトでロビング。
これを再び青木がヘディングシュートしますが、ゴール左へと外れ。

堅い守備を誇りつつも、マイボールの際はしっかりとパスを繋ぐ「堅守遅攻」の趣があるのが今季の甲府。
しかしこの日の群馬は、相手のお株を奪うような試合運びを見せ、しかも攻撃を悉く好機に結び付けていました。
前線からのプレスが主ですが、それが実らなかった時の帰陣が素早く、守りを固められた甲府は好機を作る事が出来ず。
そしてボールを回収すると、パスワークでの崩しで好機を量産していく展開に持っていく事に成功。
シュートはセットプレーからが殆どでしたが、上々の流れを見せていって飲水タイムへ。

しかし明けた後は、上位の本領を発揮せんとする甲府。
31分に決定機を迎え、右サイドでのパスワークから小柳が中央へ縦パス、エリア内で受けたラファエルのポストワークを経て山田がミドルシュート。
ブロックされたボールがエリア内左へとこぼれ、太田が走り込んで詰めましたが、GK清水が前へ出てブロック。
何とか凌いだ群馬でしたが、これを境に甲府が主導権を握ります。

しかし中央を固める群馬に対し、前述のようなエリア内での好機は中々作れずに時間を消化。
39分の山田のミドルシュート(枠外)を最後にペースを失っていき、最終盤は再び群馬が好機を得る展開となるも、ここからシュートは生まれず。
スコアレスのまま前半を終えます。

良いとは言えない流れだった前半を経て、甲府はハーフタイムに選手交代。
宮崎→藤田と、右ウイングバック同士の交代を敢行して後半に臨みます。

後半はその意気込みの通り、入りは甲府が攻撃権を支配。
左サイドで泉澤を中心とした攻撃を展開しつつ、サイドチェンジによる右からの攻撃も交えていきます。
しかしシュートを撃てず、逆に後半3分に群馬が先にシュート(岩上のミドルシュート、枠外)を放ちます。

この展開が暗示していたのか、先にスコアを動かしたのは群馬でした。
甲府のCKからカウンターを仕掛け、こぼれ球を拾った舩津が自陣から左サイドへスルーパス、走り込んで受けた青木からさらにエリア内へとスルーパス。
そして走り込んでいた大前が冷静にシュート、飛び出していたGK河田の左を抜き、サイドネットに突き刺しました。
ロングカウンターを見事に完結させ、先制に成功します。

リーグも後半戦に突入、この日で丁度3分の2を消化という状況。
その中で群馬の戦いぶりはというと、22節(水戸戦・1-3)・23節(山形戦・1-4)での敗戦を経て、様相が変わりつつあります。
以降4試合はいずれもロースコアの接戦で2勝1分1敗と、浮上の兆しが見え始めたような成績に。

前半戦の群馬は、攻撃ではボールキープを重視し、守備では前線からのプレスというのが基本線。
しかし戦力不足から来る決定力不足は隠す事が出来ず、敗戦を重ねていって折り返しを迎えました。
そして後半戦も同じような入りとなりましたが、ここから「相手にボールを持たせる」戦術を組み込んだのでしょう。
前節・福岡戦での敗戦(0-1)以外は、いずれも支配率30%台に落ち着いての勝ち点でした。

そしてこの日の甲府戦ですが、守る時はしっかり守り、攻めはボールを握りつつもカウンターで仕留めるというメリハリが利いた内容。
新たな戦術を取り入れつつも、以前に積み上げたサッカーを失わず。
非常にバランスが取れた内容を描き、結果にも結び付けました。

一方先制を許した甲府、11分に勝負を賭ける2枚替え。
ラファエル・太田→金園・ドゥドゥへと交代し、圧力を高めに掛かります。

しかしこの日のドゥドゥは、いきなりゴールキックを収めにいった群馬・青木に対して反則を犯すと、何処かイライラとした様子に。
16分にはスローインとなった際、判定を巡って群馬・大前の顔に腕を入れてしまう蛮行を働いたうえ、さらに近付いた群馬・岩上にボールをぶつけるという大暴れ(という程思い切り投げた訳でも無いが)。
警告を受けたものの、併せ技で退場になっても可笑しくないシーンを作ってしまい、この日の甲府のリズムの悪さに拍車をかけるような一幕となりました。

以降も、攻め上がるもシュートには結び付けられない甲府。
それを尻目に群馬はカウンター気味に試合を進め、23分には再び大前にチャンスが。
先程と同様相手のCKから、加藤がクリアボールを拾って左サイドで攻撃。
今度は遅攻を交え、パスを繋いだのち岩上のロングパスで小島が奥へと抜け出すと、クロスでは無く中央へ戻し。
絶好のシュートレンジで大前が受けましたが、大前はループ気味にシュートを放つも(ミスキック?)ゴール左へ逸れてしまいました。
その直後に後半の飲水タイムへ。

群馬の術中に嵌りつつある甲府、明ける際に再び選手交代。
山田・武田→山本・松田へと2枚替え、早くも交代枠を使い切って来ました。
ボランチ2人を下げた事で布陣も代わり、センターバックに小柳・今津、ドイスボランチに山本・新井という4-4-2へ。
27分に好機を得、相手を押し込んでクロス攻勢を仕掛ける甲府。
クリアボールを拾って、荒木が左から3本目のクロスを入れると、金園がボレーシュートにいきましたがミートせず不発。
ジョーカーで投入され好機を得た金園でしたが、ここは決めたかった所でしょう。

以降再び群馬がペースを掴み、時間も使いつつ攻撃。
同点にしたい甲府を焦らす事に成功し、甲府が再び攻撃権を掴んだのは35分過ぎの事でした。

過去3試合はいずれも途中交代となっていた泉澤も、この日は最後まで出場し左サイドアタックの橋頭堡に。
37分右サイドでのドゥドゥのドリブルから、エリア手前で荒木を経由し左へ展開されると、エリア内左から泉澤がシュート。(GK清水キャッチ)
39分には右サイドから藤田のロビングを金園が収めて左へ展開、泉澤からクロスが上がると、金園がヘディングシュート。(枠外)
41分にも泉澤が、手前からクロスを上げるとファーサイドで金園が折り返し(GK清水抑える)と攻勢を仕掛けます。
右からの攻めも交えての多彩な攻撃でしたが、それでも群馬の守備陣を破るには至りません。
以降は今津を前線に上げるパワープレイを強いられる事に。

プレッシングは影を潜め、耐えるだけの展開になって来た群馬。
それでもリードしている事で勝利へのモチベーションは高まり、45分には大前→鈴木へと交代、3-4-2-1(実質5バック)へとシフトする逃げ切り体制へ。
後が無くなった甲府、アディショナルタイムにはもう一方のCBである小柳も前線に上がる、形振り構わない体勢で得点を狙います。(新井がCBに下がる)
しかしそれが報われる事は最後まで無く、1-0のまま試合終了の笛を聞く事となりました。

これで後半戦の3勝はいずれもウノゼロでの勝利となった群馬。
その内容も十分伴ったもので、降格の無い今季ではこうしたスタイルの構築が何よりの大きなもの。
ここで今季の群馬の展望を多少語りましたが、長い戦いを経てようやく方向性が固まり、J3降格まっしぐらという3年前のチーム状況を払拭しつつあるようです。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第28節 ジェフユナイテッド千葉vsツエーゲン金沢

2020-10-23 18:40:31 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の千葉の記事はこちら(25節・水戸戦)
※前回の金沢の記事はこちら(18節・町田戦)

ルカオ・金子・下川・大橋など、故障者が次々と復帰。
前節(磐田戦)こそ敗戦に終わりましたが、後半戦は未だその1敗のみ(3勝2分)と、ジワリと浮上を図らんとしている金沢。
チーム作りの期間を順調に過ごし、後は結果を出すだけ、といった様相でしょうか。

前節出場停止だった藤村が戦列に戻り、この日に向けて何も不安要素は無い。
その通りに序盤から主導権を握り、早い攻撃で何度も千葉ゴール前を脅かしていきます。
ポゼッションには全く拘らず、縦パス・ロングパスを前線に送っての攻撃が主。

しかしグラウンダーでの縦パスの方は、ピッチ状況の悪さと相成ってやや精度が欠けていた風に映りました。
悪天候の中での開催の連続(この日は晴れ)を強いられた今季の千葉のホーム・フクダ電子アリーナ。
その影響で芝の状態も悪化していったようで、パスワークの乱れで決定機は中々生み出せない金沢。
サイド奥に進入しても、ショートパスがオフサイドを取られるなどらしくない場面も散見されました。
そのためか、浮き球によるエアバトルが繰り広げられる場面が多々。

千葉の攻撃も中々成り立たず、ズルズルと時間を消化していく立ち上がり。
そしてようやく前半16分に金沢の初シュート。
石尾のロングパスの跳ね返しを島津が拾い、右に展開して下川がクロス。
GK新井章太がパンチングしたボールを、窪田がダイレクトでミドルシュートを放ちましたが枠外に。
これで勢いが出たか、18分にはスローインから、杉浦恭がフリック気味に浮かせたボールを本塚が拾いドリブル。
そのままエリア内へ入ってシュートを放つもGK新井章のセーブに阻まれ、その後藤村のミドルシュートもブロックされて先制ならず。
以降もペースを握ったまま、やや遅めの飲水タイムを挟みます。

今季も金沢の得点力は健在で、27試合で40得点と上位の水準をキープしています。
しかし、FWと両サイドハーフ(たまにセットプレーからのセンターバック)による多彩な得点源を誇っていた前年と違い、FWのポイントゲッターへの依存傾向が高くなっている今季。
この日ベンチに留まっていた加藤とルカオの2人で、半数近い19得点を挙げている(加藤10点・ルカオ9点)というのが実態となっています。
それに次ぐのは島津(6点)と、一応SHも頑張ってはいるのですが、前年とは一転して目立つのは彼1人。

続発した故障者という要素も加わり層の薄さを痛感しつつも、新人・加藤の爆発ぶりもあり何とか踏み止まってきた今季。
それでもこの日は、ポイントゲッター2人の温存が結果に直結してしまいました。

飲水タイム明けに、千葉がようやく初シュート(コーナーキックから為田のヘディングシュート・GK白井キャッチ)を放ったものの、以降も金沢ペースで試合は進みます。
敵陣でのボール奪取も冴え始め、千葉ゴールに迫っていく金沢。
34分には敵陣で奪った杉浦恭平がそのままミドルシュート、ブロックされて後方に浮いたボールを千葉・チャンミンギュがクリアミス。
これをエリア内で山根が拾ったものの、シュートは放てず。
44分には右サイドを突破して下川が低いクロスを入れ、中央で島津がシュートを放ちましたが、左ゴールポストを直撃してしまいます。
攻めながらも、1点が遠い内容となりつつありました。

そうなると、コロッと失点してしまうのがサッカーの面白い所。
アディショナルタイムで千葉は左→右へのサイドチェンジからゲリアがドリブルで前進、彼から戻しを受けた小島が手前からクロスを上げ、これに飛び込んで合わせたのは山下。
一旦ファーサイドに流れる姿勢を見せたものの、クロスの弾道を見て位置を直したのか、その修正でマーカー(金沢・石尾)を見事に釣ってのヘディングシュート。
前半終了間際の先制点で、金沢のゲームという印象を剥ぎ取る事に成功し、そのままハーフタイムを迎えます。

水戸戦での屈辱的な大敗から、守備重視へと舵を切る姿勢を強めた風の千葉。
クレーベを3試合連続でベンチ外に留め、ボランチに熊谷アンドリューを据えるなど、レギュラー陣の序列もそれに倣うような変更を見せています。

その成果は2試合連続無失点という結果に表れましたが、得点も挙げられずに終わっています。
これでスコアレスドローは後半戦だけで3試合目となり、悪い状況なりに凌ぎ勝ち点を稼ぐ、という現状。
金沢とは違い故障離脱者も増えており、とてもじゃないがチーム作りの期間を終えたとは言い難い状況を強いられています。
それでもようやく、理想のサッカーとメンバーとの乖離が小さくなってきたのは好材料で、守備力を発揮して結果を出す試合をどれだけ量産できるかが今後の課題でしょうか。

ともに交代無く後半が始まり、入りこそ前半と変わらずに金沢のペース。
しかし決定機を作れずに終わると、5分頃からとうとうペースを失ってしまいます。

千葉に主導権が移ったものの、後半6分にCKを得てから、長らく続いたセットプレー攻勢が主。
3本のCKを得ただけでなく、その合間に敵陣深めでのスローインを何度も行うなど、セットプレーで相手を自陣に封じ込めたという展開でした。
その中で際どいシーンはというと、6分に左でのスローインから、為田の低いクロスを船山がフリックでゴール方向へ送ったもの。(GK白井キャッチ)

何とかセットプレーの流れを切った金沢ですが、その後も千葉の攻撃に晒されます。
14分にもスローインから、山下が擦らしたボールを船山がエリア内右で拾ってシュート。(GK白井セーブ)
16分にはGK新井章のロングフィードを山下が落とし、エリア内右でバウンドするボールを船山がダイレクトでループシュートにいったものの、これもGK白井がセーブして何とか防ぎます。
前半とは打って変わって、圧力を強める千葉。
逆に強めすぎたのか、17分のCKのチャンスで、こぼれ球をゲリアと小島が同時にシュートにいってしまい枠外となるシーンもありましたが。当然ツインシュートのようにブレる訳でも無い

流れを失いつつあった金沢ですが、20分に再び千葉・チャンミンギュがクリアミスを犯し、山根が裏に抜けるチャンス。
ここでエリア手前でチャンミンギュに倒され、絶好の位置でフリーキックを得た(チャンミンギュに警告)所でベンチも動きます。
島津・杉浦恭に代え、ホドルフォ・加藤を投入。
このFKこそモノに出来ませんでした(山根が直接シュートも壁に当たる)が、交代効果もあり再びペースを引き戻す事に成功した金沢。

最後尾からパスを繋ぎ、サイドから何度も攻め上がりを見せますが、それだけでは守備を固める千葉に対し決定打とはならず。
クロスを何度も入れるもシュートには結び付かず、という場面を量産しつつ、迎えた32分。
左サイドで渡邊のスルーパスに抜け出したホドルフォ、ここでクロスでは無くカットインを選択し、エリア内左へ進入してシュート。
GK新井章を抜いたボールでしたが、またも左ゴールポストを直撃。
跳ね返りに加藤が待ち構えていたものの、反応が遅れ弱いシュートとなってGK新井章にキャッチされ、決定機を逃してしまいました。

この直後(33分)に、ジョーカーとしてルカオを投入する金沢ベンチ。(山根と交代、同時に窪田→金子へ交代)
千葉サイドも同時に、矢田・小島・為田に代えて堀米・高橋・見木と3枚替えを敢行します。

尚も同点を目指し攻め上がる金沢ですが、逆に落とし穴に嵌ります。
38分、自陣で見木がパスカットして千葉の攻撃開始、左サイドで船山のスルーパスに見木が走り込んでグラウンダーでクロス。
そしてニアサイドに走り込んだのは高橋で、綺麗に合わせたシュートがゴール左に突き刺さり、貴重な追加点を挙げます。

一瞬の隙で苦境に立たされた金沢。
それを象徴するように、攻撃では以降ルカオ・加藤を目掛けたロングボールという攻めが目立ち、能動的に崩す事はままならず。
シュートはATに、CKからの二次攻撃で本塚のクロスを加藤がヘディングシュートに持っていった(GK新井章キャッチ)のみに終わり、自慢の得点力は最後まで発揮されずに終わりました。

無事に逃げ切りを果たした千葉。
GK新井章のロングフィードから、山下が落とすという攻撃を幾度も見せたように、攻撃の単調さは隠せないながらも長所を発揮しての勝利となりました。
この日の金沢のように、プレッシングが激しい相手にはそんな攻撃がとても有効となる。
ポゼッションに拘らないチームに対し「ボールを持たせる」事にも成功し、終盤に前掛かりになった隙も突くなど、堅守のチームの勝ちパターンをしっかりなぞる事が出来たのは大きなものだったでしょう。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第28節 水戸ホーリーホックvsモンテディオ山形

2020-10-22 17:13:33 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の水戸の記事はこちら(25節・千葉戦)
※前回の山形の記事はこちら(24節・松本戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(4節)

エース・山岸の突然の移籍に揺れる……と思いきや、そこから3連勝を達成とリバウンドメンタリティを発揮している山形。
その穴を埋めるように、助っ人のヴィニシウス・アラウージョが本領発揮し、3試合で4ゴールという大活躍。
Jリーグ経験皆無の新助っ人という博打になり易い補強策(攻撃的な選手は特に)でしたが、ここに来て成功の側に針が振れて来たのは目出度い限りでしょう。

好循環を持って挑んだこの試合ですが、山岸移籍に合わせるようにレンタルで獲得した前川を初めてスタメンで起用。
J1では殆ど出番が無かったとはいえ、前年は福岡で場数を踏んできた選手(40試合出場)であり、即戦力の働きが求められる現状でも問題無さそうです。

得点はリーグトップと、攻撃面ではJ2トップクラスの水戸。
しかしこの日の山形は、立ち上がりからプレス重視の守備でその攻撃陣を封じ込めていきペースを握る事に成功します。

ビルドアップを思うようにさせず、ロングボールを蹴らせては回収し、攻撃に切り替える山形。
その中で新加入の前川も奮起し、前半7分にはコーナーキックから、ショートコーナーを経てのグラウンダーのクロスがこぼれた所をエリア内右からシュート。(サイドネット)
19分には三鬼の落としを拾ってシュート(ブロック)と、積極的にゴールを狙う動きを見せました。

長短織り交ぜて攻撃を組み立てる山形。
両サイドバック(右・三鬼、左・山田拓巳)も、ただオーバーラップで攻めに加わるだけに留まらず、中央へ絞ったりターゲットになったりという動きで引き出しを増やしていきます。

水戸は相手の流れを断ち切らんと、何とか散発的に攻撃を仕掛けていきます。
しかし全体として流れを奪う事は出来ず。
29分にCKで攻勢に出るも、2本目でのクロスがクリアされると山形のカウンターが炸裂。
クリアボールを前川が拾ってロングパス、これをヴィニシウスが前向きのまま収め、そのままエリア手前まで進んでシュート。
GK松井がセーブして何とか防ぎます。(そして山形もここから2本CKが続く)

これで水戸は浮足立ったか、35分にはGK松井のキックをヴィニシウスがブロック、そのままエリア内で拾い山形の絶好機。
パスを受けた渡邊が切り返しからシュートしますが、ここも松井がセーブして凌ぎます。
たまらず以降は両サイドバック(岸田と河野)の位置を入れ替え、右に河野・左に岸田が回りました。
山形の左サイドハーフ・渡邊の跳梁が目立ち、そこに前川も加わる左サイドからの攻撃をケアしようというのが水戸サイドの狙いだったでしょうか。

しかしその直後の39分に右サイドから攻撃する山形。
三鬼縦パス→前川ポストプレイ→北川スルーパスに前川走り込んで受ける→ドリブルでエリア内右へ進入という流れから、前川がシュートしますがゴール左へと外れ。
2トップの一角として登録されていたこの日の前川ですが、4-2-3-1のトップ下に近い感覚で両サイドの攻撃に加担していました。
水戸の弥縫策も物ともせず、結局前半終了まで攻撃を仕掛け続けた山形。
しかし肝心の先制点は奪えず、スコアレスのまま後半へ。

押されっぱなしだった水戸、前半のシュートは1本という有様。
流れを変えるべく、ハーフタイムで交代カードに手を付けたのは当然過ぎるほど当然で、3枚替えを敢行します。
岸田・村田そしてアレフ・ピットブルに代え、外山・松崎・山口が投入されました。

後半は静かな立ち上がりながら、後半3分に山形が流れるような攻撃。
右からのスローイン、ヴィニシウスが擦らしたのち前川→中村駿→渡邊と渡って逆サイドへ展開したのち、渡邊がエリア内へスルーパス。
走り込む北川には繋がらずシュートにはいけなかったものの、裏狙いが統一されているようなシーンでした。

しかしメンバー交代でリフレッシュした水戸も反撃。
前半は山形のプレスの激しさに、ピットブルや村田を目掛けてのロングパスで逃げる事が目立っていましたが、その両者を下げた事でパスを繋がなくてはならなくなった後半。
一見「背水の陣」的な交代策で危うさを感じさせたものの、それによりパスワークが冴え始めます。
7分、左サイドで浮き球を外山が落としたボールを山口が受け、その山口のスルーパスで奥田が抜け出してクロス。
グラウンダーのボールが中央の松崎に入り、対面の山田拓の股を抜くシュートを放った松崎ですが惜しくもゴール左へ外れ。

山形も簡単に主導権を渡さず、13分の右からのCKでニアサイドへのクロスを北川が擦らし、中央で山田拓がヘディングシュート。(GK松井セーブ)
16分には山田拓の左サイド手前からのクロスをヴィニシウスがヘディングで合わせるもオフサイドに。
流れが容易に変わらない中、水戸は18分に決定機を得ます。
木村の左→右へのサイドチェンジを受けた河野が奥へ切り込み、低いクロスが入ると、抑えにいったGK佐藤があろう事かファンブル。
これを山田康が詰めてシュートしたものの、三鬼がブロックして何とか防ぎました。
後半に入り水戸サイドにも得点の匂いが漂い、好ゲームの様相へ。

前節から「全とっかえ」でこの試合に挑んだ水戸。
出場時間が2000分を超えているのはセンターバックのンドカ・ボニフェイスただ1人と、主戦力を入れ替えながらの戦いを繰り広げている今季。

おかげで選手層は厚みを増したものの、それが目に見えて結果に繋がっているとは言い難い成績面となっています。(9勝8分10敗)
良いゲームを展開したかと思えば、連勝は1度だけ(21・22節の2連勝のみ)とそれが続かないのは、メンバーが安定していないからなのか。
この日に限っても、ピットブルや村田(とこの日欠場の中山)が居ない後半と前半での戦いがガラリと変わる点からもそれが窺えます。

これだけ大胆にターンオーバーを繰り広げているチームは、水戸の他には甲府ぐらいなものですが、両チームとも「前年のレギュラー組の大部分が移籍」という共通点があり。
監督以下首脳陣が手綱を巧く操らなければ、上位進出どころかチームの体制を整える事すら難しい状況。
甲府は昇格枠を狙える(といってもギリギリでしょうが)位置をキープしていますが、中~下位をうろついている水戸の、その戦略は果たして正しいのか。
それでも発展途上と割り切って来季以降へと繋ぐ采配、という事も考えられ、答えを出すのはまだ時期尚早なようです。

さて、水戸の決定機で冷や汗を掻いた山形、その直後に2枚替え。(渡邊・ヴィニシウス→加藤・大槻)
以降も双方好機を作っていきますが、フィニッシュに結び付けるという点では山形に針が振れたようです。
飲水タイムが明けた26分自陣右サイドから熊本が中央へ縦パス、受けた大槻が大きく戻すポストプレイ、それを受けた中村駿が左へ展開と大きくボールを動かしての攻撃。
そして左サイドから中村駿が裏へロングパス、走り込んだ山田拓からグラウンダーでクロスが入り、北川がシュートに向かうもあろう事か空振りしてしまいます。
しかしその後相手のクリアを右サイドで回収し、三鬼のクロスに大槻がヘディングシュートを放ちますがゴール上に外れ。
次第に「後はシュートを枠に入れるだけ」という展開へと移っていく山形、31分には小松・前川→岡崎・南へと交代。

そして33分、歓喜の瞬間が訪れます。
左サイドからパスを回し、南から受けた加藤が、相手守備が戻り切れていない(ンドカが南に釣られていた)のを確認してかなり手前からクロス。
これが裏を突くスルーパスのようになり、エリア中央に走り込む大槻の足にピタリと合い、シュートがゴール左へと突き刺さり待望の先制点となりました。

これで逃げ切り体制に入ろうかという山形でしたが、その前に捕まってしまいます。
35分、右サイドでの乱戦からボールが繋がり水戸の攻撃に、中央を松崎がドリブルで進んだのち山口へボールが渡ります。
その山口もドリブルで進み、エリア手前からシュートを放つと、手前でバウンドした難しいボールをGK佐藤が何とか弾きます。
しかしそのボールを深堀(山田康と交代で出場・32分)が詰めて同点ゴール。
リードを保てたのは僅か2分と、山形にとっては痛すぎる失点となりました。

意気消沈気味の山形を尻目に、ボールを握って逆転を狙いに行く水戸。
サイドチェンジを交えて山形守備を揺さぶっていきますが、中々フィニッシュに結び付けられず。
最終盤を迎え、先に山形が好機を迎えます。
43分、左サイドで加藤のスルーパスを南が受けると、カットインしてエリア手前からシュート。
しかしGK松井のセーブに阻まれると、その直後に水戸も反撃。
44分に鈴木(木村と交代で出場・24分)の縦パスを受けた山口が左へ展開し、受けた外山はクロスは上げずに中央へと戻すと、松崎がエリア内へと縦パス。
中に絞っていた外山のフリックを経て、山口がエリア内左からシュートするも、GK佐藤のセーブに阻まれます。
ともにGKに救われた格好となり、勝ち越し点は生まれず。

アディショナルタイムを迎えて流れは水戸に傾き、何度もエリア内にボールを送るも、深堀のヘディングシュート(枠外)に留まります。
そして1-1のまま試合終了を迎え、引き分けの痛み分けに。
持ち味は発揮した両チームでしたが、やはりここから昇格争いに加わっていくには厳しさが残る一戦となりました。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第27節 ファジアーノ岡山vs大宮アルディージャ

2020-10-21 16:05:51 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の岡山の記事はこちら(23節・愛媛戦)
※前回の大宮の記事はこちら(順延9節・福岡戦)

大宮サイドはベンチ入り選手が5人だけという、イレギュラーな試合前の事象。
選手入場時には岡山のアンセムが流れず、地元の合唱部による(JFAのアンセムの)演奏というイレギュラーな試合直前の事象。
そんな流れでキックオフを迎えた試合の内容は果たして。

故障者が続発している大宮、とうとうベンチ入り人数を削らざるを得ない状況にまで追い込まれてしまいました。
おまけに西村の出場停止も受け、ディフェンスラインには渡部をセンターバックに流用、ヴィターリス・マクシメンコを5試合ぶりに起用するスクランブル体制。
それだけでは無く、イバ・戸島を欠場させたうえで、戦力外になったと思われたネルミン・ハスキッチを16試合ぶりにスタメンで起用してきました。

かなりイレギュラーな布陣、というのがスタメン表を見ての率直な思いですが、後半戦突入後の大宮は成績自体が不安定。
22節・京都戦は2点ビハインドを跳ね返して4-2での勝利と、出入りの少ない大宮らしからぬ試合となりました。
その後も不安定なスコアを描きましたが、過去2試合はスコアレスドローに終わっているという具合に両極端。

そんな状況の大宮、安定した試合の入りで落ち着けたかったでしょうが、序盤からシュートが飛び交う流れとなります。
前半2分に大宮の攻撃での三門のシュート(枠外)を皮切りに、直後の3分には岡山が田中のロングパス一本で齊藤がエリア内右へと進入、そしてシュート。(GK笠原セーブ)
お互い撃ち合ったのち、岡山のペースとなる大宮にとっては苦しい展開となります。
5分には岡山が長いスローインを右サイド奥へ入れ、収めた三村からの戻しを受けた関戸がカットインからシュート。
DFに当たって枠を外れ、そこからコーナーキックも2本続くなど押し込んでいきます。
10分にもパウリーニョの縦パスを受けた上門がさらに縦パス、こぼれたのち拾い直した上門がエリア手前右からシュートしますが、ここもGK笠原のセーブで防がれます。

苦戦が予想された大宮ですが、その直後に先制点をゲット。
12分、敵陣左サイドでパスを回したのち小島の浮き球のスルーパスに翁長が走り込み、彼のクロスがファーサイドへ。
イッペイ・シノヅカが岡山・徳元の背後からヘディングシュートを放ち、GKポープ・ウィリアムが弾くも、こぼれ球を再度シノヅカがシュート。
この連撃にポープも成す術無く、後方の濱田のブロックも届かずゴールイン。
劣勢な中で奪った先制点で、試合のイニシアティブを握らんとします。

その後も展開は変わらず、17分に岡山が好機。
右サイドで椋原のスルーパスに齊藤が走り込み、グラウンダーでのクロスをニアサイドで関戸が合わせシュート。
ブロックに阻まれ、三村が走り込んで再度シュートするもこれもブロックされてゴールならず。
逆に19分、後方でのパスミスを大宮・シノヅカに掻っ攫われ、そのままミドルシュートを浴びる(GKポープキャッチ)など不安定なシーンも見せてしまいます。

被シュートも多いものの、これまで得失点の少ない岡山が安定感を失いつつあるという、大宮にとっては願ったり叶ったりの展開。
しかし故障者が多いという状況で、ラフプレーにナイーブな面を見せてしまうなど大宮自身も不安定に。(20分には翁長が痛み1分程倒れ込んでしまう)
27分にボールを奪った岡山・上門を、シノヅカが後方から倒してしまい反則となると、倒れた上門の足が上がってしまいシノヅカの顔面へ。
これに激高したシノヅカ、上門と睨み合いの末主審に止められるというシーンを作ってしまいました。

珍妙な見せ場が発生するも、リードを奪っている大宮はその後落ち着いて試合運び。
30分には岡山のハイプレスを素早いパスでかわしつつ前進、ハスキッチに繋げたのちクロスまで持っていく攻撃を見せます。

序盤の勢いが失われていく岡山を尻目に、終盤に大宮が決定機を迎えます。
44分、ここもシノヅカの敵陣でのボールカットから、ハスキッチがエリア内右で受けてループシュート。
飛び出してきたGKポープを抜いたものの、その後方で濱田が頭でクリアして惜しくも得点ならず。
シノヅカの威力に四苦八苦する岡山、アディショナルタイムにはパウリーニョがシノヅカの足を刈ってしまい、反則・警告を受けて嫌な流れに。
そのまま0-1で前半を終えます。

後半立ち上がりの岡山の攻撃で、左サイドの奥へと進入した上門からグラウンダーでクロスが入ると、エリア内で防ぎに入ろうとして転倒した大宮・三門がそのまま身体でブロックするというレアな場面が。
いきなりイレギュラーなシーンで入った後半となりました。

反撃したい岡山、GKポープもビルドアップに加わる体勢を取って攻勢に出ます。
後半3分には齊藤が、5分には上門が、いずれも左からのカットインでシュートを放ったものの枠を捉えられずという結果に。
その後は大宮守備の前に、ロングパスを軸にする攻撃を余儀なくされるなど、大宮リードというアドバンテージを活かされる展開に突入しつつありました。

しかし14分、サイドを振る攻撃が功を奏します。
最終ラインから右に振ったのち、白井が左へサイドチェンジのパスを送り、受けた上門から齊藤を経由し再び白井の下へ。
白井が受けたのはペナルティアーク内という絶好のシュートレンジで、絶妙にコントロールされたミドルシュートがゴール左隅を突き、ネットを揺らしました。
中盤の要である白井の美しい一発で同点に追い付いた岡山。
直後に上田・山本を投入(関戸・三村と交代)し、その白井がボランチから右サイドハーフへとシフトします。
(大宮もハスキッチ→富山に交代)

このゴールで流れも大きく変わったのか、その後は岡山の長いパスが面白いように通り、そして得点に結びつきます。
16分、上田の自陣からのロングパスが一気に大宮ディフェンス裏を突き、抜け出た山本がワントラップでGK笠原をかわしてそのまま無人のゴールへ蹴り込み。
あっという間の逆転ゴールを奪ったかと思えば、さらにその3分後。
今度は敵陣左サイドで形を作ったのち、手前から上門がスルーパス。
これが(山本の左への動きに釣られて)フリーとなっていたエリア内中央を突くと、右斜めから白井が走り込んでトラップ、またもGK笠原をかわしたのちシュート。
短い時間帯で立て続けに得点を奪った岡山、一気に勝利へと前進しました。

一方勝ちパターンに持ち込むどころか、一気に奈落の底へと落とされた大宮。
21分に立て続けに3度の攻撃機会から、翁長ミドルシュート(ブロック)・シノヅカエリア内右からシュート(ブロック)・富山ミドルシュート(枠外)と、果敢にフィニッシュを見せたもののモノに出来ず。

飲水タイムを挟み焦りも生まれてくる中でしたが、28分に長い組み立てから好機。
敵陣左サイドで三門・翁長・黒川が三角形を作ってパス回し、そしてそれに加わった小野がエリア内左へとスルーパス、受けた黒川がグラウンダーでクロス。
中央に走り込む富山には繋がらなかったものの、岡山・徳元のクリアミス(ゴール方向に蹴ってしまうもGKポープが弾く)でこぼれたボールにシノヅカが走り込み、そのまま強烈なシュート。
GKを弾いて左サイドネットに突き刺さり、1点差に迫る得点を挙げます。

再び突き放したい岡山、30分にはCKから、キッカー上田のファーサイドへのクロスに田中が合わせヘディングシュート。
しかしGK笠原のナイスセーブに阻まれ、追加点で楽になる事は出来ずに終盤戦を迎えます。
それでも大宮の駒数(ベンチ入り人数の少なさ)に助けられた感があり。
大胆に選手を代える事が出来ない大宮、32分に小野→大山へ(小島が一列上がる)、39分に三門→菊池へと交代(小島が一列下がる)。
配置転換も絡めて、少ない手駒ながらも何とか推進力を高めようとします。

イバ・戸島の代役としてヘッダーを務めんとする富山、43分にはCKからヘディングシュート、45分にはシノヅカのクロスからヘディングシュートを放ったもののいずれもミートしきれず左に逸れてしまいます。(2本目はゴールラインすら割らず)
1点差のままアディショナルタイムに突入、守備を固める岡山に対し、ロングボールを放り込むだけとなっていく大宮。
そして岡山のコーナー付近での時間稼ぎも経たのち、何とか最後の攻撃でCKを奪います。

この場面でGK笠原も前線に上がり、キッカー・シノヅカのクロスにその笠原が走り込んでヘディングシュート。
先述の富山よりも精度の高いシュートが放たれたものの、惜しくもゴール左へと外れてしまい同点ならず。
「たられば」の場面は作ったものの、敗戦という結果に終わってしまった大宮。

逆に勝利した岡山、得点力不足にあえぐチームが点の取り合いを制するという、イレギュラーな内容を描いての勝ち点3となりました。
実に10節・水戸戦以来の3得点で、イヨンジェという主砲を欠く苦しい戦いを強いられている中、向上の足掛かりを掴めたでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第27節 東京ヴェルディvs栃木SC

2020-10-20 16:03:30 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(23節・甲府戦)
※前回の栃木の記事はこちら(20節・磐田戦)

4試合連続無得点という現状の栃木。
劇的な逆転劇であった磐田戦以降も複数得点を重ねていたものの、23節・福岡戦で相手にお株を奪われるウノゼロでの敗戦を境に急転直下。

選手編成で見てみると、21節(京都戦)を境に高杉が、24節(長崎戦)で負傷退場した佐藤祥が離脱を余儀なくされています。
これまでチームを支えていた主力選手を失い、層の薄さを痛感させられている、といった状況でしょうか。
この日は14試合ぶりに禹相皓(ウサンホ)、15試合ぶりに榊がスタメン出場を果たしたのもその影響に因る所だと思われます。

ボール支配に長けているヴェルディ相手にも怯まず、立ち上がりから持ち味を発揮して好機を作っていく栃木。
序盤は様子見、という姿勢を持ち合わせていないかのようなそのハイプレスぶりに、流石のヴェルディも守勢に回らざるを得なくなります。

しかし押し込むものの、その成果が出ずに流れを失ってしまう。
この日もその例に漏れず、7分にヴェルディのカウンターを反則・警告で止めた(西谷)プレーを機に、以降ヴェルディに傾いてしまいます。
普段通りのパスサッカーに加え、右サイドバック・クレビーニョのスピードを活かす攻撃も加えていきペースを握っていくヴェルディ。
前半11分、左サイドで福村・佐藤優平を中心にパスを繋いで前進、左からのパスを受けた端戸がダイレクトでエリア内左へ短いスルーパス。
福村が走り込みグラウンダーでクロスを入れ、山下が跳び込んで合わせゴール、と思われましたが端戸が戻りオフサイドとされて得点ならず。
14分には同じく左サイドで、福村のスルーパスから佐藤優がクロス、ファーサイドで再び山下が足で合わせるもミートしきれず枠外に。

決定機は作れたもののモノに出来なかったヴェルディ。
すると栃木が、十八番である高い位置でのボール奪取からの攻撃。
15分、左サイドで西谷がカットしたボールを浮き球で繋いでいき、収めた明本がエリア内左に進入してシュート。(枠外)
その後も敵陣でのパスカットから攻撃を仕掛け続けます。
流れを失ったヴェルディは、井上がボランチに落ちたり、佐藤優が井上のポジションである左ウイングに入ったりと可変しての攻撃を見せます。
しかしペース取り戻すまでにはいかず、そのまま飲水タイムへ。

明けた直後、栃木にも変化の兆しが現れ、ロングボールの落下点に入ったセンターバック・田代。
普段なら素直に跳ね返す所を、余裕があったのもありトラップで収めてビルドアップの体勢に入りました。
中々得点出来ていない故の変調かと思われましたが、結局その姿勢はこの場面ぐらい。

30分の栃木の攻撃、GKオビ・パウエル・オビンナのロングフィードから、こぼれ球を拾った明本がスルーパス。
受けた榊がエリア内右からシュートするもGKマテウスがセーブ。
32分のヴェルディ、敵陣右サイド奥からのスローインに山下が走り込み、彼の低いクロスからニアサイドで井上がボレーシュートを放つもGKオビンナがセーブ。
ともにGKのセーブを見せ、一進一退という状況の中、ヴェルディに決定機が訪れます。

クレビーニョの右からのクロス(その前の山本理仁のヒールでのポストプレイが巧でした)がクリアされてのコーナーキック、キッカー・佐藤優のクロスがクリアされたボールを藤田譲瑠チマがダイレクトでミドルシュート。
これもGKオビンナにセーブされ、跳ね返りがエリア内左の高橋の足元へと向かいますが、反応した高橋のシュートはゴール右へと外れてしまい絶好機を逸してしまいました。
これが大きく響いたか、以降ヴェルディが攻勢に出る事は無く、そのままスコアレスで前半を終えます。

この日は栃木の特異のサッカーの前に、持ち味があまり発揮されずといったヴェルディですが、後半戦に入ってからは好調。
折り返した22節以降は3勝1分1敗と上昇機運に乗り、上位をキープしています。

とりわけ1戦目に負けた北九州・大宮・愛媛にいずれも勝利しているのが目を惹きます。
チームだけで無く、監督の永井秀樹氏も発展途上といった前半戦の様相であり、リベンジを果たす事で進化を如実に表しているのでしょうか。
しかし逆に1戦目に勝利した岡山には敗戦(25節)、甲府にはスコアレスドロー。

そうなると、この日の相手である栃木の1戦目を気にしない訳にはいかなくなり、3節に栃木のホームで行われた同カードは1-1の引き分け。
その内容はというと、ヴェルディは後半に退場者を出し(高橋)数的不利となったものの、何とか凌いだという一戦でした。
ボール支配率が71%にも拘わらずシュートは5本で、対する栃木のシュートも9本とお互いに低調。
再開後間もない時期故、共に成熟していないチーム状況が現れていたといえるでしょう。
それはともかく、あの時とは違うという事を証明する勝利が欲しい試合。

後半が始まりましたが、前半と同様に栃木が良い入りを見せます。
内容的にもパスカット・デュエルでのボール奪取からの攻撃と前半の焼き直しという感じで、後半4分には溝渕のこぼしたボールを明本が拾い、そのままミドルシュート。(GKマテウスキャッチ)
10分には西谷が左→右へとサイドチェンジ、受けた溝渕のクロスから明本がヘディングシュートを放ちますが枠を捉えられず。
良い形は作るものの、決定力不足という最後にして最大の課題を克服出来ない栃木。

その栃木の間隙を突き、ヴェルディは12分にパスワークで相手を翻弄。
そして井上のミドルパスを受けた佐藤優が左サイドからグラウンダーのクロス、端戸が収めて再び左へ展開し、受けた福村が再度グラウンダーでクロス。
エリア手前へと流れると、拾った平が右に出して今度はクレビーニョがグラウンダーでクロス気味のシュート(GKオビンナキャッチ)と、グラウンダーのクロス攻勢を展開しましたがゴールは割れず。

支配力に長けたヴェルディと、泥臭く早くという攻撃を繰り返す栃木のぶつかり合い。
1戦目とは異なり、決定機の数も多くシュート数も膨れ上がる好試合の様相となっていきます。
17~18分に双方2枚替えを敢行。
栃木は大島・禹→山本廉・岩間、ヴェルディは山本理・井上→森田・新井へと交代しました。
以降ヴェルディは新井の左サイドでの突破力を活かす攻撃に持ち込み、19分には新井のクロスに端戸が合わせてシュート。(枠外)
栃木はボランチに入った岩間がパスを散らす役を担い、22分に溝渕の右からのクロスを明本がヘディングシュートに持ち込みます。(GKマテウスキャッチ)

双方互角といった状況のまま飲水タイムを迎え、明けると同時に栃木が再び動きます。(25分)
榊・溝渕→矢野・瀬川とまたも2枚替えで勝負を賭けにいきました。(黒﨑が左SB→右SBへシフト)

この交代効果か、以降栃木が一方的に攻撃を仕掛けていきますが、個人的には27分のシーンが切欠となったかと思います。
栃木・瀬川が中盤でボールキープする所、チマが反則気味に(傍らから見て完全にユニフォームを引っ張っていたように見えた)奪ってからヴェルディが攻撃。
栃木ベンチ(?)の怒号が轟く中、チマのドリブルから端戸がミドルシュートを放った(GKオビンナキャッチ)ものでした。
これがかえって栃木サイドに発奮材料を与えてしまった感がありました。

28分には瀬川の左からのクロスを矢野が収めたのち戻し、西谷を経由して黒﨑がエリア手前右からシュートを放つもゴール上へ外れ。
33分には瀬川がパスカットからそのまま左サイドをドリブル、クロスが上がり明本がほぼフリーの状態でヘディングシュートしますが、これもゴール上へと外れてしまいます。
まさに怒りのパワーというような攻撃を見せるも、やはりゴールを奪えない栃木。
数多シュートを放つも決められない明本、形作りの段階では万能性を見せるものの、そのためかフィニッシュに精神を回す余裕が無くなっているのでしょうか。

その後はヴェルディが懐の深さを発揮し、36分の交代(福村・端戸→近藤・小池)を境に押され気味の状況を打開。
センターバックが3枚揃った事で3バックにシフトかもと思いましたが、高橋が左SBに回る布陣で、右のクレビーニョが常時上がり目のポジションを取る「疑似3バック」のような感じになります。

以降は栃木もペースダウンし、39分のCKからの柳のヘディングシュート(GKマテウスキャッチ)の後は、遅まきながらヴェルディのペースに。
相手のクリアボールも回収する分厚い攻撃で攻め込んでいくも、押し込まれた栃木側も最後の所ではやらせない粘り強さで対抗します。
止めを刺すべく、44分に山下→大久保へと交代するヴェルディ。

アディショナルタイムに最後の決定機が訪れ、佐藤優のドリブルから左サイドの大久保にボールが渡り、比較的守りが薄い栃木の状況を見た大久保はかなり手前からクロス。
中の小池がエリア手前へ落とすと、そこに走り込んでいたのは高橋で、そのままミドルシュートを放ちます。
しかし無情にも浮いてしまいボールはゴール上へ。

結局ゴールが生まれる事無く、引き分けで試合終了となりました。
前半に負けたカードは後半に勝ってきたヴェルディですが、引き分けを勝ちにする事は出来ずに終わったこの日。
今後は勝ち越しのカードを量産し、景気の良い後半戦としたい所でしょう。

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